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年間ベスト FritzLanger!(フリッツ・ラングfan) 日本映画 その他雑文

BEST5:

「バトルロワイヤル」

 ひさびさに熱いジュヴナイル映画。熱すぎてむしろ10代はヒクんじゃないかと危惧される。非常に正しい青少年向け映画である。
 一シーン一キャラともゆるがせにできないが、カマを振り上げて女生徒を惨殺しまくる柴咲「死ねよ、ブス」コウは特筆すべし。ファンなら悶死だろうと思われる前田亜季の可憐さ、白眼安藤政信の無軌道ぶりをおしのけ、バトロワMVPを彼女に与えたい。パンフでも1人で竹内力みたいにガン飛ばしてるし、この女、ファンデーション使ってないだけじゃねーな。
 宮村優子の解説ビデオにはかなり笑わせてもらったが、「あたし、あんたたちのグループとあんまり仲良くなかったから‥‥」あたりからマジハマり。ラストまでノリノリでした。中盤はサードマン氏がいきなり「腹腹時計」を取り出すあたりでキマった!なんでそんなもん私物で持ってきてるのかコイツ!?
 若者に見せるなという政治家の発言が議論を呼んでいるが、いかに感性レスな人間が権力を握ってるかってことですな。オレの気持ちとしては、中学生時代にこそこの映画を見たかった。その選択に何の必然性もない「クラス」という小集団の中で「集団生活」という名の異様な状況に投入される学校とは、正しく戦場なのであると納得できただろう。その桎梏そのものに立ち向かおうとする生徒の闘争が同じ生徒の狂気によって簡単に蹴散らされる瞬間、それまで友人同士だった女生徒同士が一瞬で殺し合いに突入する瞬間‥‥。「十五才 学校4」の一億倍リアルな同時代性をもつ学校がスクリーンに展開している。特に後者は「レザボア・ドッグス」などに反映された深作テイストに馴らされた我々の眼からすればシチュエーション的には何度も見たシーンなのだが、その肌身にせまる感覚は別格のものだ。タランティーノ以来のファッション化された内ゲバ・シーン(あらためて書いてみるとスゴい話だが)と一線を画するものは、正しく深作が時代とがっぷり組んでいる、あるいは遊んでいる、という一点であるのかも知れない。
 オープニングでの、ヴェルディの「レクイエム」をバックにした東映三角マークの登場は、「エヴァ」を考えればあと数年の醸成が必要だが、けっこうカッコイイのではないかと思う。

2000年製作/日本
監督:深作欣二
脚本:深作健太
出演:藤原竜也、前田亜季、山本太郎、栗山千明、柴咲コウ、安藤政信、ビートたけし、ほか