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■6/13(金)「チョムスキー9.11」
 「カトリック映画賞」というのがあるらしい。過去の授賞作品をみてみると「阿賀に生きる」だったり「地球交響曲」だったり「GO」だったりよく分からないのだが、今年の授賞作はジャン・ユンカーマン監督「チョムスキー9.11」。お仕事の関連があったのと、かねてより見たい映画だったのでフイルムで見られる貴重なチャンスということで出かけた。米国各地での講演映像に加えてオリジナルインタビュー映像をさしはさみながら、"反骨の知識人"ノーム・チョムスキーの語る姿をずっと追い続ける映画。「なぜ米国だけを悪者にするのか?」と聞かれると「たまたま現在世界最強の国だから、米国が最も"悪い"のだ」と語るチョムスキーにとっては、覇権国家は基本的にどいつもこいつも同じような連中である。ドイツも、アフガン人に毒ガスを使ったイギリスも、大陸で中国人を殺しまくった日本もだ。「ブッシュの大好きな聖書に書いてある事を引用すれば、他者に対して適用する基準を自分についてだけは適用しない人間のことを偽善者と言う」実に明快である。これを言ってしまえば世の中の政治活動や経済活動はおおむね偽善の産物ということになるが、こういう、ちょっと考えると暗澹となるような主張をギャグを交えながら平然と言い放ち、「でも世の中は基本的によくなってるよ。私も講演できるようになったし」と笑みをたたえる。この男・・。チョムスキーの本は今刷られまくっており、オレも3冊ほど持っていたりするから映画の中の主張は目新しいものではないのだが、この主張を73歳のこのご老体がこの顔で話している、というその現場を映画として見られるのは重要なことだ。この映画を見たらチョムスキーの人物が好きになり、また彼のちょっと過激な主張について別の角度で考えるきっかけにもなるだろう。世の中マトモなことを言う奴が一番過激だって話もあるしね。
 上映の後は監督の講演+質議応答。「この映画では音楽が忌野清志郎さんなのですが、なんでジョン・レノンの"イマジン"じゃないんですか」なんでイマジンじゃないんですかという質問もすごいなぁ・・「いや、実はアテてみたんですけどね。ハマりすぎで・・。まぁ海外で上映すると一番批判されるのが音楽なんですが、なんせ日本映画ですからこれでイイと思ってます」ってな話が面白かった。あ、てっきりフイルム上映だと思ってたのに会場に行ってみるとDVDだった!口惜しい〜。

