9月15日(vendredi)

いきなり素敵な観劇の話から始められると良いんだけど・・・
そうは、いかない。

まず、シャルビルの駅を降りると、出口は後ろ側に近くて、
私は荷物を引きずって歩く。
ぶじ到着している三人を追って。
んで、ホームからの通路のところで呼び止められた。
Policeに!
パスポートを見せろって。
ガイドとかでは警官に成りすました人間にパスポートを盗られるって話もあるので、
用心しながら渡したら、(私服やし)ノープロブレムとか言って、
透かしてみたり変に貼り付けてないかチェックしたりしていたけど・・・
ほんで、すぐに返してくれた。

はあ、やっと三人と合流して、「どうする?」宿も心配やけどチケット予約も心配。
ともかく4人で本部に。歩いて。

さて、このフェスティバルカードの予約なのですが、
いずれ「シャルルビル・メジエールへの道」に詳しく書きたいのですが、
小切手を郵送でしか受け付けてくれず、返事もないので
無事取れているかどうかとっても不安なのでした。
予約と小切手のコピーを見せるが、どうもうまく通じない。
予約者のファイルを探しているが、みつからないみたい・・・
タラ〜〜〜、
けど、入金帳みたいなのをくって、どうも入金は発見したようで
もめている。
はじめおじさんだったのが、少しでも英語が出来る人って事でおねえさんに代わって
いわく、どうも用意が出来ていないらしい。1時間後に来てくれって。
しかたない。「はい」

けどさ、1時間では宿に行ってくるって訳にもいかん、
ともかくそこで時間をつぶす。
ちかちゃんはすでに完売の公演をチェックして、もし、ダメなのがあったら
すぐに別のを言えるように準備している。
ぜんちゃんはその辺にあるチラシを集めてまわっている。
しかもこの時、私が番号を間違えて書いて1つ違う公演を申し込んでいた事が判明。
ごめん。

1時間後。
おそるおそる受付へ。混んでるし。ならんでやっと、さっきのおねえさんに。
良かった。ほとんどとれていた。
一つだけ、すでに完売していた。すぐにちかちゃんチェックが役にたって、
違う公演をお願いする。
公演(カードで30プラス3)のチケットを4枚ずつ確認しながら渡してくれる。
丁寧すぎ?
いやいや、さっきの事もあるし、こっちも1枚1枚チェックしながら受け取る。
こんな事してるから受付混んで時間かかるんやな。

なんとか、フェスティバルカードとチケットをゲット!
良かった。
と、公演を観る前に公演編の一つ目は終ります。
次は宿編へ。

CONTRE CIEL ”L’Ebloui”

会場は広場から北に行って、橋を渡って、緑の小山を迂回する。
割と町外れ。オリンピア山?(たぶん)
なんか武道場のようなところ。広さは小体育館くらい。
観客席のひな壇が作られている。(たと思う、だいぶん記憶が・・・)

作品は、4人で演じる。年配の一人の役者が語りながら進める。
布の使い方が面白い。首の長いヤギ?とか三人で演じる三匹ヤギ面白い。
最後の町のシーンは軽妙な芝居があって面白い。
けど、全体は何しろ言葉もわからないし話がよく判らない。
観客にもそんなに受けているようではない。

次―15日路上編

9月16日(samedi)

"La Tempete"

会場は広場のそばの市ホール(市民会館?)。
2階席ありの500〜700位のホールだろうか。

作品は女性7人で演じるテンペスト。
人形が個性的で、前衛的な(?)造形。おおきい。
遣い手の女性たちがみんな黒いドレスのような黒子で美しい。
セリフでハーモニーを奏でるのが美しい。
ただ、人形が大きくダイナミックなのに、ほとんどの場面を紗幕の向こうで
演じるので、すごくもったいない。
迫力がびんびん伝わってくるわけではない。
数場面だけ、前に出るところ、そのシーンは遣い手も生で演技するところがあって、
そこはやはり、芝居が前に出てくるんだけど・・・

次―お食事編(生牡蠣)

JAVAH

ここの会場は本部の北に位置するところだが、分かり難い。
古い倉庫のようなところ。仮設の客席。
フランスの公演はともかく待たせる。
開演時間にやっと開場というところが多い。
(開演時間になっても開場しないとこもあった。
なぜかフランス以外の外国の作品は10分まえ位には開場したような気がする。
それでもフランスの人たちはおしゃべりしながら待っている。
順番抜かしは平気でするようだけど。)
会場に入ると、宝石やお金が通路にちりばめられている。

