朝、ホテルを出て札幌駅に向かいます。天気は曇りで少し気分が沈みます。今日乗るのは特急「オホーツク」。函館本線〜石北本線を通ります。網走まで5時間ほどかかるので、楽するためにグリーン車を奮発。特急のグリーン車に乗るのは初めてで、かつ分不相応な感もあったりでドキドキものでした。グリーン車は車両の半分くらいの小部屋になっていて、普通車よりずっとゆったりした座席が並んでいます。
「オホーツク」の車両はキハ183系という北海道専用のディーゼルカーで、国鉄時代から走っています。登場からは20年近く経っているものの、グリーン車など車内はリニューアルされていて比較的きれいでした。列車の速度などは新型車にかなわないのですが、函館本線を走っている間は揺れも少な快適な乗り心地。一方、空模様は札幌を出て間もなく雨に変わり、これでは去年の二の舞に…。毎年恒例の悪天候となってしまうのか?
天気のことはどうしようもないので、とりあえず列車の中で楽しむこととします。この列車、と言うかグリーン車では客室乗務員「ツインクルレディ」によるサービスがありまして、普通車と違って本当にくつろげます。コーヒー1杯が貰えるのは飛行機と同様なのですが、居眠りしていると毛布を掛けてくれたりといった細かいことの「間」が良かったんですよ。もっともグリーン車には我々の他に数人しか乗車していなかったためにそれだけゆとりあるサービスが提供して貰えたのかも知れませんけど。
寝たり起きたりしているうちに遠軽に到着。ここで列車の進行方向が変わります(路線の配置がスイッチバック状になっているため)。進行方向に合わせて座席を回転させるのですが、この時向かい合わせになる席には誰も座っていなかったので半ば占有状態にしてました。そうこうしているうちに、ツインクルレディが「かにめし」を持って登場。前もって注文していた「遠軽のかにめし」が遠軽で積み込まれ、座席まで届けられたものです。かにめしは、去年の旅行記でも触れているように長万部のそれが有名なのですが、KazY氏に、遠軽にもかにめしがあると教えてもらったので今回試すことにしたのです。昼食には少々時間が早かったので、食べるのは後にすることにしました。
途中、オホーツク沿岸で最大の都市である北見を通ります。北見からは「ちほく高原鉄道」という第3セクター鉄道が出ています。「ちほく」とは国鉄池北線、すなわち池田と北見の頭文字から来ているのですが、平仮名書きだと由来がイメージできないですね。
到着まであと30分ほどとなったので、ようやく先ほどのかにめしに手を付けることにしました。
ふたを開けてみると、目に鮮やかなカニが目に入ります。長万部のは醤油で濃く味付けされており、見た目も鮮やかではなかったのですが、こちらはパッと見で「カニだ!」と分かるのが良い感じです。味付けもあっさり目で、美味しく頂けました。
ほどなく、終点の網走に到着です。出発時にこの列車の写真を撮ることが出来なかったため、ここで列車撮影会(?)となりました。この日の「オホーツク」には、団体貸し切りのお座敷車が1両連結されていて、その派手な外観が異彩を放っていました。ホームから車内を覗いてみると、小宴会の後といった感じでした。こういう車両に乗っての旅行もぜひしてみたいですね。
さて、駅から外に出てレンタカーを借ります。知床方面に向かうDamaさんと、阿寒湖方面に向かう私・suzumuさんで別れます。レンタカーは私たちもDamaさんも同じ車種(トヨタ・デュエット)でした。
suzumuさん情報で、能取湖に群生するアッケシソウという植物が旬という話だったので見に行くことにしました。アッケシソウとは別名サンゴ草とも言われる植物で、9月上旬はその名の通りサンゴのように赤く色づき、湖面を染めている状態でした。これを見に訪れる観光客も多く、それに合わせてカラオケ大会などのイベントが行われていましたのですが、まるで田舎の盆踊りのようなやかましさで、ちょっと興ざめな感じも。
能取湖を後にして、阿寒湖方面に向かいます。途中で休憩した美幌峠は深い霧に覆われており、景色は全く望めませんでした。しかも寒かったし…。
峠を下り、屈斜路湖に立ち寄りました。ここは湖岸に温泉が湧いているという話で、砂浜で自作の露天風呂を掘っている(?)人も見られました。
また屈斜路湖では巨大怪獣(恐竜?)クッシーが棲息するらしく、怪獣のオブジェも置かれています。
次に、川湯温泉近くの硫黄山へ。その名の通り硫黄で出来たような山で地面が薄黄色に見えます。煙が上がっている事からも分かるように、相当に硫黄臭い場所でした。山の中腹では観光客相手に温泉タマゴ(黒いやつ)を売っていて、呼び込みの「タマゴ〜タマゴタマゴ!」という声がやかましかったです。私はここに来るのは2度目だったこともあり、早々に立ち去りました。
その後、suzumuさんに無理言って立ち寄ってもらったのがJR川湯温泉駅。私がずっと訪れてみたいと思っていた駅なんです。この駅には「オーチャードグラス」という喫茶店が併設されていて、以前から雑誌等で紹介されて割と有名な駅なのです。特にこの店のビーフシチューが評判ということで、ぜひ食べてみたいと思っていたのですが、今回は時間も無かったため同じく評判のソフトクリームだけ食べてきました。牛乳の風味豊かなクリームと、甘みがあるコーンが美味しかったです。次回こそは食事もしたいと思います。
喫茶店から出るとちょうどローカル列車が到着するところだったので、撮影したのち駅を後にしました。次は鉄道で来てみたいですね。
川湯を出た後は、阿寒湖に向かってひたすら走ります。時間は18時過ぎで、空はどんどん暗くなり、雨まで降ってきました。どんな景色なのかも分からないので、写真もありません。いい加減真っ暗になった頃、ようやく阿寒湖のホテルに到着しました。
阿寒湖温泉は川湯温泉のような硫黄泉ではなく、色も臭いもない重曹泉でした。また食事は北海道産の料理(カニや十勝牛ステーキなど)のバイキングだったので満足のいく量を食べられました。翌日の計画などを立てながら就寝です。この時、本州には台風が接近中だったとか…