京ことばあれこれ


はじめに

 育ったのは洛中ではなく郊外のベッドタウンですが、両親もそのまた両親も市内の生まれ育ちなので、言葉はけっこう京ことばみたいです。
 それも自分では気がつかず、勤めるようになってから周りの人たちに指摘され、初めて、「え?みんなとそんなに違う?」、てな感じで自覚したのが最初です。(そう言えば、確かに同じ関西弁でも、京都、大阪、滋賀、それに兵庫(神戸)は互いにかなり違いますよね。関東の方には区別がつきにくいかも知れませんが、こちらでは聞けばいっぺんに判ります。)
 一般に、関西弁は標準語に比べると当たりが柔らかいようですが、特に京ことばはその持つイメージも手伝って、かなり優しげに感じていただけるようです。面白いのは、言葉が優しいと、言った内容、果てはその言葉を使った本人までもを優しく受け取って下さる方が多い、という点ですね。相当きついつもりで言ったことでも、その通りには受け取ってもらえず、得をすることも多いのですが、「あらら?(^_^; 」 と思うこともよくあります。 「京ことば」 = 「京女」 = 「はんなり優しい」 ・・・ この図式がまかり通っているような・・・。

 そら、そういうお方もぎょうさんおいやすやろうけど、そやないおかたも、いや、ほんまに多おすえ(笑)。



Top






舞妓さんの京ことば

 TVなどで舞妓さんをご覧になって、その京ことばに「あ、いいなぁ♪」と心惹かれた方が、実際に京都へお越しになると、「えっ?」と思われることも多いはず。舞妓さんの京ことば、はっきり言ってあれは営業用です(笑)。あんなにおっとりしゃべっていては、普段の生活にはたちまち支障をきたしますものね。特に若い人たちはあんな風には話しません。
 TVから毎日流れてくる言葉は、そのほとんどが標準語、つまり、関東ベースのアクセントです。当然、知らず知らずのうちに関東風のアクセントが言葉の端々に入り込んできています。仲のいい友達が違う地方からの転勤族なら、小学生くらいの子ならすぐに影響を受けてアクセントも変わってしまうでしょうし、常にマスコミを通じて耳になじんでいるアクセントには、すっと入り込みやすいみたいです。
 それでも、中京のあたりには、上品な普段使いの京ことばをお話しの奥さんももちろんたくさんいらっしゃいます。
そういう方と話す機会があると、こちらまでついつられて、「いやぁ、そんなん言うといやしたん?」 などと、滅多には使わない言葉を思い出したように口にしてしまい、ひとりで 「(*^.^*)」 っとなったりして(笑)。
 ・・・もっとも、舞妓さんも最近ではなり手が少なく、花街によってはその存続も危ぶまれたことがあったほどです。(京都の女の子は華やかさだけではなく、裏の大変さもちゃんと解っているからでしょうね。)
 というわけで思い切って、地域を京都に限らず、広く全国から募集したところ、「舞妓はんになる!」と来てくれた女性が何人もいらっしゃったそうです。
 きついお稽古に耐えて頑張っている姿を、幾度もニュースの特集などで拝見しましたが、彼女たちも今はもう立派な一人前の舞妓さん(あるいは襟かえして芸妓さん)になったことでしょう。
 ただ、やはり京ことばのハードルは高かったらしく、何年もちゃんとお座敷を勤めている舞妓さんの口から、「おやおや?(笑)」というような京ことば(?)がこぼれるのを聞いたこともあります。 「言葉」はある程度「育ち」ですから、生まれ育ったところのアクセントは、案外大人になってからでは抜けにくいのかも知れませんね。そのために違うアクセントの入り交じった、チャンポンな京ことばが横行しているのかも。

 ほんまはきれいに残してほしいねんけどなぁ、普通に使う京都弁。





Top / 京のあれこれ / ASHIYAのあれこれ / My Bookshelf / Favorites / BBS / Profile