JAVAH入り口

(帰りに撮影しました。)
↑右上に見えているのが仮設の客席。
向こう側が舞台。

JAVAH舞台

はじめは、上の白い丸のところが垂直に立っていて、
そこに小さい明りが映る。
その小さな明り3つが旅立つところから話が始まる(たぶんそんな感じ)
遣い手の影も効果的に関わって、やがて下の舞台に
明り(コードつきの電球)3つが現れて、
それと、彼が使う頭だけの人形。で話を進めていく。
演じては一人だけど、一人介添えの女性がいて、
その息がぴったりで、まるでマジックのように、人形たちが活き活きと動く。
人形といっても、電球であったり、頭だけで、身体は手で表現する。
その手の動きが軽やかで魅力的。
セリフもアップテンポで、人物の語り分けもしっかりしていて、軽妙。

JAVAH

↑この手にしている頭。
命を吹き込んでいた。
今回のフェスでいろいろ見た中でもトップクラスの面白さだった。
言葉はもちろん分からないのだけど、メリハリが利いているので、
最後までひきつけられた。

次の公演会場は分かり難いって話なので早めに来たらさすがに時間が余って、
近くで展示場がある事が分かったので覗いてみた。

TAPTOE

どうもフェスの仕組がよく分からないまま参加しているので、
ああ、そうなのかと後で気付く事が多い。
Exposition って書いてアルファベットのふってある会場は
展示会場だという事がやっと分かった。
まだ、準備中のところも多かったけど。

Sofie Krog "Diva"

シャルルビル・メジエールという町は実は
シャルルビルとメジエールという二つの町が一緒になっているらしい。
この会場はそのメジエール側で中心地より少し南の宿より。
近くに古い教会があって美しい。
でも会場は分かり難い。分かり難いと他の人からの情報で聞いていた
けど確かに分かり難かった。

作品は女性一人で演じる。
舞台には直径1.5mくらいの赤い円柱のケコミ。
その1面が開いて歌手の場面からはじまる。
公式サイトの写真のすごい顔の人は博士(?)で媚薬か何かを
作ろうと歌手の何かを狙っている人らしい。結構小さい人形で、ちょこちょこと
車椅子にのって動く。
ケコミが回転すると、その研究室のような場所が現れる。
実は主人公というべき活躍をするのは、隣の更に小さいネズミ(?)
音楽は録音で入っているし、擬音も録音もあるけれど、
演者が口で入れる「ポーン」とかいう擬音がかわいい。
一番前で見ていると、みんなには聞こえないくらいの声でもいっぱい、
「えっしょ、えっしょ、」
みたいな声を言いながら遣っていて、面白い。
歌手の右手が、独自のキャラクターで、
歌手の付き人のような役柄で、その楽屋も別の面にある。
その関係、表現が面白い。

これも、今回観た中でかなり面白かった作品です。
演じている上品な感じの女性とのギャップも意外。

9月17日(dimanche)

日曜は朝バスがない。しかたなくタクシーを呼んでもらって、
市内へ。
昨日の空き時間にちかちゃんたちがホテルを探して、22日のホテルを
市内に見つけてくれた。21日はもう一泊F1がとれた。
これで宿の心配もなくなった。

BARUTI AU BOUT DU FIL "Cuisine Folle"

コックとその見習い(どちらも人間)の小芝居を挟んで
派手な人形の音楽に合わせた踊り。
中身はあまりない。コック役の女性の大げさな芝居に子ども達はウケているけど、
それで良いのか?言葉わからんけど、なんか違う。期待はずれ。
公式ページの写真の人とキャストも違うみたい。
終わってから、残っている観客に人形見せるサービスは丁寧にしてくれたけど。

次―17日お食事編

DIEGO STIRMAN "Entremets"

おじさん一人で演じる。しゃべくりのコメディアン?
人形劇もしたけど、印象に残っていない。
最後は客を二人舞台にあげて、いじりながら、手伝ってもらって、
自分は水を入れたドラム缶で人形劇をしようとするがぐちゃぐちゃになるというネタ。
あ、ネタバレ・・・ゴメン。

LE GRAND MANIPULE "Tout s'emboite"

役者4人。おじさんともう一人男の人。女の人二人。
ここはサービス満点(芝居の中身の)。
ちょっとひつこいくらい。
作品内容も濃いものが多い。
マニアックには今回一番好きだった作品の一つ(変な日本語)。

オムニバス(?)という程関連はないだろうが、主に5つの作品からなる。
その一つは時計台が動いてきて、(それも怪しい擬音入りで)
ダンボール色の薄紙が吸い込まれていってはじまる。
150cm四方くらいの四角い箱ケコミにおじさんが変な濃いメイクで現れて、
めっちゃテンションの高く変な芝居をアップテンポでメリハリ効き過ぎで進めて行く。
何かをゴミ箱にほかして、反撃されて、みたいな・・・
そのおじさんの芝居が他の作品の間に演じられて、4回くらい出てきたかな。
つけ眉毛も飛ばして汗だくで、紙に飲み込まれて・・・
ウイーン、ピン、ニコ、ウゲ、グオー、マラード!プッ、ウギー、グワン
みたいな。長い言葉は少ないからなんとなく判りやすかったのかな。

