■「妊娠」の項でも述べたが、犬の妊娠期間は平均63日である。実際、この前後2〜3日ずれることもあるが、これは正常である。

■犬は出産が近づくと、行動や体調に変化が現れる。2〜3日前になると、ハウスに入ることが多くなったり、ガリガリと掘る仕草をしたり、落ちつきがなくなる。出産当日には食欲もなくなる。また、体温が37度くらいまで下がる(犬の平熱は38〜39度)。

■いよいよ出産が近づくと、母犬は排便、排尿を頻繁におこない、便も軟便になることが多い。息づかいも荒くなり、目も充血してくる(陣痛の始まり)。時々力むようになる。この間隔は次第に短くなってくる。力むことにより、胎児は産道のほうに下りてくる。強い陣痛にあわせて、うなり声を上げる犬もいる。そして陰部が開き、羊膜に包まれた新生児が出てくる。この後、胎盤が出るが、通常、母犬が食べて処理する。すると母犬が口で羊膜を破り、舌で身体をなめ、さらにヘソの緒を咬みちぎる。母犬がなめる刺激で新生児は産声を上げる。胎児が複数の場合、陣痛はおよそ30〜60分間隔で再びおこる。なお、このような事を母犬自身がおこなわない場合は、人間の介助が必要である。