■6/9(月)「地獄甲子園」+「ラーメンバカ一代」「めぐりあう時間たち」
 送ってもらった試写状で山口雄大監督「地獄甲子園」見る。映画化不可能といわれた漫☆画太郎の原作を初の映画化・・というが漫☆画太郎の映画化は不可能というより無意味というのが近いのではなかろうか。実際最大の見どころは野球ではなく(つーか野球してねえ)漫☆画太郎マンガの定番ともいえる異常に強いババアと坂口拓との超絶カンフー決戦である。しかし併映短編「ラーメンバカ一代」は見事に漫☆画太郎していた!こちらは一見の価値あり。
 にしても「地獄甲子園」の脚本協力:石井輝男とは一体どこの部分だったのか・・とか思いながら新宿ピカデリーでスティーブン・ダルドリー監督「めぐりあう時間たち」を見る。石井輝男はかつて「映画三本分の脚本を一本にまとめることによって見せ場だらけの映画を作れる」という脚本の秘訣を披露していたが、それを生かして作られた・・って違うよ!3つの時代における3人の女性たちが、それぞれに変奏しながらも一つの物語を生きてしまうという筋、と一文にまとめるならばそうなるだろう。3人の女性の間の不可思議な繋がりを描くあたりがこの映画の実にうまい所で、大いに感心&感動します。3人の演技の中ではやはりジュリアン・ムーアが印象深いが、クライマックスのメリル・ストリープのまなざしにも惹かれる。しかし発見はニコール・キッドマンで、何が発見だったのかと臆面もなくハッキリ言えば、つけ鼻をつけている顔の方がオレ的に好みなのであった!公式サイトはドメイン名が最低だが(誰が決めたんだ、「時間たちドットコム」って)、この手の映画には珍しく壁紙ダウンロードができる。早速会社のPCはつけ鼻のニコールにしようと決断。
 フィリップ・グラスの音楽はサントラ単体で聴くと「過去作の使いまわしかなァ」などと失礼なことを思ってしまうのだが、映画の中で鳴っていると素晴らしい。しかしやっぱりサントラは初見後に聴くべきだなぁ。どうしても耳に覚えのある音楽が気についてしまう。
 あと、やはりこの映画を見ると「ダロウェイ夫人」が読みたくなるところだと思うが、中野の本屋にはまったく特集されていない!オレの記憶は不確かながらたしか文庫化はされていたと思われるのに、まったく平積みもされていやしない。これは問題ではなかろうか?
 新宿の紀伊国屋書店で、「私説東京繁昌記」のつながりで小林信彦「私説東京放浪記」、それから前掲書で触れていた小林秀雄の「故郷を失った文学」が収録されている岩波文庫版「小林秀雄初期文芸評論集」を求める。
 中野駅北のフレッシュネスバーガーでコーヒーを飲みながら、宮本輝の「道頓堀川」を読了。映画は相当に脚色してあったんですな。映画を見て感心したところとオイオイと思ったところ、例えば渡瀬恒彦の玉突きが重度のヤク中で、突く前に便所で注射し、鏡に向かって自分の下目蓋をひっぱり下げて凝視するシーンなどの凄みは原作には全くなく、また一方で映画のそりゃないでしょと思わせるラストも原作にはなかった。深作の映画は原作よりも過剰な面をもちまた一方底抜けではあったのだが、その両者の中間部分で振り切れない曖昧さの中に縮こまっている感を原作小説には持ってしまった。「私説東京放浪記」も少し読む。「〜繁昌記」は1980年代前半に書かれたものであったが、こちらは10年を経てバブル後の東京という時間の中で書かれたもの。
