最近ワインを買っていない。
  なぜだろう、なぜかしら?

以下、「ワインの醸造」がテーマの勉強会で。しかし勉強会といっても「スティルワインの作り方はこうで、スパークリングは…」みたいなサービス業資格受験対策のような面白くともなんともないようなものではなく、あくまで飲む側に立った知的好奇心を刺激するようなもの。「『味』とは、物質そのものが持つ特性ではなくて、あくまで受け手の認識の一様式」とか「雨が少ないとブドウ果実中の酸、水分が減少していき、その数値が優良収穫年かどうかを決する (むろん例外はあるが)」なんて実例を交えて聞かされると感心することしきり。一度ワインを自分で作ってみたいな。
Clos du Marquis '93
 クロ・デュ・マルキ '93
  (フランス/ボルドー/サン・ジュリアン、赤)
ご存じレオヴィル・ラス・カーズのセカンドラベル。'80 年代後半から逆浸透膜法を取り入れた醸造法で凝縮感を持たせているとのこと。やや熟成色の入りつつある濃いルビー色はまだ紫色が健在。パンや干しブドウの香り、グラスから鼻を遠ざけたときに初めて顕著になるアルコール感もあり。最初のアタックは弱いが、果実味、酸、タンニンは後追いするようにやってくる。酸とこなれつつあるタンニンの優美さは特筆すべきもの。パワフルではないが、バランスがしっかりとしており、これがたくましい印象をもたらしている。セカンドラベルとは思えないような凝縮感は逆浸透膜法の賜物か?時間が経つとキャラメルのような樽香、杉のような清々しい香りも出てきた。男性的。

#逆浸透膜に関してはこちらのサイトをご覧あそばせ。わかりやすいですよ。
Ch. l'Enclos '93
 シャトー・ランクロ '93
  (フランス/ボルドー/ポムロール、赤)
マロラクティック発酵を強烈にかけているワインの一例として出されました。そう聞いたからなのかもしれないが、ヨーグルト風味のキャラメルのような甘酸っぱい香りが著しい。グラスを回すと獣香や森林系の爽やかな香り、乾いた枯れ葉、鉄のニュアンスも湧き出てくる。香りに関しては上のクロ・デュ・マルキより複雑かも…。タンニンはほとんど感じられず、甘い果実味が底辺を脈々と流れ、余韻はまさに「甘酸っぱい」。やや骨格に乏しく、中抜けしたような感じは否めないが、それゆえ非常にとっつきやすいのが魅力。赤ワインを飲んだことない人にぜひお勧めしたい。女性的。

#マロラクティック発酵に関してはこちらのサイトをご覧あそばせ。わかりやすいですよ。

このあと帰ろうとしたところ、店主に「気付けに一杯どうですか?」とコニャックを勧められました。テースティング用のグラスに注がれた琥珀色の液体からは腐る寸前にまで熟したリンゴの香りが!……アルコール度数を感じさせない柔らかでまろやかな味わいも素晴らしい。それにしてもたった 10 mL 程度の液体がここまで人を感動させるものだろうか?んー、なんか悪いことに使えそう。(^-^;)
それにしても私の誕生年 (1968) は科学的に見ても外れ年。
くぅ。




