私のラジコン・ヘリ「ネクサス」




写真集

重量計測結果

ネクサスS type S修理記録

ネクサス・オプション・パーツ体験記

  最近始めた趣味に、ラジコン・ヘリがある。ラジコンといっても、玩具屋で売
っている自動車のような、人にぶつかっても安全なようにゆっくり動く代物では
ない。ヘリコプターでも、時速50kmは軽く出るし、重量は3kgもあるから落ちて
きたら大変である。
  もっとも私はまだ96年5月に始めたばかりなので、上空を自由自在に飛ばす
能力はない。と言うより、自分に尻尾を向けて浮かせるだけが精いっぱいである。
ヘリが自分の方を向いたらパニックに襲われてしまう。
  ちなみに私のヘリはテールから着地して、今までに3回大破している。また私
が初心者ということもあって整備が完璧でなく、頻繁に故障している。飛ばして
いる時間よりも修理している時間の方が長いほどである。(ひどい時には、3分
飛んだら壊れた、ということもあった。)
  私のヘリは京商製の「ネクサスS(NEXUS-S)タイプ S」である。私はこの機体
が出たばかりの時に買った。全体的に見ると、頑丈な機体であるが、安価なモデ
ルであるのでプラスチックを多用しており、金属部品を多用した上級機種に比べ
ると、細かい部品の耐久性や精度が不足しているようだ。それでもまだガタピシ
鳴りながらも現役で動いているから、意外といい機体なのかもしれない。ちなみ
にネクサスを他の人に操縦させると、「すごく安定しているね」と言われる。
  とは言え空物は、ほんの些細なミスや整備不良で墜落してしまうので、とにか
く疑わしい部品は交換しておかねばならないから、修理代がかかる。私もすでに
機体があと一台買えるだけの修理代がかかっている。
  というわけで、後章にネクサスの修理記録を記しておく。



この複雑なメカが、男心を刺激する




特に複雑なヘッド回り。この動作を本当に理解するには何ヶ月も必要


重量計測結果
家庭用のバネバカリ(精度10g)での計量結果

本体総重量 2,750g (燃料1/3)
  ちなみにジャイロを規定位置に取り付けると、100gのウェイトを前部に追加する
必要あり。

                 内訳
・カウル                                150g
・フレーム                        1組  320g
・アルミインサート・ナット               40g
・スキッド・ブレース              1個   40g
・メインローターブレード(Type-S)  1枚   90g
・ローターヘッド                         30g
・フェザリング・シャフト                 20g
・マスト                                 60g
・メインギア                             40g
・クラッチシュー                  1個   10g
・マフラー(Type-S)                    120g
          (レガード)                   80g +マニホールド 20g
          (FS52付属)                   30g
・クラッチドラム                         10g
・テールブーム                           60g(シャフトガイド含む)
・カーボンテールブーム                   40g(シャフトガイド含む)
・テールサポーターロッド          1本   20g
・垂直尾翼                               30g
・ジャイロNEJ-130(本体)                70g
・サーボ                          1個   45g


以上より分かること。
・フレームが超重い。インサート・ナットも含め合計360g。
・テールサポーターパイプは軽いので、外してもあまり意味が無い。
・カーボンテールブームは無用。
・カウルとスキッドが意外と重い。
・前後バランスを良くするために、ジャイロを前に出すのは有効。
信頼性を落とさずに機体を軽くすることは難しい。そういう意味では、Ergo30
とかは3000gもあるから苦しい。市販されている30ヘリの中では、シャトルが
最も軽量で2400gである。もっとも、現状でもフルスロットルにすることは滅多
に無いから、軽量化する必要は無いとも言えるが。