 最近の自分は、鹿島茂「平成ジャングル探検」から始まった、東京の盛り場の来歴的なテーマに妙に取り憑かれている。李小牧「歌舞伎町案内人」では、歌舞伎町でヤクザや大陸マフィアの間をガイド稼業で巧妙に生き抜く筆者が、高田馬場から中野のマンションに越したというくだりで、自分の住む町の一つの側面を見た思いを抱いたりもした。宮本輝に大して興味がないにも関わらず「道頓堀川」に惹かれるのも、この盛り場の空気〜精神的なものに興味があるからかも知れない。しかし宮本輝の小説には空気が感じられない。深作の映画にはあると感じられる。やり過ぎではあるが。

■6/12(木)「ある日どこかで」(ネタバレ的なものあり)
 NHK-BS2でヤノット・シュワルツ監督「ある日どこかで」見る。職場の年輩の方にすすめられるまでこの映画のことは全く知らなかったのだが、恋愛ファンタジー映画におけるカルトムービーのようで、こんなホームページもある。青春の時に現れた美しい老婆と、「帰ってきて」と言う彼女から託された時計。劇作家として大成した男はグランド・ホテルに滞在中、かつての老婆が若かりし頃の写真を発見し、彼女に会いたいと願う。大学時代の哲学の先生から「自分の身の回りのモノを完全に目的の時代にあわせ、精神的にも完全に"その気"になったら、時を超えることもできる」というけっこうムチャなアドバイスを決行しようとする。そして彼は時間を超え・・という、なんだかジャック・フィニィかなんかみたいな話だなと思ったら、リチャード・マシスン原作・脚本の映画らしい。今回調べてみると「トワイライトゾーン」とかは有名なお仕事だが「激突!」の原作もマシスンなんですね〜。けっこうカルト・ファン多いのでは。写真のシーンとラスト・シーンが素晴らしかった。「タイタニック」のラストで今思うと不覚ながら号泣してしまった自分だが、原形はまさにコレですな。マンキーウィッツの「幽霊と貴婦人」とかも似た感じだったような気はするが・・。
■6/9(月)「私説東京繁昌記」
 昼食に中野駅北口のデルソルでランチ。サラダとコーヒーが付いてペペロンチーノ690円は安い。味で選ぶなら南口のパスタキッチンでもいいが、ここは店の雰囲気がさらに好ましい。小林信彦の「私説東京繁昌記」を読む。1980年代前半に書かれた文章で、その時点での「現在」はさらに2003年の現在から考えると隔世の感がある。しかも小林信彦は80年代前半の時点で「今の東京」を耐え難いと感じ、新しく造られる東京を呪詛している。「六本木ヒルズ」なんかどう思っていらっしゃるのやら・・。最近飲みながら友人に「偏屈だよね」と指摘され、その図星度に大いに悶えた自分だが、ハッキリ言ってオレなぞは甘っちょろいもはなはだしく、本当の「偏屈」とはこういう己の背骨を決して曲げない人のことを言うのである。かくのごとく偏屈でありたい・・。ホメた言い方で言うならば「反骨」ということになろう。なれないが。その小林信彦氏は遥かに偏屈/反骨の先輩として永井荷風をみているようである。
 そもそもこの本が気になったのはつい先頃急逝した安原顕著「決定版「編集者」の仕事」の133P以降に採録されている、雑誌連載時の思い出を綴った小林信彦のエッセイを読んだためだ。もし手近の書店にあれば、立ち読みでも何でもで一度読んでみてほしい。絶対に「私説東京繁昌記」が読みたくなることと思う。ちなみに「編集者の仕事」もエディターのためのガイドという体裁を大きく超越し、一つの文化的同時代の記録として貴重な一冊だと思われる。前もプッシュしたと思うが、2,100円という値段は破格というべきである。こちらも必携。
 夜、衛星劇場で市川昆監督「犬神家の一族」をやっていたので見る。(実はちゃんと見たことなかった)暑いのでトランクス一丁で見ていたが、例の湖水から足ニ本出てるシーンでは思わずベッドの上でマネしてしまった。
↓つまりこういう行為だ
映画?ああ〜。あおい輝彦の演技なんとかしてくれ。

