フルール・デ・シャン・みやざき - 2004 年 4 月 24 日訪問

最初の訪問時の記録です。訪問直後に妻が掲示板に投稿した感想を元に再構成しています。

自家製パン (オレガノ入り、イカ墨入り、バターロールなど)

焼きたてのパンは香ばしくもっちりとした食感で、何もつけなくてもいくらでも食べられそう。バニラ風味の自家製マーマレードも自然な味わいでいきなり好印象。

前菜五点盛り

直径 30 cm はあろうかという大きなお皿に色とりどりに盛られた前菜はまさにうれしい不意打ち。この時点で二人とも喜びを隠せない表情になっていたと思います。決して高級食材を用いているわけではありませんが、この近海物の素材を生かした華やかな前菜は、ここのお店の顔と言えるかもしれません。

タコのカルパッチョ、トマト添え…私事で恐縮だが私が生まれ育ったのは明石のすぐ近くなので、茹でてゴムのようになったタコには心中穏やかならんものがあるのだ。しかしこれはまさにタコ。旨い。

鯵のエスカベッシュ、小タマネギ添え…これはまあ普通の味わいかな。ビネガーのバランスがよい。

サザエのガーリックバター焼…なんとも香り高く、濃厚な味わい。お行儀が悪いかもしれないが、このバターを自家製のパンにつけて食べると二度旨い。

チヌのカルパッチョとベビーリーフサラダ…チヌは歯ごたえと香り高さから本当に鮮度を感じさせる。しかし鮮度だけに頼らずにちゃんとした仕事になっているのがうれしい (プロに対して失礼だと思いますが)。白ワインが欲しくなったよ。

穴子のリエット、生ハム添え…豚肉の芳しい香りと、甘みさえ感じさせる濃厚な穴子のリエットとのハーモニーが絶妙。こちらはガメイとかでも合いそうだな。

セイゴのポワレ・イカ墨ソース、春野菜の軽い煮込みとともに

季節感いっぱいの一皿。セイゴとはスズキの幼魚のこと。火の通り方と塩の効かせ方が完璧で本当に感心してしまった。かなり淡泊な白身だが、外側は香ばしく、中身はふっくらとした焼き加減で旨味が活性化されている。さらにイカ墨で適度なコクが付与されており、シェフが魚介類の取り扱いを熟知している印象を受けた。たっぷり盛られた春野菜も香り高く、味わいのみならず食感の違いがいろいろと楽しめて素晴らしい。チヌの真子 (卵) がおまけについていたのも楽しい。

デセール

カスタードプリン、バニラカラメルソース+牛乳アイスクリーム、苺ソース (お座)、ココナッツのブランマンジェ+苺のアイスクリーム (こ座)。二人それぞれ違うものが出てくるのが何とも心憎い。風雅とでもいうべきブランマンジェはまさに特筆ものでした。食後にはコーヒー等のドリンクがつきます。


驚くべきはこれら一通りで 1500 円だったこと。請求書が二人分で 3150 円だったのには本当に吃驚しました (2004 年 11 月現在、若干値上がりしているかもしれません。直接お店にご確認ください)。見た目のインパクト、素材、季節感、料理そのものは上で述べた通り素晴らしい水準にあります。また私たちがレストランを選ぶ際の重要な判断基準に「お腹が一杯になること」がありますが、この点でもきわめて優れたお店だと思います。惜しむらくはワインリストでしょうか。「一通り」そろっており、価格も妥当なものですが、いまひとつ面白みに欠けるものです。この点、ご夫婦で切り盛りされている限りはしょうがないかもしれませんね。あと二回目に訪問した際は、店内でかかっている音楽がややうるさかったですが、ボリュームを下げるようにお願いしたところ、快く対応してくれました。