9月19日(mardi)

Marionnettes du bout du MONDE "SOS Paix"

地球のような直径2.3mくらいの球体のケコミ。
演者はその中に入って演じる。男の人一人。

会話・言葉多い。
どうも良い話ではあるらしいのだか、
一緒に見ていた子ども達は反応して、いろいろ声をかけていた。
というのは、なんか独裁者がいて、子どもがその独裁者と対峙するような話らしく、
「ダメだ」「アカン」みたいな当然の答の反応を返しているようだった。

ケコミは変わっていて目をひくが、その事で動きがすごく小さくなっている気がする。
せっかくホールでやっているのに、
1m間口くらいのケコミの連続。
回転して、いろいろな場面になるのだけれど。
言葉は分からないけど。
なんか当たり前の平和の押しつけのような気がしてしまう。観念的?

La Fabrique des Arts d'a Cote "Fantine, ou le desir coupable"

ちょっと時間が空くので、公式プログラムではないOFFの公演に行ってみる。
街の南よりの la SOPAiC というところで、
連日OFFプログラムが何公演も打たれている。
その一つを見た。
着いたら、もう開演時間だったけど、受付にいくと、
「大丈夫、お金は後でいいからともかく入って、」
と言われて、入る。
さすが、フランスの作品。まだ開演していない。

これは、男女二人で演じる。
人形は女性の人形1体。
その幸薄き女性の半生を描いたような作品だった。
(って、言葉もやく分からないのに言うところが
我ながら、どうよ。)
なかなか良かった。
人形の動きが的確で、丁寧で。
狭い会場で、観客も少ないけれど、ちゃんと作品を観たという気になった。

※シャルビルのポイント。
公式のプログラムもはずせないけれど、OFFのプログラムや路上など、
その方が面白いものに出くわす事も多そう。
それは飯田も同じかな。有料だけでは語れない※

Pickled Image "The Chatterbox"

これはイギリスの劇団。なんか今回観た傾向として、
イギリスのものが人形で演じる物語の
いわゆる人形劇に近いものが多かった。
(じゃあ、日本の人形劇はどんどろなのか、と言われると困るので、
少ない経験で多くを語るのは程ほどにした方が良いけど)

お話は本をテーマに、
少年が、おじさんの家を訪ねると、おじさんの怪しい機械があって、
そこに本を入れて、その本の物語の世界に入り込む、
というような話。
いろいろな話を知っているとなお更面白く、
人形や表現もいろいろあって楽しい。
最後も少しテーマのような事が感じれられて良い。
完成度高いと思った。

9月20日(marcredi)

Clastic theatre "Valises"

男女二人で、トランクにまつわる短いオムニバス。
劇というより、詩のようなモノローグが多い。
ケコミはシンプルなギニョール用のけこみ。

人形は顔のはっきりしないギニョール。
(ビニールテープを巻きつけただけという意見もあり
けど、パンフにもしっかり写真のっているから意図的か)

私は言葉が分からないから、他の作品とそんなに違いはないんだけど、
途中で出ていく人がいたので、あまり良くなかったらしい。

カーテンコールで出てきたとき、
女の人の方は恥ずかしくて泣いていたといううわさも。
カーテンコールは芝居がどうであっても晴れやかに「やりました」って
顔で出たほうが良いな、という話が観た者で交わされました。

TRO HEOL "La Mano"

この会場は遠い。路線バスに乗らないと大変。
フフフ。
だけど、それはわたしらの宿の方向。宿行きと同じ路線。
慣れたものよ。このバスは♪

この公演は実は、私が番号を間違えて書いていて、私はとるつもりじゃなかったのに
とってしまっていた公演でした。

これも男女二人で。
はじめプロローグでハエの話をスライドで映しながら・・・
それから癖の強い人形がソーセージを作る場面から始まる。
テーブルにミンチを作るグリグリマシーンと肉と包丁とあって、
人形は二人で遣っている。
そこへハエが飛んでいるらしき芝居で、
包丁で追い回す。
肉の上にとまったのを包丁でバン!と肉ごと切ろうとする。
そこには介添えの人の手があるのでハラハラする。
肉は飛び散って、そこらに散らかし放題。
結局ミンチ器にとまったのを肉ごとひきつぶしたようなところで暗転。
次の場面では病院の中で、
どうも男の右手が移植されて、思うように動かない、
という芝居らしい。
その右手との確執を描いていく。