■6/2(月)「道頓堀川」「8Mile」そして!「エロ将軍と二十一人の愛妾」
 洗濯物たたみながらWOWOWつけると、深作欣二監督作「道頓堀川」をやっている。いやーこれは名画ですな、名画。オールスターキャストだし、名画をバカにしちゃいかん・・などと思いつつ多少クサいところもまた愛嬌とばかりにセットに再現された昭和の歓楽街風景を楽しんでいたのだが、映画はそのような一観客の気分に対して気配りすることもなく、ラストあたりで段々おかしな具合になってくる。賭けビリヤードの金につまった山崎努演じるハスラーが、妻を騙して体を売らせている間、編み上げの長いマフラーを風になびかせながら待っている・・と駆け足で出てきた妻が「このろくでなし!これが欲しいのか!」と札ビラを投げ付け、泣きながら駆け去るのだが、山崎努は妻を追い掛けようともせず、風に飛び散ろうとするその札ビラをいそいそと拾い集める。その姿までは素晴らしいが、その一瞬後に「アアッ!」ととってつけたような叫び声があがり、ふと観てみると先ほど駆け去った妻がトラックに轢かれ、血まみれでこちらに死んだ眼を向けているのだがそこに急速な深作的クローズアップ!何なんだこの唐突なショック描写は!!と混乱していると、その後のさらに輪をかけて唐突な主人公の巻き添え刺殺・・。だってどう考えてもこの映画の中で一番傍観者だったのはコイツじゃねーか!なんでいきなり一番割り食ってんの?佐藤浩市が死ぬところじゃねーのかココは!?無理やり結末をつけたとしか思えない。実に納得のいかないラストに、それまでの語り口の絶妙な名画イメージが吹き飛んだ自分でありました。でもけっこう面白かった。ヘンだけど名画ですよ。松竹だしな。
 最近休日における自分の怠惰ぶりに驚く事が多いが、時間がたっぷりあったにも関わらず坂口安吾全集04とかダラダラ読んでたおかげで(いや「二十七歳」はまさに今のオレにとって福音書的文学作品ですな・・などと思いつつ)、「めぐりあう時間たち」の最終回に間に合わない時間になってしまった。そんなんで結局昨日券買ったカーティス・ハンソン監督「8Mile」を見る。エミネム本人には全く興味ない人は見ちゃいかんのであろう映画でしたな・・。とりあえず一週間後も覚えていそうなシーンは、エミネム働く板金プレス工場に昼休みにフラッと現れたブリタニー・マーフィー(めっちゃかわいいです)。エミネム「今夜どこか行かないか」「今行きましょうよ」と連れ立った二人がプレス用の板金置き場でセックスするシーン、これ一つでありました・・。あとはまあ何かデトロイトの街ってすげーきったねえのな、と妙に感心したくらいか。とりあえず映画の中で描かれる悪という悪事についてはエミネム本人は完全に傍観者であり、まともなことしかやってないのが「?」という感じだ。いや、実際彼の半生はそうだったのかも知れんし、悪人として描いては一般観客の支持を得られないということもあろう。しかしソレだったらマトモに地道に働いてる奴の方がエラかねえか?一貧乏白人が、泥をすすってでも這いあがるというドラマを見たかったなぁ・・。勝手な幻想でしたかね。蔦屋で安かったんでサントラは買ってみたが。
 そういえば、蔦屋に寄ったのはそもそも伊藤俊也監督の「女囚さそり」シリーズ未見作を見ようと思ってのことだったのだが、伊藤監督さそりシリーズは全て貸し出し中なのだった!さそりは不滅なんスね〜。さそり見たいなと思ったのはこないだ衛星劇場で長谷部安春監督「女番長 野良猫ロック」を見たがゆえで、この映画がまた和田アキ子はどーでもよくて(と言うかアッコ演技してねえ)、何と言っても梶芽衣子の映画だったのである。やっぱ梶イイな〜、これは「けもの部屋」だけでなくシリーズ全作見るしかねえ!と思い立ったが故であった。それなので長谷部監督作「701号恨み節」を借りてもよかったのかもしれないが、なんの気なしに見た鈴木則文監督作コーナーで燃えた!何といつのまにやら鈴木則文の傑作と誉れ高い「エロ将軍と二十一人の愛妾」がビデオレンタルされてるじゃねーの!!コイツはまったく不勉強でしたよ。見たいが見れなかった未見作のベスト10には入る映画だったため、迷わずレジに。で見ましたけど、実にアナーキーな映画でありました。個人的にやっぱり来たなぁと思ったのは杉本美樹ですね。この人、今デビューしても絶対にイケると思うのはオレだけかな?特に唇まわりの超チャーミングさはジーナ・ガーションに匹敵するとはばかりながら愚考致す次第。そして東映映画のギャグ特攻隊とも言うべき由利徹。どういうわけか清国大使・毛沢山(もうたくさん)という訳の分からぬ役に扮し、イカしたインチキ日本語を駆使しながらエロ将軍と外人愛妾とのエッチを同時通訳するシーンは忘れ難い。なのに映画の内容は権力批判。この映画については「東映ピンキー・バイオレンス浪漫アルバム」にあった岡田茂撮影所所長の命名エピソードが忘れ難い。当初「将軍と二十一人の愛妾」であったタイトルを、「将軍と二十一人の愛妾で、どうして客が入るんか。エロがあるから来るんじゃ」と言って変えさせた云々。(この本は他にも鈴木則文インタビューなど貴重な証言に溢れており、必携の書物と言える)こういうハレンチなまでの興行感覚というものが今の日本映画、いやさ世界中の映画から絶滅していることこそ、現在の世界映画における全面的ED状況の一因ではなかろうか・・などとキチガイじみたコメントはさておき、「エロ将軍と二十一人の愛妾」は切り刻まれた葵の御紋をバックに行われる林信一郎と池令子のセックスシーンに尽きる!なんか今日はセックスばかり評価している気がするが、別に欲求不満とかじゃありませんよ。


