でんしゃのはなし

このコーナーでは、雑誌・新聞・インターネットから得た情報についてのコメントや、「そういえば昔、こんな事があったな」という話を不規則に載せていく予定です。

その2・寝台特急「カシオペア」

1988年3月に青函トンネルが開通して、早くも11年が経ちます。当時「夢のトンネル」であった青函トンネルの目玉として登場したのが上野〜札幌を走る寝台特急「北斗星」です。このころ既に寝台特急は衰退の一途をたどっていたのですが、これに歯止めをかけるべく従来と一線を画した設備(個室寝台・シャワールームなど)と、豪華な食堂車を用意しての登場でした。

登場後数年はバブル景気の追い風を受け、乗客数もいったん増えたのですがそれ以後は低迷。人気があるのは個室寝台だけといった状態だったようです。車両の方は11年まえに改造したものなので老朽化は避けられず、そろそろ更新時期が迫っていました。

そんな中で、北海道への新たな需要を掘り起こすために新しい寝台特急を走らせることになりました。これが「カシオペア」です。今度は改造ではなくまったく新しい設計の車両。従来は個室でない寝台も多かったのですが、カシオペアでは全て個室になっています。個室は基本的に全室2人部屋となっていて、若い女性やカップルに的を絞った構成といえます。従来は寝台が上下2段式になっていたりと窮屈なものでしたが、カシオペアは2階建て車両のため個室もいくらか余裕のある室内となったようです。

いままでと大幅に変わったのは、設備の構成に伴い全てがグリーン車(A寝台)扱いとなったことです。これにより「北斗星」よりずいぶん高い値段設定になっています。おそらく航空券とホテル代を合わせた額と同等以上と思われます。こうなってくると、「カシオペアに乗る」こと自体を目的にした旅となるはずです。観光地と同じように、一回訪れるとそれっきり、という可能性もあります。

しかし高いお金を出して列車に乗って、それで列車の旅の楽しさを知ってもらえたら、それが他での場所でも鉄道利用を生み出すきっかけになるかもしれません。「カシオペア」にはそうなるくらいの魅力的なサービスを期待したいものです。

ところで、列車名の「カシオペア」ですが、これは「北斗星」の向こうを張ったイメージで付けられたそうです。カシオペアは今のところ隔日の運転で、北斗星も当分運転が続くため両列車は兄弟のような関係です。そこで北斗七星と対をなすカシオペア座にあやかってこのネーミングとなったとか。ここしばらく「スーパーなんとか」など安直な横文字列車名が多く食傷気味でしたが、少しでもこういう由来があると「なるほどなぁ」と納得してしまいました。

…「カシオペア」運転開始から1ヶ月ほど経ちましたが、乗車券はすぐに売り切れになるほどの盛況ぶりだそうです。この人気が定着することを祈ります。

蛇足:カシオペアは2人部屋ばかりなので1人では利用できない(ことはないが無駄)です。私もぜひ乗りたいのですが1人じゃねぇ。1人でも乗れる「日本海」(大阪〜函館間を走る寝台特急。個室はない)で我慢しようっと。

蛇足2:よく考えてみるとカシオペアも北斗星も「電車」ではなく「客車」だったりして。「でんしゃのはなし」だとちょっと変かも?(多分だれも気にしないよね)


その1・新快速今昔へ。

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