噂の 500 円試飲。
Aligote Bouzeron '97 A. et P. de Villaine
 アリゴテ・ブーズロン '97 ヴィレーヌ
  (フランス/ブルゴーニュ、白)
かのロマネ・コンティを作るヴィレーヌ家のアリゴテ!……とご紹介するのは二回目ですね。以前は '94 を飲んでいます。そのときの第一印象は「酸!」でしたがこれはずいぶんと趣が違う。花の蜜や柑橘類をベースにしたややメタリックで透明感のある香りはなんとなく南仏のワインのイメージ。飲んでも柔らかな酸とふくよかな果実味のバランス感が太陽を感じさせ、なんとも食欲がわいてくる。専門家のお話によると '97 からだいぶんつくりが変わってきたそうな。私にしてみればどちらも高品質なアリゴテだけど、一般にとっつきやすいのは '97 だろうな…。値段がとっつきやすいのも嬉しいかぎり (千円台ですよ)。
Bourgogne "Les Bons Batons" '96 Philippe Leclerc
 ブルゴーニュ・レ・ボン・バトン '96 フィリップ・ルクレール
  (フランス/ブルゴーニュ、赤)
人気作り手、フィリップ・ルクレールの AC ブルゴーニュ。これは…樽香を通りすぎてヒノキのような香り。そして粉状にしたチョコレートの香り (んなもんあるんかあ!) や白墨の匂いであまりピノという感じはしない。飲むとかなり強い酸が感じられ、果実味は強くない。しかもかなりタニックで、ややばらけた印象。…とここまで書くと、あまり魅力的ではないですよね?実際あまり好きなタイプではないんです。(^-^;) 以前飲んだ '93 もあまり印象良くなかったし。でもね、このワイン好きな人は世の中にはいっぱいいらっしゃるみたいですよ。まあ好みの問題ということで…。
Ch. Griviere '94
 シャトー・グリヴィエール '94
  (フランス/ボルドー/メドック、赤)
かなり濃いルビー色。かすかに杉を伴った甘い香り。グラスを回すと少しアニマルやメタリックな印象になる。飲むとフィリップ・ルクレールの後ではかなり甘味を感じてしまう (それはそれで嬉しいんだけど正確な情報かどうか…)。一方、タンニンもしっかりしており、果実味とのバランス感は秀逸で飲みごたえあり。何というか…小賢しい細工なしといった印象だね。一緒に飲んだ三本の赤のうちでは最も好きなタイプ。時間が経つと豆類を茹でたような香りが出てきた。
Ch. Lucie '95
 シャトー・ルシー '95
  (フランス/ボルドー/サン・テミリオン、赤)
チョコレートやゴムを焦がしたような強い樽香。なぜかフナ (魚だよ) のような匂いも。強烈な香りから想像されるよりもやや頼りない味わい。何かが足りないというより、全般的にコンパクトにまとめられていると言うべきか…。時間が経つとキャラメル香が出て、これは持続した。酒の品質以上に新樽を使用しているということなのか?
結果的に樽特集といったあんばいだが、なかなか難しいものですね。