■6/1(日)「サラマンダー」←ぬるい
 「8Mile」でも見ようかと前売券買ってコマ劇前に行ってみると大行列。なんと今日は映画サービスデーで1,000円均一だった!就職してこっち滅多に映画サービスデーを利用していなかったので、いつのまにか毎月1日が1,000円均一になっていたということも、情報としては知りつつ行動判断の場面でまったく想起されることのない死んだ情報となり果てていたのである。んで、前売との差額がもったいねえなぁ、それに行列に並ぶのもしゃくに触るなぁ、大体エミネム聴いた事ねえし。ということでロブ・ボウマン監督「サラマンダー」見る。ところがこれがまた何ともヌルい映画でした。予想外にイザベル・スコルプコが出てきたのがよかった。しかも美人戦闘ヘリパイロットという妙にオタク萌えなキャラ設定。まぁこの人、演技がどーこーってのは全く関係ないんですが。
 会社の後輩がやってるバンドのライブを高円寺に見に行く。いやー鼓膜がヘコみました。最初から入ったら、目的のバンドが一番最後だと発覚。途中にはどうかと思う音楽もあったが、奴のバンド含め3つはイイのがあったのでヨシ。次やる時はまたチケットまわしてもらおうかな〜などと思いました。(←払え。

■5/30(金)大槻ケンヂ×三浦和義at新宿ロフトプラスワン
 めっきり書いてませんでしたが、その間あまりにも金がなく数本しか映画みていなかったせいもある。たしか見たのといえばマキノ雅弘監督「日本侠客伝 斬り込み」(大木実は絶対実は悪党だと思ったのに、なんか普通にいい人のままでチェ〜って感じ)、ルー・チューアン監督「ミッシング・ガン」(冒頭〜中盤までは面白い)、マイケル・アプテッド監督「エニグマ」(2回見たが同じ箇所で寝た)くらいだったと思う。そういえば4月中にアン・ビョンギ監督「ボイス」見たことも書いてなかったが、女の子があまりにもみんなかわいい他には、まぁ問題にするような映画ではなかった。(っつーかあのストーカーは何だったんだ?)
 ここんとこコレという注目作を見てない。「めぐりあう時間たち」に期待かなぁ。そんな中、今日は新宿ロフトプラスワンにて大槻ケンヂのトーク&ライブ「のほほん学校」。職場の同僚にいただいたチケで行ったんだが、なんとゲストは三浦"ロス疑惑"和義氏。いや〜面白かったですよ、この人。ちなみに公式サイトもあるみたい。大槻ケンヂというとかれこれ7〜8年前池袋文芸座でオールナイト興行STAFFのバイトしてた時にミニライブ&オーケンお気に入りの映画上映というイベントがあって、余談ながらその時上映されたのが「直撃!地獄拳」と「青春の蹉跌」とあと一本なんだったか忘れたが「地獄拳」を初めてスクリーンで観たのがあの時だったような気が。それはともかくとしてその折に集まってきたお客さんがまた日頃自分と接点のないタイプのロリ系フリルつき衣裳の女の子たちばっかりだったことを比較的はっきり覚えている。んで8年の歳月を経たこの日ロフトのお客さんを見回してみると、「あれアンタ8年前も同じカッコで文芸座来てなかった?」と思わず聞きたくなるよーな方々がチラホラ。面白いもんですな〜。とりあえず自分はオーケンのやっている音楽にはあまり興味がないのでけっこう後半のライブはツラかった(すんません)。

■5/4(日)今日も歌舞伎座「極付幡随長兵衛」、上野で「韓国国立中央博物館所蔵 日本近代美術展」(長ェ)、DVDで「ワイルドバンチ」
 銀座の歌舞伎座まで出向き、一幕見席で極付幡随長兵衛(きわめつけばんずいちょうべえ)」見る。(←タイトル以外昨日のコピペ)江戸期太平の世、軍事的役割も消えてただ遊興をむさぼり専横を極めていく旗本衆(これを旗本奴という)。彼らの横暴に立ち向かった町奴の頭領幡随院長兵衛が、遂に旗本奴のリーダー水野十郎左衛門の肝計によって湯殿で討ち取られるまでを描いた河竹黙阿弥作の演目。こちらも主役は團十郎。もともとみなもと太郎の「風雲児たち」で少し紹介されていたエピソードで、かねてより見てみたいと思っていたのだが、実際見てみるとこれがなかなかに面白い。見どころもたくさんあり、笑えるシーンもあれば、ちょっと目頭の熱くなるほどあわれを誘うシーンもある。「暫」よりこっちの方が個人的には好き。この幕は市川男女蔵ほか襲名披露口上も含まれており1,100円だったが、口上も初めて見れば楽しいもので、かなりボリュームがありました。
 さらに上野は東京芸術大学美術館へ移動して「韓国国立中央博物館所蔵 日本近代美術展」を観覧。終了まぎわに滑り込んだのでゆったり見て回ることはできなかったが、とにかく目当ての鏑木清方の画2点はしっかり見た。もともと李朝が収集し、のちに韓国国立博物館におさめられたコレクションの日本初披露ということで、日本画の他にも色々なジャンルの展示物が並べられバラエティーある展覧会。工芸についての知識は全然ないのだが、それでも松田権六という人の「漆器鷺籠文庫」、岩田藤七の「硝子花盛器」・伊東翠壷「彩填菱花文磁盤」などのモダンなテイストには興味深いものがあった。正直いえば日本画ってあまり興味のあるジャンルではないので(鏑木は別格)、むしろ工芸品が展示されてたおかげで楽しめたともいえる。それにしても、芸大美術館ってスタッフにきれいな女性が多いなぁ・・。かつてミラノに行った時、ブレラ美術館の館員がきれいどころぞろいでファッションも超洗練されていたのに感銘を受けたことがあったが、そういえばあちらも学生街にある美術館。してみるとどちらも学生のバイトなのか・・とすれば東京芸大というところは名花揃いですな(←俗人・・)。
 夜中に「ワイルドバンチ ディレクターズ・カット版」DVDを見る。かつてレンタルビデオで一度見た事があったが1,500円でDVDがリリースされたので購入したもの。メキシコ軍司令官のあまりの暴虐に、ウイリアム・ホールデンのたわしヒゲがみるみるゆがむ。そして血と硝煙と砂の舞い上がる殺戮シーンへ・・。スローモーションを多用した美しい暴力描写、やはり凄い。