その中心のテーマがなんとなく分かったので、
面白かった。

Mano

こんな人形です。
右手がワザと色違うでしょ。

La Meta Carpe "Entre2"

さて、これがとるつもりだった方の芝居。
実はこの芝居は公式サイトのあるページでも写真が使われていて、
ちょっとウリな感じ。で、観たかった。
けれど、番号間違えて予約できなくて、すでに完売。
前に、別の会場で、入り口で券を求める紙を書いて立っている人がいたので、
まあ、ダメ元で私もやってみました。
その会場前で”1 BILLET S'il vous plait”って書いて。
「券1枚お願い」ってつもりだけど・・・・・
ウサ子も手伝ってくれて。

そしたら、現れました。
チリチリ金髪のふくよかなお兄さん。
この券か、どうぞ、って。
んで、交換?お金?言葉が通じない・・・
くれるつもり?いやまあ、正規ぐらいのお金は払うし・・・
じゃあ、まあもらっておく・・・
みたいな感じで、
チケット ゲット(押韻)

この会場はカラクリ時計のそば、人形劇研究所のホール。
入って、通路にはモニターに男女の裸が映されている。
暗い。通路。会場も。
このホールは平の舞台スペースと椅子のない段々な客席スペースがある。
だけど、この芝居では、その境目の上手にプールが置いてあって、
客席スペースの下手半分と舞台の下手半分が観客席で座布団が置いてある。
やはり話題の作品で入れる人数も限られているのか、
入り口で、スタッフパスで入ろうとしていて止められている人もいた。
券くれたお兄さん、自分の券やったんかな・・・ありがとう。

セリフはなかったかな?
女の人が出てきて、自分そっくりの等身大人形を遣って、
男の人が、それをサポートして、
映像もふんだんに使われる。
録音もあるだろうけど、オペ室で電子楽器の生演奏もしていたようだ。

最後の見せ場は女の人の腰にロープをつけて、
男の人がそれを引っ張って、人形も女の人も吊り上げて、
ブランコのように揺れながら、
本水はったプールの中に入り、なんども出たり入ったり。
白いヒダヒダのスカートをはいているから、
水に濡れると重いやろなぁー。

舞踏のような世界。

Entre2

こんなプールと人形。
これは終演後。

Rod Burnett "L'Odyssee de l'Espace"

ドラムの上、の様なケコミの上で、
手にボールをつけた位のシンプルな人形で、
生命の進化、別々の所で進化した二つの種が
出会う。
という様な話。

動きもそれなりで、アイデアもそれなりなんだけど、
60人未満のもっと小さい会場なら良かったかも。
おじさん一人で演じる。
なぜ、一人でやるんだー、と思ってしまう。
照明は上から照らす小さいの一つで、
それのゼラ(色)替えもその人がやる。のに、もたつく。
音楽は編集が悪くて、雑音あったり、つなぎがきたなかったりする。
そして、お話の二つの種の出会いをきっちり描いてくれないのが・・・・・・
ぜんぜん別の進化をした二つの種がであったらさ、
そら、いろいろあるやん。

公演会場の印はコレ↓

公演会場−7

これ、Metaの会場。7ねんですよ。7。
なんか横棒いれはるねん。

展示会場はこんなしるし↓

展示場−F

次―20日お食事編

9月21日(jeudi)

GAIA TEATRO "Les mondes de Fingerman"

良かった。サイコー!

表現の面白さがまずある。
そして、その技術が高い。
その上で描いている作品世界がしっかりとある。
今回観た中で一番でしょう。

これは女性二人が素舞台で手に小さい頭だけの人形を
主に手の表現で演じます。
実はこの一人は日本でも有名なヒューゴアンドイネスのイネスさん。
そのイネスさんが主に人形表現を担当。
もう一人の女性がそれをサポートしたり、
自らの身体をケコミとして海や炎や大地を表現します。

セリフはない。
小さい人形だけど、まったく小ささを感じない。
演出も素晴しい。
はじめ人間の成長を描いているようだけど、
少しづつずらして、ナチュラルな世界を描くわけではない事を盛り込む、
空を飛ぶ場面もあるけれど、
それがその人形の成長として受け入れられる。
ので、表現の巾が広く、ファンタジーな世界が堪能できる。

オムニバスではなくて、一つの繋がりのある世界なので、
ヒューゴアンドイネスの時よりさらに良いという意見もあり。
けれど、私はそのヒューゴアンドイネスは観ていないので分からない。