たまにはシラーを。
カベルネ '82 マルスワイナリー
  (日本、赤)
これはシラーじゃないです、はい。ほこりっぽく、干し葡萄や芳香族系の薬品のような匂いがする。飲んでみるとちょっと藁っぽく、まさに「自宅で発見したワインの味」。しかし「カベルネ」と書かれてあるが何故かイタリアワイン (キャンティとか) のようなイメージがあるのはなぜだろう?マグナムボトルだったのには笑ってしまった。
Hermitage '94 Dom. Jean-Louis Chave
 エルミタージュ '94 ジャン・ルイ・シャーヴ
  (フランス/コート・デュ・ローヌ、赤)
上の「カベルネ」とグラスがごっちゃになってどっちがエルミタージュだったっけ?などと間抜けな会話をしていたが、んなもん匂いをひと嗅ぎすればわかるだろうがあ!もう強烈に「肉」を感じさせる匂い。それもスパイスにたっぷり漬け込んで燻したような。以前にも感じたような魚肉ソーセージという言い方もできる、と思うんだけどな。滑らかなタンニンが心地よく、優しい果実味も女性的な印象。力強い香りから来る印象とはずいぶんと違うな…と思っていたのもつかの間、二十分程度で花のようなかぐわしい香りが開いてきてチョコレートの風味も少し出てきた。さらに果実味も開いてきて華やかさが広がる。一時間後にはやや発酵のすすんだ中国茶のような香りが立ち昇り、梅のような酸が出てきた。うーむ、やはりそこいらのワインとは全然違う。素晴らしい。しかし「ウサギの 70 ℃調理、ローズマリー風味、黒オリーブソース」はソースに工夫を凝らしているものの、ちょっとワインに負けていたような気がするぞ。
Cote-Rotie '94 Dom. Rene Rostang
 コート・ロティ '94 ルネ・ロスタン
  (フランス/コート・デュ・ローヌ、赤)
こちらはぐっと香りがおとなしい。樽香を思わせるようなちょっと甘めの香りにドライフルーツのような印象。柔らかな果実味とビターチョコレートのような余韻はエルミタージュに通ずるところがある。印象はやや弱いが、だからこそ料理に合うのではないだろうか。特に「アンコウのポワレ、赤ワインソース」にはこれが最も合っていた気がするぞ。
Cote-Rotie "La Landonne" '94 Dom. E. Guigal
 コート・ロティ・ラ・ランドンヌ '94 ギガル
  (フランス/コート・デュ・ローヌ、赤)
信じられないぐらい濃い色をしている。グラスの向こう側は見えないが、エッジはまだピンク色。香りはご多分にも漏れず、肉やスパイス。それに混じって花の柔らかな香り。かすかに感じられる黄色い柑橘類の香りがかわいらしいが基本的に非常に男性的。飲むと液体とは思えない存在感にただただ驚くばかりだが、まだまだ先は長そう。ココアの香りやパウダリックな印象も「液体」の印象を減じている。ギガル三部作の中ではこれが最もビターチョコレートの香りと余韻が強かった。とにかくパワフル。
Cote-Rotie "La Mouline" '94 Dom. E. Guigal
 コート・ロティ・ラ・ムーリーヌ '94 ギガル
  (フランス/コート・デュ・ローヌ、赤)
上のランドンヌよりやや柔らかく、ちょうどランドンヌとテュルクの中間のようなイメージ。花の香りが強いが肉を火であぶったような印象も同様に強い。それとスパイスというより漢方薬のような刺激的な香りもある。飲んだときにはやはり力強い印象。それにしてもこのときにに出された「子羊腿肉のロースト、香草サラダ添え、ソース・プーロット&シャントレル」とは抜群の相性だった。ふーん、ポイヤックだけではないんだね。子羊腿肉を食べた後に飲むと甘味をかなり感じるのは味覚のマジックと言ったところか。色はランドンヌよりもわずかに明るく、タンニンのおいしいワイン。

#そうそう、ムーリーヌは本来ヴィオニエ種が混醸されているそうだが、'94 に限り、天候の影響でシラーのみで作られているそうな (ランドンヌとテュルクは元来シラーのみ使用)。唯一コート・ブロンド (斜面の名前だそうな) 側の畑でもある。
Cote-Rotie "La Turque" '94 Dom. E. Guigal
 コート・ロティ・ラ・テュルク '94 ギガル
  (フランス/コート・デュ・ローヌ、赤)
こんなにすぐにテュルクが飲めるとは思わなかった。おそらくこれがコート・デュ・ローヌ地方で最も高値で取り引きされるワインだろう。そういう知識のフィルターから、凝縮感が強くまだまだとっつきにくいワインなんだろうなと思っていたが、そんなのはトーシロの妄想に過ぎない。ギガル三部作の中ではこれが最も華やいだ印象だった。花のようなかぐわしい香りが最も強く、チョコレートやクリームのような香りも魅力的。なんというか…一番愛嬌を振りまいているんだよね。もちろん飲んだときの濃度と存在感は他と同様はかりしれないものがあるが、一本筋の通った酸の印象と相まって決して押しつけがましくないあたりが魅力なのだ。私は一番これが好きだな。できれば取り引き価格など知らなければよかったのに、とも思う。
さて、これでワイン会は終了なのだが
それでおとなしく引き下がっちゃ鯨飲の名がすたれるよね。;)

Cote-Rotie "Cote Blonde" '96 Dom. Rene Rostang
 コート・ロティ・コート・ブロンド '96 ルネ・ロスタン
  (フランス/コート・デュ・ローヌ、赤)
なぜか不思議なことにアルザスの白ワインのような印象がある。タールや揮発油、緑色の柑橘類のような香りがする。飲んでも不思議とアルザスで、きれのある酸や透明感のある果実味、青草っぽさがそう印象付けている。一方で生肉や血のようなコート・ロティらしさがあるから不思議だよなあ。まあさすがにこれはまだまだ飲み頃が先ということなんでしょうね。


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