■5/3(土)歌舞伎座一幕見で「暫」、さらに「X-MEN2」
 銀座の歌舞伎座まで出向き、一幕見席で「暫(しばらく)」見る。一幕見席というのはいわゆる天井桟敷のような場所で、4F席の一番奥から演目ひとつに限って見るもの。混雑時は立ち見になる(今回は一時間の立ち見になった)。900円と安いかわりにかなり舞台から遠い。悪の中納言清原武衛が謀反をもくろみ正義の人士を斬って捨てようとするそのとき、「し、しばらぁ、ァァ〜〜〜く」と呼ばわって出てくる皆さん御存じのアイツ。鎌倉権五郎景政という役名は知らずとも誰でも知ってる姿カタチのアイツが出現し、悪の一味はたちまちびびって竦んでしまう。アイツが身の丈ほどもある太刀をバサリとやると出合った使丁の首がゴロゴロ(かなり安い造りの首)。筋などあってなきがごとしの一幕ときいていたのでまぁ楽しんで見れるだろうと勇んで出かけた。それにしても歌舞伎にも楽屋ネタが出てくるもんだなぁ・・。たとえば、團十郎演じる権五郎景政に、板東三津五郎演じる照葉が「景政どの」と呼び掛けるのでなく團十郎の屋号で「成田屋の」と呼び掛けたりするのだ。けっこうウケてましたが、これも歌舞伎の世界というモノか。散見された米仏人らはさっぱり理解できてないようだ。花道がけっこう使用されるのだが、一幕見席からはちょっっとしか見えないので、できれば一階席でもう一回見たいなぁ・・。クソ高いけど。個人的には、戦隊モノの名乗りってやっぱり歌舞伎の見栄が原形なんだなぁ・・と思ったのと、鹿島入道震斎という役の姿にウケた。入道って言うくらいだから頭は青くてツルツルなのに、もみあげが超太長ぇ。髪の房とも見まごうようなもみあげの毛が、ヘソの下まで大きく婉曲して垂れてます。景政にも「どこの鯰と思ったら」とバカにされるが、なまずヒゲというのは聞いた事があってもなまずモミアゲというのは初めて見た。こんな異形でも肝っ玉は小さくて、景政の前に出るとコソコソ逃げ隠れるあたり笑わせてくれる。
 有楽町マリオンに移動し、日劇1でブライアン・シンガー監督「X-MEN2」見る。今回は人間VSミュータントの戦端が開いてしまい、プロフェッサーX勢と人間、さらにマグニートーの勢力が複雑な攻防を繰り広げるが、筋はよく整理されていて不安なく見れる。アラン・カミング演じるナイトクロウラーが魅力的!これでカミングは女性ファンを増やすに違いない。ケリー・フー演じるデスストライクもけっこういいなぁ。サイドストーリーも盛り沢山でヒュー・ジャックマンに興味がなくても見てて飽きず、ゆえに前作よりもオレはこっちの方が好き! 

■5/2(金)「シカゴ」
 新宿ジョイシネマでロブ・マーシャル監督「シカゴ」見る。だるい映画だが、ラストのダンスが圧巻なのでけっこう納得してしまう。レニー・ゼルヴィガーはどうもイモっぽすぎ、リチャード・ギアの演技や歌も全然感心しない。ラストの大盛り上がりがなかったらかなり辛かった。
■4/30(水)思わぬ邂逅
 西川口で大学時代の後輩E君と偶然ばったり。この町で知り合いに会ってしまうというのは気恥ずかしいものである・・。WOWOWで素晴らしいことにラングの未公開作「フィリピンのアメリカ・ゲリラ」を放送。もちろん標準で録画する。猪瀬直樹「ペルソナ〜三島由紀夫伝」再読。この本は作家という一時代人を透過して論じられた日本近代論として読むべきかと思われる。「沈黙のファイル〜瀬島龍三とは何だったのか」(共同通信社社会部)とあわせ、戦前と戦後を通して存在し続ける日本的な社会統治機構を鋭く衝いた刺激的な書物だ。
■4/29(火)「THE EYE」
 「The Ring」というタイトルまでも踏襲した香港映画「THE EYE」見る。シネクイントなんて行くの久しぶりだなぁ。中田秀夫を筆頭とするジャパニーズ・ホラーのテイストをふんだんに使った映画だが、どーにも香港映画的にザツなところが目立ち、今イチはまれない。思わずのけぞっちゃうようなイヤ〜な幽霊も出てくるんスけどね。死に神が人々を連れていってしまうシーンが出てくるが、魂がこの世から離れていってしまうという厳粛な雰囲気がなく、なんか「ハケてま〜す」って印象。何が足りないんだろう。世界に対する呪詛の気持ちを持っていないとホントに怖い映画は撮れないんスかね。ハリウッドがリメーク権をとったらしいが、そういえば「ゴースト〜ニューヨークの幻」に出てくる死に神にもけっこう失笑させられた覚えがある。

