My Merry May/PlayStation2
 
2003.11.28
 
 お馴染みのギャルゲーメーカー・KID制作のギャルゲ。
 
 ギャルゲー作り続けて早幾年、メモオフやEver17のような傑作を産み出してきたKIDだ
 
けあって、今作もクオリティの高い良質なギャルゲーでした。
 
 それは更に続編『My Merry Maybe』で昇華するのですが、それに関してはMaybeの方で
 
書くことにして、まずはMayに絞って話します。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 まずゲームシステムですが、これは何の変哲も無いKIDシステム。
 
 ONEの頃から延々と引き継がれてきた例のタイプです。
 
 このシステムについてぼくはよくONEを引き合いにだしますが、ぼくの知る限り、ONEが
 
本家本元だと思うのですよ。
 
 ONEが出る以前からギャルゲを遊んできましたが、このシステムはONEで初めて見ました
 
から。
 
 このシステムの発展形が『逆転裁判』に当たるわけですが、それは別の話。
 
 本作のシステムとしては、システムレスポンスが若干悪いのが気になりましたが、許容
 
範囲内。
 
 基本となる部分がしっかり出来ているので、不都合を感じることなくプレイすることが
 
できるでしょう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 一方のシナリオ・演出・キャラについて。
 
 本作は『レプリス』と呼ばれる人工生命体が主人公宅へやってきたところから話が始ま
 
る、いわゆる『機械少女モノ』です。
 
 そのレプリス・レゥと、その他四人のヒロインがいるわけですが。
 
 このうち、三人(たえ・ともみ・ひとえ)のシナリオに関しては、極めてフツーです。
 
 何の変哲もないギャルゲーシナリオ。
 
 無論出来が悪いというわけじゃないし、独自の見せ方をしているシナリオもあるし、後
 
々への伏線を張っていたりもするのですが、やはり全体としてはフツーな印象しか受けな
 
いのです。
 
 しかし、今作の本領発揮は、残りの二人(レゥ・みさお)のシナリオ。
 
 ここに於いて、初めて
 
 
『レプリスとは何なのか』
 
『レプリスのために何をすべきなのか』
 
 
が語られるのです。
 
 特筆すべきはみさおAエンドで、『心あるレプリス』をテーマにしたシナリオでありな
 
がら、自らそれを否定するようなエンディングを迎えます。
 
 また、レゥシナリオにおいて、従来ありそうで無かった展開(可愛い機械少女・リース
 
が自分の言うことを何でも聞いてくれる)があるのも興味深い。
 
 この二人のシナリオでは、明部と暗部をハッキリ書き分けており、その対比で非常に印
 
象深い内容となっています。
 
 これこそが、本作で表現したかった事なのだと確信できるくらいに。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 本作には、CGがちょっと独特だったり、描写にくどい部分があったりと、粗が見受け
 
られる部分もあるのですが、それでもレゥ・みさおの二人のシナリオに関しては極上クラ
 
スの出来栄えです。
 
 何より、続編である大名作『My Merry Maybe』を遊ぶためには本作のコンプリートが必
 
須であるので、是非遊んでみてください。
 
 尚、本作では一部キャラにおいてエンディングフラグ制御がなされているので、プレイ
 
する際は
 
 
(たえ・ともみ・ひとえ)>みさお>レゥ
 
 
の順でクリアしていくのがお勧めです。
 
 
 
 
 
『My Merry Maybe』へ続く