BEST6：

「グリーンフィッシュ」

　はっきり言って2000年はイ・チャンドン監督年。この監督処女作は第二作「ペパーミント・キャンディ」より遅れてレイトショーでひっそり公開されたが、そのセンチメンタルさによって「ペパーミント・キャンディ」よりもポピュラーになる可能性を持っていると思う。一組の男女を軸に進行するストーリーだが、まず、冒頭で語られる出会いのシーンが胸をしめつけられるほどに良い。久々に、映画でなければ見られない、本当にきれいな「出会い」を見せてもらえた。続くメイン・ストーリーも、冷たくも切なく、胸にせまる。韓国の石井隆とでも形容したくなる皮膚感覚豊かな映画である。「シュリ」「カル」で刑事とか諜報員とかやってるハン・ソッキュだが、不器用ゆえに誠実、誠実ゆえに不器用な青年をとても好感度高く演じきっている。ヤクザ組織のボス役のムン・ソングンはさらに素晴らしく、個人的にはこの映画のMVPは彼であると思う。