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『それじゃ、やっぱりそうだ。寺田君、ラジオで君を探している人があるぜ』

私が奇異な思いにうたれてぼんやりしていると、

『とにかく行ってみるのだね。君を探してくれる人があるのだから放っておいては悪いよ』

というようなやりとりは一切なかったのだが、高速に乗り成羽町を目指す。

児玉から賀陽まで、2つのジャンクションがあるのだが、ジャンクションはいつもどきどきする。

車のスピードが速いだけに『間違ったほうに行かないだろうか・・・』と不安になるのだ。


『山中鹿之介の墓』
賀陽のインターで下りて、高梁市へと入った。

目的地まであと少し、程なく発見する。

コンビニに入ると見せかけ、手前の道曲がり車を止めた。

後ろの車に乗ってた人たちは怪訝そうにこちらを見ている。

『なに?どうしたの?コンビニに入るのかと思ったよ。』

『何を、言ってるんだ。これを見ないで先に行くわけにはいかない。』

私は、車を止めた場所の傍の石碑を指差した。

『山中鹿之介の墓』

戦国時代、果たせぬ夢と知りながらも、主家尼子氏再興に生命を燃焼させた山中鹿之介の墓だ。

尼子といえば、『八つ墓村』で、村に落ち延びた八人の落ち武者が、尼子の落ち武者である。

それもあるが、たんに私は戦国武将が好きなのだ。特に義理堅い武将が。真田幸村とか、後藤又兵衛であるとかも。

『願わくば我に七難八苦を与え給え』

山中鹿之介の神への誓願の言葉である。詳しいことは自分で調べてください。

結局なんだかんだいって、みんな写真に収めていた。


夜の宴会のためにゆめタウンで買出しを行う。

みんな残っても、次の日に持ち越せばよいと考えて大量に買出しした。事実半分は次の日の宴会に持ち越した。


成羽町に入ったとことで、電話が鳴る。今日の宿『ラ・フォーレ吹屋』からだった。

だいたいの到着時間を告げ、宿への道を走り続ける。山道が続くため、到着は思いのほか早くなりそうだ。

明日行く予定の西江邸を左に見て、ラ・フォーレ吹屋へ続く山道へ、今まで走った道よりさらに山道へと進む。

『去年の岩手のオフのときの山道みたいだね』という声も。

去年の岩手オフ。金田一温泉に行ったオフのことだ。計画をした幹事が、結局は不在だったオフだ。

オフの最中、約1時間以上にわたって、車同士がすれ違うこともままならない道をぐねぐね走り続け、目的地まであと1.5キロというところで、

『工事中、前面交通止め』ということになったことがあった。

先に進むのは無理、無論携帯電話は通じない。引き返すとなるとまた一時間以上かけて山道を引き返さなくてはならなかった。

みんな眩暈にも似た感覚を覚えたに違いない。私が初めて『途方にくれる』というのを味わったのはこの時だ。

そのときは、運転手であった人物の交渉により、工事中の道をお昼の時間を使って通してもらった。

それでもお昼になるまで、その場で1時間程度足止めされた。

実は、その別の場所、盛岡駅で約5時間に渡り、連絡が取れず絶望を味わっていた人がいたのだが、それはまた別の話。


ラ・フォーレ吹屋に到着した。

『3年に一度ご利用でしたよね。』と言われる。

『・・・えっ?』そんな事実はない。

『あ、そうでしたか。勘違いです、すいません』言葉を濁した。

何か隠しているのか?

それとも私の知らないところで、なにか起こっているのか!?

なにも起こらなければいいが・・・と思う。

事実何も起こらなかったわけだが。

ラ・フォーレ吹屋

ここでは、私のを残して全員の携帯電話が、圏外となっていようだ。

到着後、まもなくの食事を終え、お風呂にも入ってひとつの部屋に集まり、宴会の準備を始める。

真夜中ではまだ時間があったが、私は一人窓際に立ち窓をあけて外を見た。月のない夜は闇が深い。

一番奥まってはいないが、くしくもそこは二階の部屋だった。

私はゆくりもなくもその柳の樹の下に、眼もあやに飛び交う無数の蛍火につつまれて、蹌踉として立った真珠郎のすがたを垣間見たのである。

『なんだ、いったいあの男は?』

私は思わずぞっと身顫いをしながらそう言った。

『綺麗な男だね。怖くなるほど綺麗な男だね』

乙骨三四郎は顫え声で・・・と、これは『真珠郎』の引用だが、あたりは宿のライトに照らされた闇で幻想的だった。


全員が集まり宴会が始まる。テレビをつけて、お菓子と、飲み物をそれぞれに口にはこぶ。

もちろん話す話題は決まっている。

『キョウコーー気合だーーーー!!』

夜も更けて、11時半ごろ襟裳屋さんに電話をする。

『いまどのあたりですか?いつごろこちらに到着できそうですか?』

襟裳屋さんは今回のオフに参加ではなかったわけだが、とりあえずこれは言っておかなければならない(笑)

襟裳屋さんとそれぞれに話をする。相変わらずとても明るい方だ。

みなで、さんざん話をした後、電話を切る。

襟裳屋さん遅い時間、長いあいだ話をしてくださってありがとうございました。

又機会がありましたら、お会いしましょう。


結局午前2時ごろまで、宴会は続いた。

話題はいろいろな方向に向いたが、それを書きはしない。内容はオフに参加者だけのものである。

ただ、その夜にみたテレビの内容が、常に引用されることになる。

『気合だーーーー!!』

明日は今回のオフで一番内容の濃い工程をこなさなくてはならない。

オフ一日目 『点と線』おわり

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