木漆工芸作家のアトリエと杉チップ浄化槽

<京都府宇治市 tアトリエ>

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 「京都幾何工房」主宰の木漆工芸作家のご依頼で、アトリエを設計することとなった。 まわりを山で囲まれ、また近くに野外活動センターもあって、週末には子どもたちの声も聞こえてくるといった自然に溢れた環境に立地している。

 建築主が工芸作家であると同時に大学の講師もされていることから、建具やカウンターの製作はもちろん、外壁の焼き杉板の焼きの加工まで、知人や学生など様々な人の手の入った現場となった。
 この建物の床や壁などをはじめとする内装材の多くは、とある銘木屋の倉庫を引き払う際の材を、建築主がトラックを何往復もして運び込んだものが使われている。その中には倉庫の床に張られていたトチの板もあり、ひとつひとつ剥がして、2階の床や壁板として再利用された。それらは、この建物を構成する重要な要素となっている。

 また、手間のかかる古材の加工や「どんなんになるんやろ?」といいながら、手探りで杉チップ浄化槽の施工に携わって下さった職方の協力にも敬意を表したい。周囲の環境ともあいまって、時間を忘れてしまうような心地よいアトリエに仕上がった。

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