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年間ベスト FritzLanger!(フリッツ・ラングfan) 日本映画 その他雑文

BEST2:

「チャーリーズ・エンジェル」

2000年は困ったアクション映画が多かった。もはや現代の恐竜、セルフ・パロディを繰り返しつつバク進するしかない「007」シリーズ。あるいは、もともと「スパイ大作戦」だったことなんかすっかり忘れてトム・クルーズのプレゼンテーション映画と化した「ミッション・インポッシブル2」。今時のアクション・ヒーロー映画なんてこんな程度かなーといささか萎えた気分になりもする。そこにきたのがこの一本!20世紀最後のお色気アクション(笑)、「チャーリーズ・エンジェル」である。
 のっけのシーンから「パトカー・アダム30映画版」を見て「またTVドラマの映画化かよ!」とセルフつっこみをカマしてくれる余裕っぷりも好ましいが、その後のいきなりのスカイアクションと絶妙のオープニングタイトルへの繋ぎは劇場でDVD購入を決心させるほど。ユエン・チョンヤン武術指導によるアクションの演出はまことに申し分ないが、その一方でクリスピン・グローヴァー扮する1920年代風の敵キャラクター(あのカッコ、「アベンジャーズ」か!?)に、ルーガーP08などといったフェティシズムをそそる拳銃を撃たせてみたりする、小道具的コダワリも光る。また、ストーリーの序盤で登場する「レッド・スター」社が赤い星をトレードマークにしており、対するエンジェルは星条旗のペイントされたレーシングカーに乗ってみたりといった、アイコンのお遊びも多い。
 こういう道具やアイコンへのコダワリはまさに007シリーズが得意とするところで、ジャンル先行作品への敬意が伺われて好感度高いのだが、その一方で三人のキャラクターづけには「若草物語」のような姉妹的つながりが感じられる。観音的微笑みをふりまくドリュー・バリモアは長女、天衣無縫のお転婆娘キャメロン・ディアスが次女、大人びていながらもささいな悩みに行きつ戻りつしてしまうルーシー・リューが三女といったところか。そして三人には、いつもどこかで見守ってくれるチャーリーの存在がある‥‥。
 こういうおとぎ話的な部分とアクションとのブレンド具合が実に絶妙。単純でなんの仕掛けもない「直撃!地獄拳」なみのストーリーでも120%満足してしまうのは、この「007+若草物語」的ハイブリッドが実にうまい具合でいっているからではなかろうかと思うのである。二度三度見てもまったく飽きが来ないであろう傑作。


2000年製作/アメリカ コロムビア映画
監督:McG(マックジー)
出演:ドリュー・バリモア、キャメロン・ディアス、ルーシー・リュー、ビル・マーレー、クリスピン・グローヴァー、ケリー・リンチほか