環境γ線測定における測定場所の依存性について

環境γ線測定における測定場所の依存性について

    T概要
     ある地点でNaI(Tl)検出器を用いて環境γ線の線量率を測定するとき、複数の測定者が各々に測定を行う場合、検出器の位置を寸分の差が無いように測定するのは難しい。 検出器の位置が多少変われば、地表面の違いや周囲の建物からの影響が異なり、測定結果に差が生じる可能性がある。しかし、均一な成分の土地で、建造物のない平坦な場所であればこの差は少なくなる。この建造物のない平坦な場所がどの程度の広さが必要かを計算した。

    U計算
     検出器直下から半径R(m)以内の地表の面積から来るγ線束の、無限長半径の面積から来るγ線束に対する割合(c.n.f )を、検出器の高さと核種(γ線エネルギー)のそれぞれの依存性を次式により計算した。放射能は地表面に一様に分布するとしαを0とした。

      α=0
      
        R(m):検出器直下から半径
        h(m):検出器の高さ
        μa(cm-1):空気中のガンマ線の減衰定数
        α(cm-1):土壌中γ線放出核種の深さ方向の分布を示す減衰定数

    【条件1】  μa =0.052…1.46MeV(40K),h=1,R=1~12

        

         c.n.f   R(m)
         0.85    4.3
         0.90    5.8
         0.95    8.6

    【条件2】  μa =0.038…2.62MeV(208Tl),h=1,R=1~12

        

         c.n.f   R(m)
         0.85    4.6
         0.90    6.1
         0.95    2.48

    【条件3】  μa =0.052…1.46MeV(40K),h=0.1~3,R=6

        

         c.n.f   R(m)
         0.85    0.08
         0.90    0.81
         0.95    2.48

     条件1・2の結果より、検出器が地表から1mの地点にあるとき、検出器を中心に半径約10mの広さがあると、無限長半径の地表から来るγ線束の95%以上検出することができる。 また、条件3より検出器が1mより高い場所にあるときは、上記の検出できる割合は向上する。

    Vまとめ
     以上の結果より、環境放射線(バックグラウンド)を測定するときに、検出器の高さが1m(以上)の場合、中心となる点から半径10m以上が、平坦で均一な成分で被われている場所ならば、検出器の位置が地面に対して平行な方向に多少ずれがあっても、精度良く測定することができる。

    W参考文献
    (※)阪井 英次ほか;日本原子力研究所JAERI-Mレポート,
       可搬型Ge(Li)検出器を用いた環境ガンマ線のin-situ測定(1976年3月)

新幹線 東京〜博多間沿線案内資料

国鉄時代に案内用資料として作成された「新幹線 東京〜博多間沿線案内資料」を電子化しました。

新駅開業などで現在とは一部内容が異なりますが当時の状況がよくわかると思います。

東京から三島までを公開しました。
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