ネクサス 修理記録

・:症状
?:原因
⇔:対策

・石ころだらけの河原でのホバリング練習中に、テールから着地してメインギア
  の歯が欠けた。
  ?テールローターが石に当たった。
    ⇔テールローター取り付けネジをゆるめて、テールローターが自由に回るよ
      うにする。
・フロートを取り付けてのホバリング練習中に、フロートが外れて横転、ヘッド
  回りのリンケージが破損した。
  ?フロートは振動でずれていく。
    ⇔1 フロートの取り付けを定期的に確認する。
    ⇔2 スキッドを使わず、フロートを直接フレームに取り付ける。
        注:テールが地面に当たりやすくなるので一長一短。
・横転などでメインローターをぶつけた際に、ミキシングベース(H3316)のネジ穴
  がすぐ潰れる。
  ?ミキシングベースがプラスティック製であるため、強度不足。
    ⇔アルミ製の部品に交換。
・エンジン始動時にいきなり猛回転を始め、クラッチが破損した。
  ?1 送信機・受信機の電源を入れ忘れていたため、スロットルがハイになって
      いた。
    ⇔始動前に、送信機のエンジン・コントロール・スティック(=エンコン)
      を上下して、サーボが動くこと・エンコンが最低であることを確認する。
  ?2 送信機・受信機の電源は入っていたが、調整中に送信機のスティックに誤
      って触れてしまい、エンコンが上がっていた。
    ⇔送信機は誤って触らないところに置いておく。
・クラッチの寿命が異常に短い。
  ?アイドリングが高すぎるため、クラッチが加熱してすぐになまってしまう。
      もしくは調整不良などで半クラッチ状態になっている。
    ⇔アイドリングを下げ、クラッチがきちんと切れるように調整する。
・クラッチが破損すると、約7割の確率で、クーリングファンが破損する。
  ?クーリングファンはクラッチの下に付いているが、プラスティック製である
    ため、クラッチの破片が当たって壊れてしまう。
    ⇔アルミ製の部品(Z3024)に交換。
・クーリングファンを取り付けているボルトが外れない。
  ?非常に固く締めてあるため。
    ⇔クーリングファンの切り欠き部にモンキーレンチを当て、ボルトにはソケ
      ットレンチを当てて回す(写真)。
・クーリングファンが外れない。 ?クーリングファンはネジ止め式である(←これに気づかないと絶対に外れな い)。また非常に固く締めてある。 ⇔(1)エンジンシャフト用ボルトに、多少ピッチの違うナットを入れると、入 りきらず途中で止まってしまう(シャフトのネジを潰さないように、あ まり強く締め付けないこと)。そこでこれを固定して、クーリングファ ンの切り欠き部にモンキーレンチを当てて緩める。 (2)次にクーリングファンを固定して、(1)で入れたナットを緩める。 (3)クーリングファン、ナット両方がある程度緩むまで、(1)(2)を繰り返す。 (4)ナットを外す。 (5)排気口からドライバを差し込み、クーリングファンを外す(写真)。 この時、シリンダを傷つけたり、コンロッドを折らないために、決して 無理な力をかけないこと。 プラグから差し込む固定具が便利。 ・クラッチを交換したところ、ローターの回転が固くなった。 ?1 スターターベアリングケース(H3306)の上下が逆(切り欠きの位置が違う)。 私がよくやる間違い。 ?2 クラッチドラムの裏側にも、ボールベアリングがあるが、これを付け忘れ ている。 ・重心位置を調整するため、ジャイロを前に持っていったところ、ジャイロの効 きが悪くなった。 ?エンジンの振動は、機体中心から離れるほど大きくなっていく。振動が大き いと、ジャイロはうまく働かない。 ⇔ジャイロはメーカー指定の位置に置き、重心は錘を入れて調整する。 ・送信機のスティックを動かすと、機体がカクカク動く。 ?ピッチレバー(H3315,H3349,H3123など)がうまく動かない ⇔これらの取り付けネジは、回転軸でもあるので、あまり強く締め付けない。 またカラーが入っていることを確認する(無くしやすいので注意)。 ・機体の上下が安定しない。 ?メインローターの回転が低すぎて、エンジンの回転がばらついている。 ⇔エンジンが不安定になっているので、ピッチカーブをなだらかにしても無駄 である。ローターの回転が目にみえるようでは低すぎる。ホバリングピッチ を下げて、ローターの回転を上げる。機体が、キーンという音を出すまで 下げてよい。 ・機体の回転がうまく制御できず、カクカク回る。 ?テールローターの可変ピッチ用のリンケージの不良。 ⇔(1)リンケージロッドを説明書どおりに通す(結構複雑)。 (2)テールスライドリンク(H3045)のガタを可能な限りなくす(=テールが スムーズに回る限り絞める)(写真)。
