法律問題Q&A  離婚・相続
 B 離婚と慰謝料
    質問  離婚した場合,慰謝料を払わなければいけないでしょうか?
  
    アドバイス
     離婚した場合に必ず慰謝料を支払わなければならないとは限りません。
     離婚に伴う慰謝料は,離婚することによって被る精神的苦痛の損害賠償のことです。
     ですから,あなたが,奥さんに暴力行為や,不貞行為などの有責不法行為をした場合
   には慰謝料を払う必要がありますが,そのような行為をしたものでない場合には,離婚
   はしなければならなくても,慰謝料までは支払わなくてもいい場合があります。
     例えば,婚姻生活が破綻した責任が同じくらいか,または,慰謝料を請求する方の責
   任が大きいと思われる場合や,慰謝料を請求されたあなたの行為に違法性がない場合,
   また,有責行為はあったが,その程度が慰謝料を払わさせるほど強くない場合などは,
   慰謝料請求が認められない場合があります。
    
 C 財産分与
    質問  財産分与とは何ですか?
   
   アドバイス
    財産分与というのは,離婚をした場合にその一方が他方に財産の分与を請求すること
   です(民法768条)。
    これは(1)婚姻生活の期間中に二人で協力して築いた財産を清算する,と言う意味と
        (2)離婚によって生活に不安を生じるほうを助けて,その暮らしをさせる,との意味と
        (3)場合によっては,前記の慰謝料を含むもの,の3つの意味があります。
    
     ☆ 「婚姻中,夫婦で協力して得た財産」とは,婚姻中に買った共同生活に必要な家財
       道具等や共同名義で取得した財産と,名義はどちらか一方であっても実質的には
       夫婦二人の共有といえるものを言います。
        ですから,結婚前にそれぞれ自分で所有していたもの,婚姻中でも一方が相続に
       により得たものなどは,財産分与の対象にならないとされています。
        いわゆる嫁入り道具も,奥さん特有の財産であって,財産分与の対象にはならない
       と考えられているようです。
     
     ☆ 夫婦の清算割合
        清算割合については,財産形成,維持の寄与度(どれだけ貢献したかという意味) 
       で決定され,以前は,専業主婦の寄与度は20〜30%などとされることもあったが,
       最近では,家事労働の評価が高まり,50%とする例も増えてきているようです。