GAIA teatro素舞台

こんな舞台。素です。
ぶれている人がイネスさんなんだけど・・・

Green Ginger "Rust"

イギリス。割としっかり人形劇。
ここはけっこう評判の劇団らしい。
役者は男性三人。

男の子が何か工場のようなところで働かされていて、
脱出しようとするか、闘うか、する様な話。
身体の繋がった双子のDJとか、モヒカン髪の友達とか
機関士とか、悪い奴とかいろいろ出てくる。
船と潜水艦も舞台になっている。

Rustの舞台

こんなんです。
この潜水艦は後の方で出てくる。
板のそこここがそれぞれ舞台になっている。
横の扉が開いて、人間が出てくるシーンもある。
歌がうまい。

けれど、それぞれの場面が小さく、アクリル(?)の向こうの場面もあり、
なにか、せまってこない。残念。

夜は、路上パフォーマンスの見たいものもあるけれど、時間が少しあるので、
やはりOFFのプログラムを観に。
前日にゼンちゃんたちが行って良かったって言っていたので。
ここは終わってから木戸銭(お気持ち)制。
二つ観た。どちらも短い芝居。

le C.R.O.U.S crew "Saga des Habitantes du val de Moldavie"

男女二人。
小さい机の上に両開きの箱扉があって、その開いたところと
その箱の中の芝居。
人形は個性的で面白い。
けれど、やはりフランスもの、詩の様なモノローグ的セリフが多い。

le C.R.O.U.S crew "Madame"

これは女性一人で。骸骨の死神マダムのある日、
という様な芝居。
人形は小さいけれど、面白かった。
箱庭のようなケコミ舞台で、半分に壁2面のマダムの家。
マダムは骸骨頭とその下は黒い布だけ。手はある。
そこにフォークの刺さった農夫の死体が届いて、
それを気にいって、いろいろ話しかける。

みたかった路上パフォーマンスは場所が違っていて見られなかった。

次―21日お食事編

9月22日(vendredi)

L'aRT eN gAine "Vanitatum Cabinetum"

ケコミがおしゃれ。可動式。

おしゃれなケコミ

男一人、女二人。
男の人はショーを進める役回りで、女の人二人がそのアシスタント役。
女の人の一人はモンロー系で客にアピール。
もう一人はラテン系の美人で無愛想なキャラクター。
その設定が面白いんだけど、活かしきれていないのがちょっと残念。
けど、今回観た中で人間がちゃんとキャラ設定しているのはこれぐらいだった。

人形はギニョールで、助平な男が死んで、けど蛸とかいろいろなモノに復活して
世界中で子どもをつくる・・・みたいなちょっとエッチな話。

"Cocktails"

男性一人。飯田にも来ていたらしい。
だからゼンちゃん達は観ていて、どうしようか悩んでいた。

あるバーにくる客達のオムニバス。
バーテンは遣い手のひざに顔をつけて、手も使って演じる。
客はみんな糸操り。

うまい。
けど、その先がない。
うまさの先を見たいのに。
これだけ操作が上手いんだから、その先を追求して欲しい。
例えばローゼルのような味を出してほしい。
バーテンと客のからみがすくないのも物足りないし、
客同士の絡みもない。
ただ、バーという所にいろいろな作品を押し込んだ感じになっている。
もったいない。

カメの動きはかわいい。

※ローゼル=ドイツの糸操りの名手。何度か来日している。※

DROLATIC Industry "Cabaret Drolatic"

これは、23:00開演。
少し前に開場したと思ったら、
ロビーみたいなところに入れるだけで、
また、待たされる。
それでも、ロビーにはこんな人形も飾ってある。↓

おじさん人形

さて、この劇団は若そう。まだ学生?
作品は3本。
1本目はドラムの生音入りで、男性一人が演じるギニョール芝居。
卵から恐竜が生まれて、おじさんがそれを退治する話。
すごくストレートなお話。

ここで生まれる思い―23時から大人ばっかりでやっているのに、この真っ当さは何に?

その後映像も付いている。うーん、これはいらんやろ。

2本目は別の男の人一人で演じる観念的な詩のような・・・
人形美術は個性的。
たるいモノローグの連続の舞台。

ここで、場面転換。
なんか失敗な空気が・・・
帰る客多数。
どうする?2本目はかなり眠気を誘った。このノリでもう1本か?
けれど、公式の写真の人形がまだでてへんやん。ええい、最後まで!