・ラダーの効きが悪い。ラダーを切っても機体はゆっくりしか回らない。 ?1 テールローターのピッチ変化が少ない ⇔(1)メインローターのピッチを下げ、ホバリング中高回転でローターが回る ようにする。 (2)サーボホーンの取り付け位置は、組み立て説明書で指定の10mmでは ちょっと短い。さらに外側に取り付けて効きを良くする。 ?2 リンケージロッドの動きが渋いため、ラダーの初期作動が鈍い。 ⇔ロッドを通す穴にグリスを塗る。 リンクの回転部のネジを緩くして回りやすくする。 ・機体が一方向に回る。 ?テールドライブジョイントのセットビスが緩んでいる。 ⇔毎日飛行前に、テールローターを固定して軽くメインローターを回して見 て、このセットビスが緩んでいないか点検する。 ・テールドライブジョイントのセットビスが緩みやすい。 ?テールドライブシャフトの断面が丸いため。 ⇔テールドライブシャフトの先端の芋ネジが当たる部分を、やすりで削って 平たくしておく。 (注)あまりしっかり組み付けすぎると、テールローターを叩いた時メイン ギアがかけてしまうので、ほどほどの強度にしておくこと。 ・テールの振動が激しい。 ?テールの穴(写真)から六角レンチを入れて、テールドライブジョイントの セットビスを絞められるようにしていたが、シャフトが長くなりすぎて無理 な力がかかり、曲がっていた。 ⇔テールドライブジョイントはしっかりと奥まで入れる。
?テールシャフトが元々曲がっている ⇔交換する。なおテールシャフトは曲がっていなくても、テールドライブ カップリングを取り付けると芯出しがおかしくなる場合があるので、 芯が出るように、両側からイモねじを締め付ける。 ?テールシャフトが共鳴している ⇔シャフトガイド(H3130)を2個ほど追加する。 もしくはDF用のシャフトガイド(3126BLなど)を使う。 ?テールサポーターパイプ(H3336)がガタガタになっている。 ⇔テールサポーターパイプは振動で次第にガタガタになっていくので、 数カ月ごとに点検する。 ⇔テールブラケット(H3333)も定期的に点検する。 ?テールアウトプットシャフトの芯出しが悪い ⇔シャフトもしくはテールギアケースの交換 (私の機体は一度もこれでトラブったことは無いが、他の人はある) もっともネクサスはテールが5mmぐらいぶれても正常と言われている。 (というか、皆それ以上に良くならない) ・機体の騒音がうるさい ☆パンパン音がする場合 ? マフラがしっかり締め付けられておらず、エンジンの排気が漏れている。 ☆ジャージャー音がする場合 ? ギヤ回りの音。 ⇔(1)ギヤのかみ合わせを調整する。 ⇔(2)メインギヤなど、むき出しのギヤにグリスを塗ると、埃やゴミが付い てしまってかみ合わせがうまく行かなくなることがあるので、塗らない こと。 ・機体の振動が激しい。 全ての芯出しを完璧に行い、全てのバランスを完璧に合わせれば、 振動は無くなる筈である。 「チェック100回、振動自ずから取れる」だが、私はまだその境地ではない... (高周波の振動:小さな振動=エンジンorテール周り) ?1 エンジンの軸合わせがうまく行っていない。 ⇔(1)クラッチを止めるネジ(説明書p.10の(A)の下側)は柔らかいビニール で固定されてており、これが微妙に動いてガタを補正するようになって いる。従ってここはあまり強く締め付けない。 (2)エンジン固定用の4+4本のネジを緩め、調整する。 注:改良されたフレーム(H3325A)では(1)(2)は不要。 (3)2個のクラッチの材質が完全に均一でないため、広がりかたが異なる場 合がある。この場合、新品に交換する。(決してペンチで広がりかたを 合わせてはいけない。