なぜRPGの主人公はレベル1なのか?
   
2000.2.5
 さて、今回のお題はRPGです。
 RPGをプレイした事がない人はいないでしょう、ドラクエのよーなライトなRPGからウィザードリィ等のディープなRPG、あるいはFEやスパロボなどのシミュレーション要素の強いもの、さらにはイースに代表されるアクションRPGまで、様々な種類はありますが、いずれも
「主人公(達)が敵を倒して経験を積んでレベルアップし、能力値が上昇することで少しずつ強くなっていき、最終的に敵の大ボスを倒せるようになる」
というRPGの基本ラインに則った展開であることに間違いはありません。
 しかし、ここで一つの疑問があります。
 RPGの主人公というのは、ほとんどの場合スタート時はレベル1です。
 勇者オルテガの一粒種だろーがバラムガーデンの卒業生だろーが勇者マキシムの血を引く青年だろーが王国百騎長だろーが勇者ロトの血を引く王子様だろーがファルガイアを旅してきた「渡り鳥」だろーが、とにかく皆スタート時はレベル1。
 飛空艇団「赤い翼」の隊長様や自称神羅カンパニーのソルジャー崩れはさすがに違いますが、それでもレベル10程度。
(どれが誰のことかわかります?)
 はっきり言って弱っちい。
 レベル1の勇者様の場合、城の周りをうろつくスライムやカラスに突っつかれただけで瀕死になる。
「なんでこんな弱いヤツに魔王退治などという大任を任せるんだ?」とか、
「町人Aの方がまだ強いんじゃないか?!」などと思ってしまうのはお約束。
 しかし、この疑問に対し、FEトラキア776が明確な答えを教えてくれています。
 FEトラキア776には「シビリアン」というクラスで町人が登場するのですが、驚くなかれ彼らのステータスは全て0。
 力0、早さ0、技0、守備力0。
 さすがにHPは0ではありませんが、それでも10しかない。
 敵の攻撃を一発受けただけで即死。
 この能力値を、RPG世界における町人の標準値と考えてみてはどうでしょう。
 玉座に偉そうにふんぞり返って「魔王を倒して参れ」などとまるで近所にお使いにでも行かせるかのように気安く言う王様も、「ここはアリアハンの街です」と街の入り口に立っている町人Aも、武器防具屋の店主も、必ずスタートの街にいる「武器や防具は装備しないと意味がないよ」と言う町人Bもみなステータスはオール0。
 これではスライム退治すらできません。
 こいつらに比べれば、レベル1の若僧の方がまだ期待も持てるというものです。
 
 もう一つ。
 RPGの主人公によくある設定として「剣の達人」や「世界を旅して回っている」というものがあります。
 しかし、その割にはレベルが1だったり、雑魚モンスターに苦戦したりします。
 これはどーゆーことなんだ?! と思いますが、この場合は
レベルは絶対的なものではなく、相対的な数値なんだと思いしょう。
 つまり、レベル1でも人間としては十分強いが、RPGのシナリオで色々経験を積んでさらに強くなっていく場合の目安としてのレベル。
 ゲーム開始前の経験値も含めれば、本来のレベルは100くらいあるのだと。
 雑魚モンスターに苦戦するのは、モンスターがそれだけ強いのだと解釈すればノープロブレム。
 ゴブリンやコボルド、スライム等の基本的な雑魚でさえ、並みの人間には到底歯が立たないんでしょう。
 だからRPG世界の住人達は、魔王の驚異に怯えるだけで自分で何とかしようと思わない。
 そうじゃなかったら、どこぞの国の王様が軍を率いてさっさと魔王城を陥落させてますって。
 
 …と、いうわけで。
 RPGの主人公達が一様にレベル1からスタートするからと言って、彼らは決して弱くないんですね。
 むしろ一般庶民には及びもつかない強さを身につけているのです。
 さすがは主人公、と褒め称えてあげましょう。
 まぁでも、スライムに苦戦する勇者様というのは絵にはなりませんが。