家族計画/Windows
 
 
2002.1.20
 
 D.O.が、「家族」というテーマの下に制作したしたエロゲ。

 ライターが「加奈」「星空☆ぷらねっと」の山田一氏、キャラデザ・原画担当が福永ユ

ミ氏ということでそれなりに話題になっていたようですが、ぼくはこのソフトの存在を全

く知りませんでした。

 知名度アンケートとしてエロゲ友人9人ほどに聞いてみたところ、「名前は知ってるけ

どやったことないね〜」が6人、プレイ者が2人、何も知らないってゆー人が1人。

 こーゆー場合、マイナーというべきか否か非常に悩みます。

 知名度はそこそこあったけど、やってる人少ないし、やったことないね〜とほざいて言っ

ていた連中のうち購入の意志があるヤツは一人もいなかったし。

 ま、名前が知られてる以上、マイナーと言い切ることはできないかな。
 
 
 
 
 
 
 以下このゲームに関していくつか書いていくわけですが、その前に。

 ぼくはこのソフトをメチャメチャ気に入りました。

 はっきしゆって、2001年に出たエロゲの中では一番好きです。

「大悪司」とか「夜が来る」とか「リ・クルス」とか「銀色完全版」とか「このはちゃれ

んじ」とか「グリーングリーン」とか、その他諸々の話題作・注目作をほとんど遊んでま

せんが、このソフト以上に気に入るものはないと確信してます。

 それっくらいに惚れ込みました。

 今だって、「さーて、じゃあ絶賛するか!」という意気込みの元、最初っからべた褒め

する気で書いています。

 なので、長い感想文を読むのが嫌いだと言う方のために初めに結論を言っておくと、
 
このゲームやんないと損だよ
 
ということです。

 一言で言えばこれだけなので、未プレイの方は是非買ってください。
 
 
 
 
 
 
 では本題に入ります。

 まずこのゲームのOPストーリーですが、D.O.のサイト行って読んできて下さい。

「またそれかい!」と思われるかもしれませんが、その方が安全確実です。

 手抜きが過ぎるように思われるかもしれませんが、そんなことはありません。

 有効に利用できる資源は最大限に利用するのが、資源に乏しい日本が国際社会で生き残

る術なのです(詭弁)。

 ついでにキャラ設定も見ましょう。

 これらの初期設定だけで面白そうだと感じたアナタ、大正解です。

 スーパーひとしくん人形三個分です。

 逆に何も感じなかったらボッシュートです。

 正解した方はこの下の文章なんか読まなくていいから、今すぐ手近なエロゲショップへ

走りましょう。

 ボッシュートだった人は読み進めて下さい、洗脳布教マインドコントロールこのゲーム

の良さをとっくりと濃厚どろりいちご味に語って差し上げます。
 
 
 
 
 
 
 このゲーム、いいところがいっぱいあります。

 悪い点も一つだけありますが、プラスマイナスで考えればプラスの比重がはるかに大き

い。

 なので、いいところから書いていこうと思います。

 なおここから下は真面目に書きます。

 とてもじゃないけど茶化しながらなんて書けない。
 
 
 
 
 
 
 このゲームにおいて最も上手いのは、「家族」というものの描写の巧さです。

 家族というものを知らない、或いは失った他人同士が、一つの家族になろうとする。

 当然最初はうまくいくはずもなく、様々な問題が続発するのですが、その過程を、実

力派ライター・山田一氏が軽妙なテキストで描き上げています。

 いや、もうはっきり言っちゃいます。

 初期設定を見た瞬間、ラストのオチは読めますよね?

 脊椎反射で分かっちゃいますよね?

 ええ、その通りです。

 そーゆーオチです。

 そーゆー大団円になるんです。

 が、ここで声を大にして言いたいのは、それのどこが悪いんだ、ということ。

 ぶっちゃけた話、ADVを遊んでいる時なんて、ほぼ間違いなくエンディングが予想で

きてますよね?

 どんなに劇的な展開を見せるシナリオであっても、ラストにはハッピーエンドを期待し

てプレイしますよね?

 それと同じことです。

 先の展開が読めるというのは、一概に悪いことではありません。

 むしろそこまでの過程が大事なはず。

 他人同士だった人間が「家族」となっていく、その過程にこそこのゲームの真意があり

ます。

 その先にあるべきものは当然大団円でなければならない。

 そういうことなんですよ。
 
 
 
 
 
 
 このゲームのシナリオは、最近流行の「全キャラ共通部+個別ヒロインシナリオ部」タ

イプです。

 まず全キャラ共通部で「家族」となる過程を描き、次の個別ヒロインシナリオ部で主人

公と特定ヒロインの「絆」を描き、最後に大団円、となります。

 これは一見何の変哲もない安直な構成に見えるかもしれません。

 ですが、本作は「家族」がテーマなんです。

 家族を作ること。

 それはすなわち、人間の人生のテーマそのものではないでしょうか?

 つまるところ人間は子孫を残すために生きており、そのためには家族が絶対に必要です。

 前半の共通部で家族というものの姿を描き、後半の個別部でそれを求める主人公とヒロ

インの姿を描く。

 そして感動の大団円。

 全てが計算ずくであるかのような、一分の隙もない見事なシナリオです。
 
 
 
 
 
 
 今回は思いっきり青臭い、中学生のラブレターのような文言を吐いていることはよくわ

かっています。

 でも、「家族計画」とはそういうゲームなんです。

 恥ずかしくて人前では言えなくて、それでも人間が人間として生きる上で必要なもの。

 大切なもの。

 決して失ってはならないもの。

 それを高らかに謳い上げているのが、「家族計画」です。

 このゲームを遊んで面白いと思うかどうか、それはもちろんプレイヤーの価値観しだい

です。

 でも、できる事なら遊んで欲しい。

 ややもすれば忘れそうなこと、雑多に生きていて見過ごしてしまったこと。

 ささくれ立った心を静め、人に優しくなれそうなこと。

 そういった温かい要素がいっぱいに詰まった、優しいゲームです。
 
 
 
 
 
 
 最後に、残念……というかシナリオ上やむを得なかったと思われる点を一つ。

 共通部内におけるヒロインフラグの立て方が少々分かり難いため、自力での全キャラ攻

略は困難です。

 しかしこれは、全てのキャラを均等に描いている以上、仕方のない点ではあります。

 ヒロイン個別シナリオに入ってしまえば、あとは選択肢が存在しないので、セカンドプ

レイ以降の共通部はネットなどの攻略情報に頼った方が良いでしょう。

 ついでに言えば、均等とはいえ、個別シナリオに関してはやはり多少は出来に差があり

ます。

 末莉シナリオ・春花シナリオあたりはラストに回した方が良いかと。
 


 
 
 書き忘れていました。
 
 なぜ難易度が高いのが悪い点なのか? ということです。
 
 このゲーム、どの辺の選択肢でルート分岐しているかがわかりにくいため、自力で遊ぶ

なら、共通部パートを最初からやり直さねばなりません。

 この共通部パート、何度やっても面白いのですが、でもここばっかり繰り返しやってい

るとさすがに辛くなってきます。

 それで上手く狙ったシナリオにいければまだしも、フラグがわかりにくいため、そうそ

う上手いこといくとは限りません。

 というより、バッドエンド、或いは他キャラのシナリオに行ってしまうことの方が多かっ

たりします。

 だから、色々なキャラのシナリオを見てゲームをどんどん進めていきたくても、難易度

が足枷となってそれが出来ないのですね。

 この辺、もう少し遊びやすくして欲しかった。

 これだけが唯一の不満点です。
 
 
 

つづく。