1998/02/11 後藤国彦さんからのメイル

Subject: 出版を予定している原稿から,全く同意の部分を抜き書きします。ご参考までに

ところで、ある事象が科学的であるかは、どうすれば分かるであろう。 一言でいえば「再現性」があるかどうかである。現象がおこった時、同じことを「いつ、どこで、だれ」が行っても、同結果になることである。科学的とは、このように単純なことであるが、この明快な考え方がなぜか無視されることが多い。
霊能者には見えてあなたの後ろに憑いているといわれても見えない"霊魂"は、科学的にはいない。自分一人だけの時には呼べテレビ局が指定した時間には現れない"UFO"は、科学的には存在しない。自分の部屋ではうまくでき指定した所ではできないという"超能力"も、科学ではない。霊魂・UFO・超能力は、実験者・時刻・場所のどれかが違えば、同じ結果を再現できていない。したがってこれらは科学ではない。
しかし科学的でないこれらを、信じる人は少なからずいる。
私はある時"科学的でないこと"について、信じているかのアンケートを採ったことがある。対象者は若い女性で、数100人から回答を得た。質問項目は、次のようである。

1.「血液型」による性格判断を信じるか 2.「星座占い」や「手相」などは当たると思うか 3.「大安や仏滅」などを信じているか 4.ノストラダムスの「予言」は正しいか 5.櫛が折れると「不吉」と思うか 6.字画などで占う「姓名判断」は当たると思うか 7.「霊媒(霊との仲介者)や魂」の存在を信じるか 8.「超能力」(スプーン曲げ・物体移動・透視など)は事実と思うか 9.「UFO(宇宙人)」は地球にきていると思うか 10.ネッシーなどの「恐竜」の生存を信じるか 11.「臨死体験」は事実と思うか 12.「呪い」や「祈り」は当たるか 13.「夢のお告げ」は信じるか 14.「死後の世界・生まれ変わり・前世」などはあると思うか 15.「心霊写真」は本当と思うか 16.「デジャブ」(過去にした体験と同じ場面があり次が予測できると感じる)経験があるか 17.今までに「占い・手相」などをしたことがあるか 18.今までに不思議な体験をしたことがあるか

、である。
結果信じている人が50%を越した項目は、血液型・死後の世界・臨死体験・霊媒で、それに次ぐのが、心霊写真・UFOである。
また信じていないが50%を越すものは、恐竜・大安・不吉などである。
全体の平均は、信じる・どちらでともいえない・信じないでほぼ3:4:3であった。これは、予想していたとはいえ多くの人が、科学的思考を放棄していると見える。150年前のファラデーの心配は、今も現実に存在しているのである。

第89話 『疑似科学その1』
科学的立場で考えた時、その事象が100%再現性を持たない限り真実でないのは前項で述べた。しかし逆にその事象が100%真実でないこと、例えば霊魂・UFO・超能力などが"絶対に存在しないと証明する"ことは、実は不可能である。時刻、場所、人のうちどれか2つが成立すれば、人はそれを信じやすくなるが、それではそれが確実にウソであることを実証してみろといわれると、これはできない。
手相占いで「あの人の占いは、いつ見てもらっても誰が見てもらってもよく当たる」と誰かが認めた時、いや当たらないと証明することは不可能である。ただこうした問題にも、科学はちゃんと答えを用意していて、100%確実であるもの以外は当面は否定するのである。
例えば、地球誕生の条件や星の数また生命を作る実験などから、宇宙のどこかで生命が誕生している可能性は十二分にある。しかし科学者の誰もが、宇宙生物の存在を明言しない。情況証拠だけでは実証にならないので、生命の存在を主張すれば科学性に反することは明らかだからである。
そして、再現性が一部しかないものは科学ではないが、真実と誤解している人が多いことから"擬似科学"とも呼ばれる。そこで、疑似科学にどんなものがあるかを見る。信じて疑わない人から見ると、疑似ではなく真実である反論があるかもしれないが、科学的定義からすると疑似であり、断じて真実に入れるわけにはいかない。
まず「物としての実在が一部しか証明されていない疑似科学」である。この中には、UFO・ネッシー・雪男・タイムマシン・瞬間移動・アルカリ食品などがある。
次に「実体のないものを存在するかのように錯覚する」ものである。霊媒・霊魂・オーラ・サブリミナル・超能力(物体移動・透視)・ピラミッドパワー・デジャブ・心霊写真・オカルト・テレパシーなどがある。
また「俗信として否定されるが、信じられているもの」がある。迷信(不吉なカラス、櫛が折れる)・13日の金曜日・ポルタガイスト(家具などが振動する)・たたり・悪霊・憑き物・丑の刻参り・呪い・お払いなどである。
さらに「人の生死に関して信じられていること」がある。臨死体験・遊体離脱・天国・生まれ変わり・前世・死後の世界などである。
また「当たるか不明なのに信じられていること」がある。ノストラダムス予言・血液型占い・星座占い・地震雲・夢のお告げ・大安・手相・姓名判断(字画)・宝くじ(番号予想)・方位・風水・家相・おみくじ・バイオリズムなどである。
繰り返すが、これらは断じて科学ではない。科学でないことを信じてはいけない。ちょっとは信じるというのであれば、それならそれに基づいて行動してはいけない。
そうした時、科学は"確率"という正しい方法を準備している。確率を使えば、不安な未来を見る目を持つことができるし、物事の正当な可能性を知ることもできる。


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