オフ一日目 『点と線』
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10月9日、オフ当日となった。

台風である。台風が、年間日本上陸記録を更新しながら、向かってきていた。

しかし、岡山は今回の台風の影響はほぼ回避され、降っても小雨程度というところだった。

結局、オフ三日間にわたりほとんど雨にも見舞われず、天気は良好だったことになった。

参加者の中には、台風の影響下から来られる方もいたが、朝からの連絡の限りでは、予定通りの時間に全員集まれそうだった。

そういえば、前日のメールで途中参加をする予定であった、真珠さんが不参加ということになった。非常に残念である。

少し風邪気味で、のどが痛かったのでカプセルの風邪薬を持っていこうとしたが、『八つ墓村』のオフということで少し不安を覚えやめた。

もちろん、車の運転をするということで、少なからず睡眠作用がある薬を飲むのはまずいかなと思ったからです。・・・他に理由が?


まずは最初の待ち合わせ場所へ向かう。基本的に車移動なのでガソリンは満タンにしておいた。

待つ間にもう一台車を出してもらう人に『ガソリンを満タンにしておいてください』とメールする。

今回は山に向かって走ることが多いので、よもやガソリンを入れていないということはないと思ったが、

『ガソリンも半分、お金も半分』という返信が返ってくる。メールをしておいて正解だった。

待ち合わせ相手と時間通りに合流し、一路倉敷へ向かう。


倉敷・・・倉敷は島田荘司のシリーズ作品の一つ、吉敷竹史が小学校時代を過ごした町だ。

吉敷シリーズの始まりはトラベルミステリーなので、トラベルミステリーが苦手な私としては、島田作品でなければ読まなかったであろうと思う。

作品の中でもオフに参加する夏維さんが、一押しなのは『奇想、天を動かす』だ。

衝撃のトリックとあわせて、考えさせられるストーリーを持つ作品だと思う。

私はどの作家の作品でも、あまり一番好きな作品とか考えないのだけれど、

あえて吉敷シリーズでどれが、気に入ってるかというなら『灰の迷宮』とか『飛鳥のガラスの靴』が気に入っている。

トリックが、というより物語とか展開が気に入っているのだ。

その吉敷竹史の第一作『寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁』がこの12月6日(予定)に映像化される。

主演は鹿賀丈史のようだ。

鹿賀丈史といえば、『れっといっとびぃ悪霊島』。あの長靴金田一としても活躍されていた。

この『れりびぃ悪霊島』。私が一番最初に金田一に触れた作品のような気がする。

金田一耕助に触れた一番最初が、映像作品なのは間違いないのだけれど、最近になってどうもそんな気がしてならない。

まあ、調べる術もないし、調べようとも思わないけど。


そんなことを考えているうちに、新倉敷に到着。残りの参加者の到着を待つ。

2人ほど、程なく合流した時点で、その場所が、新倉敷駅の北口であるということに気づく。というか、知らなかった。

『まあ、いいか』とも思ったが、もう一台の車のこととかもあるし、すぐ南口に車を回す。

予定時間・・・午後12時にして南口にたどり着き、もう一台の車とも合流を果たす。参加者はほぼ全員そろった。

参加者のふみさんは、発端にも書いたが今回のオフの工程の多くを決めていただいた。

参加者の方が今回のオフの工程がすばらしかったと感じたなら、それはすなわちふみさんの功績だろう。

KENさんは半年振りくらいだが、いままでも、また今回もCOOLだ。

蒐集家でもあるKENさんのためにも、今回困難とされる古本屋には寄らなければ、と思った。自分のためでもあるけど。

わかんないさん、私とは約2年振りではなかろうか。

『あたしはいきます でも、いつかかえってきます。蝶が死んでも、翌年また、美しくよみがえってくるように。』

というメッセージを残しHPを一時閉鎖している。今回のオフ参加はHPが『不死蝶』として甦る一端をになってるのかも。

わかんないさんはオフでの演出家としても知られて(?)いる。

今回も、おかま帽をかぶっての登場。さらに、よれよれ着物姿に袴・・・ではなかった残念。

夏維さんとは、広島県福山市での『島田荘司講演会』以来である。そういえばずっと夏維さんの漢字を夏椎と思っていた。夏維さんすいません。

赤を好む夏維さんであったが、今日は赤い服ではなかった。

みんなに伝えた参加者が、12時30分ごろ到着予定のつなさんを残してそろった形となる。

全員に真珠さんのオフ参加断念の旨を伝える。やはりみんなひどく残念がっていた。

そして、その目は私に向けられる。それはまるで『四面楚歌』、『八つ墓村』で、村人に見られる辰弥の気分といえばいいだろうか。


と、さらに一台の車がこちらに走ってくる。

私の合図に気づき、こちらに向かってきた。そしてまもなく車は止まり、運転手はそこに降り立った。

ほかのみんなは怪訝そうな顔をしている。この状況を理解できないでいる。

『実は・・・みんなには黙って・・・秘密にしていたのですが・・・』

私は言葉を続ける。

『オフの3日目に参加を表明された小林さんです。』

それを聞いて、みんな沸き立つ。

『えー、聞いてないー』

それはそうだ、言っていないんだから。

『友達?知り合いなの?』

私も初めてだ。オフの参加を締め切った後の10月6日、その時点でファーストコンタクトがあったのだ。

『新しい人が来るのがわかっていれば、それなりの心構えがあったのに』

・・・知ったことではない(爆)

なんにしても、今回のオフでまったく新しい人が参加していただいたのは、うれしいことだ。

『はじめまして。小林です』

HNもあるらしいが、『小林でいいです。』とのことだった。

そういえば、私もHNを変えようと思っていた。隼白鉄光という名前に!

