ふらふらとソウル

眼鏡

ジョンシク君の電話で眼が覚めた。 シャワーを浴びて(ほとんど水!)窓を開けると気温はちょっと上がったようだが、 依然と夏ではないような気候だ。昨夜到着したときは空港にしてもトkサンドンにしても、 涼しいというより寒かったのだ。ちょっと頭が重い。

ジョンシク君はあのあとSPEEDのビデオを明け方まで見たそうだ。 これは旅行直前にテレビで放送されたものを自分が録画して、SPEEDファンの彼への土産に持って来たものだ。 この番組を録画できたのはまったくの偶然だった。会社の昼休みに同僚から「今晩、見るの?」と聞かれたので、 なんのことかと思えば「北の国から'98時代」のことだった。 何を隠そう自分はこのドラマが一番(と言っても二番以下はないのだが)好きなのだ。 「え?なんだって?全然知らなかった!」新聞を横取りしてテレビ番組欄を見ると、 確かにその晩から2夜連続で放送される。KNTVばかり見ているとこういうのがわからない。 ワールドカップも参院選もこの調子で別世界だった(サッカーの方はまだ情報が入っていたけど)。 「あちゃ、録画しなきゃ」と放送時間を調べていると、ふと隣のチャンネルでSPEED特集があるのを発見した。 裏番組なので、どちらかを誰かに頼まねばならない。 (この歳で「SPEED特集を録画してくれ」と頼むのは赤面ものだったが) 結局「北の国から」を人に頼んで、SPEEDは自分で録画した。

腹が減っていたが、ジョンシク君が「食べてきました」というので、ちょっと我慢した。 市内バスに乗る。「眼鏡を作りたい」と前夜言っておいたのだが、予想通り南大門市場へ向かうのだ。 再びサッとデーバッグを背負ってくれる。体調が悪いので本当に助かる。もし彼が日本に旅行に来たら、 自分が荷物を持ってやろうかと思うが、たぶん頑強に断られることだろう(笑)。

1時間程かかって到着すると、さっそく彼の知っている眼鏡屋に入った。 韓国製フレームが安いのは聞いて知っていたので、「韓国のものが欲しい」と主張した。 いまから思えばもっと高いのでもよかったのだが、 ジョンシク君という1人の韓国人を連れて行くことでどのくらい安く作れるものなのか、興味があった。 前々回に普通の眼鏡屋で作ったダテ眼鏡は5万ウォンだった。一番安いフレームが3万ウォンだと言われた。

検眼オンニは難しい顔で「乱視ですね」と言い放った。 この間まで両目とも1.5だったのに、近視どころか乱視まで・・・ 自宅と会社でパソコンに向かうとこういうことになるのか。 職場でも珍しい裸眼男の自分も、ついに眼鏡をかけるのか。「おい!そこのメガネ!」なんて呼ばれるのか。 そんな感傷は、忙しい検眼オンニにはまったく通じていないようだった。 「よく見える」とか「見えない」とか「目が回る」とか、レンズを差したり抜いたり組み合わせたりして、 淡々と作業は進む。プラスティック製レンズの傷防止処理までやって3万ウォンだった。 確かこのコート(?)が1万5千ウォンだと言っていたから、レンズとフレームで1万5千ウォン! 自分1人で来たらどうだっただろうか?同じ値段で作ってくれると信じたい。

ちょっと違和感があるようにも思えたが、「初めて眼鏡をかけるとそんなものだから我慢してください」 (たぶんそんなことを言ったと思う)という言葉に従って、出来上がった眼鏡をかけたまま店を出た。 どうも地面が右上がりに見える。夏に眼鏡をかけると暑いんだということを知る。 サングラスではあまり感じなかったことがいろいろとわかってきた。どうにも妙な感じだ。 しかしコンタクトレンズよりはマシだと、自分は今のところそう思う。 眼にモノを入れるなんて、想像するだけで涙が湧いてきてしまう。

そのあと頼まれものの胃薬を買って、ブデッチゲを食べつつビールをちょっと飲んだら、 今朝から感じていた頭の重さがはっきりと頭痛に変わったので、眼鏡をはずした。 そのあと頼まれもののCDを探しに明洞まで歩いて、 思い直して鐘閣まで地下鉄に乗って、ミュージックランドへ行こうとしたところで、 ジョンシク君に自分の荷物をずっと背負わせたままなのを思い出し(冷たいお兄さんだ!)、 早めに旅館に部屋をとって荷物を置いた。 このとき探し回ったCDは、ミュージックランドにもタワーレコード(鐘路・江南)にも小さなCD屋にもなく、 帰国前日まで気がかりで探し続けたが見つからず、のちに発売されていないということが判明(笑)した。

もう頭痛は我慢限界までひどくなってきた。昨日のお返しにジョンシク君に昼飯も晩飯も奢りたい。 しかし晩飯まで耐えられそうもない・・・薬局で頭痛薬を飲もうかとも思ったが、 慣れていないと胃をやられそうでやめた。

「甘いもの好きですか?」というのをちょっと聞き間違えて、コーヒーショップでパッピンス (ミルクかき氷に小豆とアイスクリームが乗ったもの)を注文してしまった。 ジョンシク君はこれが好きなようで、手際良くグチャグチャにかき混ぜて食べている。 自分は、まずこの「かき混ぜ」からしてイヤである。イヤだが混ぜて混ぜて混ぜて、 混ぜればどうにかなるかと思ったがやっぱり自分には甘すぎて、半分ほど残した。 ジョンシク君に申し訳なかったが、この時自分の頭痛は臨界条件をブレイクして、義理も人情も放り出して打ち明けた。 「ごめん、さっきからすごく頭が痛い。今日はこのまま旅館で寝てもいいだろうか?」

ジョンシク君に頼んでおいた、「タンシニ クリウォジル ッテ」という5年も前のドラマの主題歌が、 ついに見つかったという。もはやCDは入手不可能(らしい)で、テープなら取り寄せることができたそうだ。 そのテープが入荷するのが、自分が日本に帰る前日の夕方だという。 それでその日の夕食の約束をして、旅館に戻ってそのまま眠りこけた。途中何度か眼が覚めて、 頭痛が治まっていないのを確認するとまた額に腕を乗せて(こういうのは気休めですね)眠った。 何度目かに目覚めたときにかなり回復していたので、蚕室のヒョンに電話を入れて明日の昼までに行くことを約束した。 しかし、朝までに回復している自信はまるでなかった。電話しながら頭痛がぶり返したからだ。

旅行記6−1
旅行記6−3
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