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出版書籍のご紹介 スケッチパース

 スケッチパースを多くの事例から学べるデザイナー必見の一冊

『スケッチパース』

スペースデザインの展開のために













村山克之 著
技術書院 出版



 はじめに

 美しい絵を前にして、ひととき我を忘れて見とれてしまったという経験はないでしょうか。 また、難しいと思う考えも図や絵にしてみると意外にわかりやすいと感じることもあるでしょう。 これが「絵」の持つ魅力なのです。ちょっとしたすっけちが簡単に描ければどんなにすばらしく、仕事や趣味の幅も広がることでしょう。 この本では、おもにスペースデザインのためのスケッチ、これをスケッチパースと名付けて、習得することを目標とします。空間の表現には、 遠には、遠近法が説得力にある絵になるといわれていますが、空間のイメージは、 パークペクティブに絵を描いたからといって完成するわけではありません。スケッチパースの生命は、 その中に生き生きとしたイメージを伝えることにあります。単にデザインした空間だけを描くのではなく、 生活や感情、物語の中にスペースを描くことが空間イメージの伝達には重要なのです。

 パースとは

 人は思索の為には言語を必要とします。しかし、デザイナーがイメージを構築するためにはそれだけでは足りません。頭の中で空間構成をする能力が必要となります。そしてそれらは、文字や絵として表現になってはじめて第三者に伝え得るものとなります。 現在、建築デザインの世界では、設計者のイメージを、あるいは設計図書をパース(Perspective=透視図)という一枚の絵にしてプレゼンテーションすることが常となっております。しかもそのパースを専門とする職域も生まれ、また労働省による技能検定も行われているほどです。 デザイナー自身がデザインワークを進めるうえでは、自身のイメージをパースペクティブに整理しながら、スケッチを起こし、さらに検討を加えるといる作業は不可避であり、また空間デザインの提案においては、それらスケッチパースは、時には言葉をはるかに超えた説得力をもつ情報絵画となるのです。

 パースを習得するメリット

 ある計画を練り上げるとき、理論的には、コンセプトといわれる計画目標や計画方針をつくり、その後にドローイングを進める(描く)と考えるのが一般的です。しかし実際には、いくつかのスケッチをしながら、キーワードなども見つけ、だんだんとコンセプトを固めていくという方法をとることが多いのです。 また、そのコンセプトが造形的で、空間的なものであればデザインはスムーズにいくと思いますが、与えられたコンセプトの場合や、抽象的な言葉の場合は、もう一度それを造形・空間のキーワードに置き換えなければなりません。その段階にスケッチは大いに役立ちます。 コンセプト、キーワード、造形用語には定番はありません。ですから、そこから生まれるデザインはオリジナリティーを発揮することができます。オリジナルデザインであれば、プレゼンテーション(提案図)もうまくいきます。スケッチはデザイナーにとって優れた道具となります。