ああ、隼白鉄光! 神のごとく魔のごとき、神出鬼没の鉄光!・・・浸透せず、そのままとなったが。

それにしても10月6日の少ないメールのやり取り、オフまで後3日の時点で、オフ参加を可能にした小林さんもある意味すごい。


つなさん到着前に、今日の目的地の野崎家旧宅、および昼食をどうするかを考える・・・と見せかけて夏維さんと新本格の話をする。

私にとっては新本格・・・というか島田荘司以外の現役作家の知識はほぼ皆無なので、夏維さんにいろいろ意見を聞いている。

森博嗣のS&Mシリーズをすべて読んだのも夏維さんに意見を聞いてからだ。なかでも『数奇にして模型』は気に入っている。読んでよかった。

夏維さん的には、いままでの森作品をすべて・・・短編も長編もシリーズ以外も読んだ上の『四季』4作が最高らしい。

それを話す夏維さんの目はキラキラしている。私がそこまでたどり着けるかどうか・・・


程なく、つなさんが合流する。

つなさんとは私の初めてのオフである東京大会から、なにかにつけずいぶんとお世話になっている。

8月21、22日の『乱歩展』記念オフでもいろいろお世話になったのだ。

『BAR黒猫亭』というHPを持っていたが、今は『仁木悦子メモリアル』一本で経営されている。

私が『猫は知っていた』(仁木悦子)を読んだのはつなさんの影響である。


全員そろった所で、結局昼食はラーメンで、ということになり『土地勘はないが、ラーメン屋は知っている』という人の案内でラーメン屋を目指す。

ラーメン屋の名前は、う・・うな・・うま・・・忘れた。屋外での食事もできるラーメン屋で、ともかくラーメンは美味しかった。

なお、その時点ですでに私の車のBGMは横溝映像作品のサントラに変えられていた。

そのまま今回のオフの全工程をそのBGMで突き進むことになる。


目的地の野崎家旧宅まで上道か?下道(げどうではない、したみちと読む)か?という話になったが、

『裏道を知ってるぜ、ヒッヒッヒッ』

という人がいて、先導していただくことに。ヒッヒッヒッとは言わなかったが。


車の込む道をほどなく走り、しばらくしてわき道にそれる。進む。ぐんぐん進む。さすがに裏道だ。予想以上の速さをもって野崎家旧宅へ到着した。

駐車場に車を止め、全員車を降りると、ひとりうれしそうにこう話す。

『野崎家旧宅はこの場所だったのか。近くにあるラーメン屋なら知ってたから、どのあたりの場所かわかったよ。』

どうやら、自らの知るラーメン屋とラーメン屋を結ぶ『点と線』が、野崎家旧宅という場所・・・『点』を『線』でつなげたらしい。

まさにラーメンの『点と線』、さしずめラーメンの松本清張といったところか。


以前に撮影した野崎家旧宅
全員で野崎家旧宅まで歩く。

野崎家旧宅。

4月にフジテレビで放送された稲垣金田一の『犬神家の一族』のロケ地でもある。

が、私は現時点でこの『犬神家の一族』を見ていないのだった。

現実にいえば見た。『猿蔵殺さないで。』という台詞の約2秒ほどのあいだだけだ。

現実にいえば録画はした。ただ見ようとしたら、全編にわたって砂嵐だっただけだ。

よってどこがどうロケに使われているかは皆目わからない。
野崎家旧宅の正面に立つと、みなそれぞれカメラを取り出す。

『皆さんデジカメですか。私はフィルムなんですよ。ケッケッケッ』

と、高そうなカメラを取り出す人も。ケッケッケッとは言わなかったが。

みなそれぞれに進路に沿いながら、撮影をしている。

中にはメモ帳を出し、案内人に話を聞く人も。

その姿はルポライター浅見光彦のようだ。旅先の情報収集に余念がない。

以前に撮影した蔵の前
10月9日はもう少し曇っていた
私としてはいつか見れるであろう稲垣金田一の『犬神家の一族』との映像の検証は持ち越しだ。


野崎家旧宅を出る。本日の工程としては後はもう宿に向かうだけとなる。これから高速に乗り成羽町を目指すのだ。

ここで、横溝オフ初参加の小林さんとはお別れとなる。

とても残念だが、また会うこともあるでしょう。そのときまでまた。



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