板状のケコミ

これが、後で撮った3本目の舞台。
3本目は1本目でドラムをしていた男の人と女の人で演じる。
客は減ったけど女の人気合入っている。

面白かった!
お話はある男の悪夢からはじまる。そして目覚まし時計で起きて、
コーヒー飲んで、出かけて、満員電車に揺られて、
会社に行ってハンコを捺して。
そんな1日。
主人公の人形はシーンによって大きさが違う。
それもそれなりに面白かったけど・・

つづき、またその1日が繰り返される。少しテンポアップして。

そして、更に、この板ケコミをひっくり返して、1週間の各曜日のチェックを入れて、
また同じ1日が繰り返される。
けれど、今度はまったく裏から。
つまり演者は舞台奥を客席に見立てて演じる。
すると、二人が、道具や人形をアクロバティクに受け渡ししたり、
あるシーンでは休んで、新聞読んでる様が演じられる。
そして、テンポはどんどんアップしていき、
もう1度前向きにひっくり返して演じるときには、
かなりグチャグチャで、
(と言っても、ちゃんと計算されたグチャグチャで)
大きさの違う人形が一緒に出て、皆満員電車に揺られたり、
演者の荒い息遣いが伝わってくる。

面白かった。
ああ、この時間にやる作品や、これこそ。
しかも人形劇をやっている者が多いから、
裏の様子はなお更おかしい。

この人形美術はロビーの展示と同じタイプ。
若いエネルギーのある芝居だった。

◎本部の野外ライブ会場◎

今日は帰りのバスの時間も気にしなくて良いので、
歩く心配もないし、本部に寄ってみました。
もう、フェスも終盤。

本部のライブ会場

演奏もあるし、お酒もあって、ワイワイ盛り上がっている。
うーん、けど、やはり自分が上演していないのが残念。
フェスは、なんかやらないと始まらない気がする。
交流もうまれにくい。

次―22日路上編

9月23日(samedi)

Marc Schnittger "Handwork 2eme partie"

男性二人。というのはカーテンコールで分かった。
手袋人形。
ケコミは高さの違う2段ケコミ。
ともかく手袋人形のオンパレードで
いろいろな話をしていく。
はじめは、箱からいろいろなキャラクターというか国のひとが
いっぱいただ出てくるだけのネタから。オープニング。
ドイツなんだけど、言葉は意味のあるドイツ語ではないと説明していた気がする。
(いや、それも英語の説明やから・・・)

空中に浮く装置を発明した博士とその娘の短編とか。
ゴム手袋のレスラーと白手袋のレフェリーの話とか。
鳥を買ってきた酔っ払いの話とか。
夫婦の浮気話とか。

技術もそれなりで、話も良くできていて、
面白かった。
ただ、フランスの人たちは言葉が分からないのでちょっと不満な空気。
やーい、やーい。私たちなんか同じ事だもんね。

たぶんインプロでいうジブリッシュで進めているのではないかと思うのだけど。
もしそうなら、自国の言葉風のジブリシュって難しいのにな。

もちろん、観ていると、パペットてなもんやのソーランを思い出す。
あれも、負けてへんよ。ああ、PONTAたちに見せたいな。

La Fabrique des arts... D'A COTE

ここはOFFのプログラムで幸薄き女性の人生を描いてたのと同じ劇団(たぶん)
なので、ちょっと期待した。けど・・・

女性一人。
美術は面白い。
トランクを組み合わせてケコミにしている。
(トランクってこだわる人、取り付かれたような人多いな。
何やろ、なにかトランクには魔的な魅力があるのかな)
主人公と思しき顔の人形は大きさが違うので何体もある。
他は顔に?マークのついた平物。
色彩が落ち着いていてきれい。

だけど、
どうも、
うまくない。
あれ?
なんか小さいポカも多いようやし。
これも女性一人、登場人物は主に一人のモノローグな芝居やし。
なんか、役の捉え方が違う気がする。

うーん、残念ながら、これがシャルビル最後の観劇でした。

さあ、電車の時間が迫っている。
4人で早足でホテルに荷物をピックアップしに寄って、駅へ。
帰りは4人でコンパートメントを一つ占領して、
いろいろ話ながらパリに向かったのでした。

次―23日おまけ編