■4/23(水)ガンダム世代
  映画業界の話だし一回くらい見てみたいなと思って見た月9ドラマ「東京ラブ・シネマ」。玉山鉄二が財前に向かって「マチルダさんみたいでかっこいいです」と表現するシーンで吹いた。最近SakuSakuをはじめ、あらゆる箇所で同時多発しているガンダムネタ。みんな、カミングアウトし過ぎじゃねーのか?うちの会社に入ってくる女の子もどういう訳かガンダムファンが多く、面接で「ところで、ガンダムどう?」という設問があるのではないかとさえ思われる。
 昨日はああ言ったけどやっぱり引きずってる・・というメールが入ってきた。それにしても昨日はもう速攻元サヤっつってたのに、女心とはかくも揺れるものですかねぇ。
あるいは昨日の踏ん切りつけ過ぎっぷりはある種の強がりだったのかも・・としたらその方が私の女性不信的気分は救われますが。
■4/22(火)女族ってやつは・・やれやれ
  ここ数日、女友達のふられ話につきあって飲み歩く日々が続いてきた。私の「追う立場が明確になっちゃってるわけだし、これ以上しつこくしても辛いだけ」という忠告にも関わらず、なかなか諦められずメールしたり電話したりと色々あがいていたようだが、今夜ようやくきっぱり電話で「これ以上連絡されたら嫌いになってしまいそうだから、それはイヤなのでやめて」とまで相手に言われ、踏ん切りがついたそうな。結論出てから諦めるまで3日くらいか・・ま、ここまでは可愛い話。まぁ彼の方もせっかくこれまで熱くなってきた思い出に対して幻滅はしたくないだろうしね・・なんて話しつつ、まずはやれやれ一幕といったところか・・。と思いつつ飲んでると、
 「あーでもこれですっきりした。そういえば電話で『恋愛してる間、食が細くなって3キロ痩せたから良かった』って言ったら、なんかひいてた」
 ・・・・・。
 この女・・・(^^;)。踏ん切りつけ過ぎだろ!
 「あのね、これまでの思い出に対して幻滅したくないと思ってる男に対して、『でも痩せたから良かった』ってそれはないでしょ」
 「え〜っ、そういうもん?」
 ・・それはこっちのセリフじゃ!!
 さすがに相手の男にも「そういうことはあんまり言われたくないな」と言われたそうですが、この男の感傷に水をかけるがごときお言葉。女族ってこういうモンなの?と天をあおがずにいられない私であった。
 いや〜〜・・女の子って、本当に・・たくましいもんですね・・。(スタミナを使い果たした水野晴郎風に)
 この先さらに私を驚愕させた恐るべき事実が明るみに出るのだが、それはここには書かないでおいてやるっ。(←読んでないと思うけど)
 
■4/21(月)「スカーレット・ストリート」
  先月BS2で録画しておいたフリッツ・ラング監督「スカーレット・ストリート」を見る。エドワード・G・ロビンソン&ジョーン・ベネット主演による、ルノワール監督「牝犬」のリメーク。結末は陰鬱だが導入部の画造りと筋はこびはとても引き込まれる。ラングの親友が書いたという映画中画も素敵で、カラー映画だったらもっと良かっただろうなぁ・・などと思う。

■4/8(火)スペインの東海林さだお
  フラメンコやってる妹がまた本場に行って帰ってき、みやげにかなりキュートなグラスをもらったのだが・・。


 特に一番左のウシ、なんか東海林さだおのまんがに出てきそうじゃないっすか?
 闘牛見に行って、こんな連中が出てきたらすげー萎えそうで良し。(←いいんかい!)
 