それから、丸いケコミにゴムをはったところに女の人が足とか手を出して演じる、
毛との闘いを描いた話。

女性の手と男性の手で演じる二人の恋の一幕。

長靴と長靴を頭に被った男女二人で演じる、
長靴から連想されるいろいろなシチュエーションの
連続する芝居。

炭鉱(?)労働の一場面を掛け声とナグリや工具の遣り取りと
その受け渡し芝居。
うーん、これは字で書いてもさっぱり伝わらんな。
(他のもそうやて?そうやけど、これは特に)

ともかくテンション高く、そごく・・・変な芝居だった。
たぶん好みはいろいろやろな。けど私は好きだった。

次―18日おまけ編(森?)

9月18日(lundi)

Lejo"Handiwork"

レジョ?いいえ、どこの読み方か分からんけど、レヨって読むらしい。
オランダの方です。
手にピンポン玉のような目を付けて人形として演じる。
何かのCMか広告で日本でもみたような気がする。
上手い!
構成も良い。
大きさもいろいろあって、小さいのは指1本に小さな目玉を付けたもの。
悪い奴も出てくる。
4段のピラミッドのようなケコミを縦横に動いて、
とても一人とは思えない物語展開をしていく。

団体鑑賞の小学生の子ども達も入っていて、大喜びだった。
うん、こういう作品は子どもと一緒に観たい。
観ている子どもの反応も面白い。
人形と言っても、具象的なものではないけれど、
目はあり、しっかりとキャラクターをもって動くので、
はっきり生きた存在として感じられる。

ETE"Adieu Benjamin"

これは、演じるのはおじさん一人。
他に生バイオリンの演奏(男の人)と語りの女の人(通訳?)
ケコミは地球のような青い1.2m直径くらいのボール。
その球面の上で演じる。

照明も計算されていて、出遣いだけど遣い手は目立たず、
横に座るバイオリンと朗読の人もいい具合で、
人形も見えやすい。
ただ、人形はちょっと平面で単純な作り。

物語りもかなり完成されている良い作品のようだ。
ようだ・・・って言うのは、会場の雰囲気からそう思うんだけど、
残念ながら言葉が分からないので、確信はもてない。

Alcazar marionnettes

この会場は変わっていて、
街の北。川のそばの公園に仮設のテント(テントはたいてい仮設だけど)を
建てて見世物小屋のようになっている。
たぶんここの劇団のものなのだろう。

↑これは、帰りに撮ったんだけどね。

で、話はくたびれた芸人とその召使がやってきて(人間)
パフォーマンスの準備をする。
召使役の人が、どん臭く、バタバタしながら、一人で準備する。
芸人は座って、あごで使い。自分は酒を飲んでいる。

そして、歌を唄う段では、芸人は突然しゃっきっとして
召使は担いでいた箱の覆いを取ると、それは
アンプスピーカー付きの(たぶんお手製)ギター。
↓いいな、コレ。


んで、お話はそこからで、猫の皮らしき不気味な人形を
召使役の人の方がつかって、物語になっていく。
途中、観客を舞台にあげたり、
観客に木の枝を渡して、ウサギ頭の被り物を渡してウサギ役にしたり、
客席にもよく乱入する。

そして、最後にびっくりな仕掛けもある。
全体にはすごく怪しげで猥雑で、散らかし放題で、グチャグチャ。
だけど、出し物としては完成度高い。
なんだかよく分からないけど、目が離せず観続けた。
「ああ、こんな人形劇の世界がヨーロッパにはあるんだ」と
感心した作品でした。

Teatro dei PIEDI

市会館で。
舞台には色鮮やかな絵を描いたトランクがたくさん並べてある。

女の人二入で演じる。
オムニバス。トランクを次々開けてその中からにんぎょうを取り出す。
人間も簡単な衣装を着けたりして、役に扮する事もある。

目玉は、足で演じるという事。
二人の足4本で。小さい椅子のようなものに座って、ケコミはなしで、演じる。
アイデアは良いが、作りは雑。
演出も雑。
作品の変わり目で変なタイミングで明りが落ちて、
拍手に応えて、挨拶して、
明りが点いてる状態で次の準備をする。
それを見せるほどの演出でもない。
そのくせ、時には黒い幕で、何かを隠すが、
そんなに隠さなければいけない程の必要性は感じない。
でも、二人がのびのびやりたい事をやっている様な感じはする。
だから演出が・・・。

この公演は珍しく、前の方の席は指定席になっていた。
そこにはコレまでの公演を観に来ていた人たちとは違う服装をした人たちが。
何かのえらいさんご招待公演?
うーん、やっぱり人形劇関係者って基本的に服装がラフなのは
ヨーロッパでも変わらないんだと、あらためて気付いた公演でもありました。

次―18日おまけ編(なめくじ!)