すぐに折れる。) (4)プラスチック製のスターターベアリングケース(H3306)は振動で次第に ガバガバになっていくので、数カ月ごとに点検する。 もしくはアルミ製の部品(Z3026)に変える。 ?2 テール周りの不良→「テールの振動が激しい」の項参照 (低周波の振動:大きな振動=ローター周り) ?3 メインロータのトラッキング(orバランス)が合っていない。 ⇔メインロータのトラッキングを合わせる(説明書p.28)。 ⇔「バランス調整」の項参照 ⇔トラッキングもバランスも完璧なときは、ローターの片側にシールを貼ると 振動が無くなる場合がある。(ダイナミック・バランス) ?4 スタビライザーの左右の長さが違う ⇔スタビライザーの左右の長さは0.5mm以内の精度で合わせる。 なお重さ合わせは必要ないようである。 ?5 2枚のスタビライザーの角度が違う ⇔スタビライザーはピッチゲージを使って角度調整する。 ?6 マストストッパーが緩んでいる ⇔定期的に増し締めする(説明書p.34)。 ?7 メインマストの芯出しがうまくいっていない ⇔マストストッパーの締め具合で芯出しを調整する。 イモねじの45度の違いは大きい。 ?8 受信機、バッテリー、燃料タンクなど固定されていない部品が共鳴している。 ⇔全ての部品を固定する。受信機や燃料タンクにはスポンジを使う。 言うまでもなくメインマストとフェザリングシャフトとスタビライザーバーは ケチらずに交換すること。 ・飛行中、メインロータとメインマスト(H3321)を繋ぐM3のネジが折れた。 ?振動などによるネジの劣化。強いセン断力がかかるため。 特にローターを叩いた時は要注意。 ⇔この部分のネジは、定期的に新品に交換する。 ・セットビスが回りにくくなった。 ?セットビスの六角穴は締めるたびに広がるので、六角レンチが滑りやすくな っていく。 ⇔1 セットビスは2・3回使うごとに交換する。 またセットビスを絞めるときは、あまり強く締め付けない。その代わり にネジロックを併用する。 ・セットビスが回らなくなった。 ?セットビスの六角穴はすぐに広がって、使い物にならなくなってしまう。 ⇔1 新品の六角レンチを使う(六角レンチは消耗品)。 ⇔2 六角レンチの先に瞬間接着剤を付けて入れてみる。 ⇔3 ペンチでつかんで回す。 ⇔4 一段大き目の六角レンチを、やすりで先がだんだん細くなるように加工 し、押し込んで回してみる(図)。 ⇔5 そのセットビスを使っている部品ごと捨ててしまう。 ⇔6 出来るだけセットビスは使わない。 ・パワーを上げてもホバリングしない。 ?1 機体の振動が激しすぎる。 ⇔「機体の振動が激しい」参照。 ?2 メインローターのピッチが合っていない。 ⇔メインロータのピッチがメーカー指定(6°)になっているか確認する。 後はプロポの方でピッチを変えてみる。 ネクサスはピッチを下げた方が良く飛ぶようだ。 ?3 エンジンの混合気が濃過ぎる。 ⇔キャブレータの回りに燃料が飛び散っているときは、これが原因。 この場合、メインニードルを締める。私の機体の場合、1.5回転程度戻しが 適当である。詳細はOSエンジンのキャブレータの説明書を参照。 ?4 マフラープレッシャーのホースが外れている。 ⇔外れていないか確認する。 ?5 マフラープレッシャーの穴が詰まっている。 ⇔特に燃料タンクの取り付け部の穴が詰まりやすいので、定期的に点検する。 ?6 燃料にゴミが入っている。 ⇔燃料フィルタを付ける。 ・ジャイロは回るのに、サーボが1個も動かなくなった。しかし同一バンドの他 の受信機は動く。 ?受信機のクリスタル(水晶発振器)の不良。クリスタルはショックなどで壊 れやすい。落としただけでも壊れることがある。 ⇔クリスタルを交換。 ・エンジンが冷えているとき、エンジンがうまく始動せず、スロットルを上げな いといけない。しかしプラグを外して電池を当てると、ちゃんと赤熱する。 ?1 電池の劣化。 ⇔新品の電池を使用する。 ?2 アイドル調整ネジの調整不良。 低速で煙が出ない時は、混合気が薄すぎ。 ⇔アイドル調整ネジを開く 実際にはアイドル調整ネジは低速から高速まで全体的に効く(勿論、低速 側への影響が大きい)ので重要。


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