■4/7(月)「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」(ナカグロ多いよ!)/大石最後の一日
  日劇PLEXでスピルバーグの新作「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」を見る。明るい未来を感じさせる60年代的テイストが美術や衣裳に溢れており、大いに眼を愉しませてくれるマニエリスム的映画、という感じ。トム・ハンクスの野暮ったいけどしつこいFBIエージェントというキャラは、「警部といえばメグレやクルーゾーより銭形」な日本人のハートにはストライクな造型であろう。
 歌舞伎座の一幕見席で母と一緒に「大石最後の一日」を見る。隈取りやハデな衣裳など一切なく、ひたすらシブい話。中村吉右衛門の役者ぶりはいいのだが、問題はお話で、赤穂浪士一同に切腹を申し渡す幕府の使いが「余事ながら・・」と吉良家も浅野家と同様にお家断絶になったことを知らせると赤穂浪士が一同感激のあまりむせび泣くなどのシーンでは、「赤穂浪士ってネクラな連中だなぁ・・」などと思ってしまう。五月の「暫」が見たいな。
 歌舞伎座から築地に移動して築地寿司清でビール飲みつつ寿司をつまむ。食べたいネタはウニイクラ穴子など大概出てくるおまかせコースで1人あたり3,000円、この価格でこの旨さは素晴らしい。板さんも愛想がよくて好印象なお店。食べたネタの中ではアジが一番好きでした。

■4/6(日)スーツ姿で鬼ごっこ(転倒)in花見&「許されざる者」。
  とある理由でスーツ姿のまま親戚とその関係筋の花見に参加。そこんちの子供を公園で遊ばせているうち、鬼ごっこをすることに。雨上がった翌日の公園はちょっと地面がぬるついていることもあり、2度ほど転倒♪←もうすぐage28の男。
 みなと別れて渋谷へ。HMVでチョン・ミュンフン指揮ウイーン・フィルのドヴォルザーク「弦楽&吹奏楽セレナード」、メンゲルベルク(指揮)のマタイ受難曲、ビオンディ(指揮&Vn)のスカルラッティ「協奏曲&交響曲集」、ギーレン(指揮)の「復活」、有田正広他によるテレマン「パリ四重奏曲集」、シャイー(指揮)による「Rossini:Discoverys」買ったらデンオンのCREST1000サンプラーCDが一枚ついてきた。一点1,000円のシリーズでサンプラー無料配付とは、やるなぁコロムビア。
 イメージフォーラムで三池崇史監督「許されざる者」。三池/武知鎮典コンビの「荒ぶる魂たち」「新・仁義の墓場」につづく最新作。主演は加藤雅也じゃ!いかにもヴィデオっぽい映像には前半、居心地の悪さを感じるが、やはりこのコンビの映画は圧倒的に面白い!という思いを新たにする。結論としてはいい映画だったが、ラストは説明し過ぎのような気がする。というか、松方弘樹にああいうセリフは根本的な部分で似合わないのでは。
 蔦屋へ「荒ぶる魂たち」DVDを買うべく乗り込むが、なくて幻滅。かわりに久々にゲーム買いました。「エースコンバット04 シャッタードスカイ」。もう"プレステ2ベスト"などというバジェットプライスシリーズが出てるんですね〜。


←豪徳寺の桜です。
■4/4(金)恐るべき事態。
  しばらく更新しない間にいろいろと書きたいことがたまっている。マイケル・ムーアのアカデミー賞授賞などの快挙。"Shame on you Mr.Bush!"(Mr.ブッシュは恥を知れ!)のスピーチには燃えた。しかしとりあえずは、今迎えているこの恐るべきブツをどうするかが問題だ・・。
 そのブツとは、つい最近、エロ漫画雑誌の編集部に転属になった友人の女性編集者が、うちでおこなった飲み会に途中参加して、帰る時に忘れていった5冊の雑誌である。
 「忘れてった本は送るよ、シースルーの封筒で」などと冗談言いながら今だにまだウチにあるのだが、そんな状況で明日、うちの母が東京での会合に出席するためオレの家に泊まりにくる。
 そこで、どうする!5冊もあり、さくらやの紙袋をパンパンに膨らませているこのエロマンガを母親が見た時、オレは何と言えばいいのか?
 「いやあ、ちょっと、エロ漫画の編集やってる友達がうちに忘れてってさぁ・・」
 何か不自然すぎやしないか
 事実であるにも関わらず、ひとたび弁明として人に告げた時にかもし出すこの何ともいえない無理っぽさはどうだろう。
 いや、ほかでもない母親だ、気づかれても別に気にする事なく、堂々としているというのも手ではあろう。しかしその時に残るのは、「27歳にしてエロ漫画5冊」という状況のみなのである。後日、「実はいい子がいるんだけどネ・・」などと見合いなどセッティングされたりして・・恐ろしい。どうする。などと他愛無き危機的状況に陥っている春の一夜なのであった。


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