映画『平成三十年』予告編 シナリオ
(原案:けいちゃん さらに脚色:BAZIL)
1.東映マーク
原爆投下の実写フィルムをバックに。
スーパー「特報(極太角ゴシック体)」
戦後の復興を象徴する実写フィルムを背景に。
その時を表す西暦年号がスーパーでカウントアップ。
(例:大阪万博であれば「1970」)
音楽は津島利章「仁義なき戦い」を例によって流用。
ナレータ(高島忠夫):「昭和二十年、我が国の敗戦によって軍事力の時代は終焉を迎えた。極東の小さな島国・日本。焦土と化した国土は、国民の賢明な努力によって復興し、やがて世界随一の大国として、新たな経済戦争の勝利者となったかに見えた。しかし・・・」
フィルムは実写風だがCG。「2000」からのカウントアップには、大手銀行本社ビルの取り壊し。廃墟と化した副都心のマンション、路上に溢れるホームレス、住宅地に隣接した空き地に何メートルもの山を築く産業廃棄物など。
ナレータ:「バブル崩壊、政局の混乱、日本は今、再び奈落への道を進もうとしている・・・」
スーパー「二十年後に訪れる現実とは?」
タイトル「平成三十年」(「2018」からのモーフィング)
2.東大阪市
半ば以上が閉鎖している商店街。かつて巨大ショッピングセンターだった跡地に広がる広大なパーキングエリア。
その光景に呆然とたたずむ木下和夫(三浦友和)。
和夫:「駐車場の街・・・か」
3.香港
高級ホテルのスィートルームの窓から、活気に溢れる香港の町並みを見下ろす織田信介(丹波哲郎)。
織田:「返還から20年、未だに変わらず香港は発展を遂げている。それは何故か。東京都のわずか半分程度のこの街では毎年20万人も人口が増えている。しかるに我が日本はどうだ? これから毎年100万人ずつ人口が減っていく。減少するのは未来の日本を支える新生児たちだ。反面老人は介護制度、医療技術の発達で毎年増え続ける。これからの日本を、いったい誰が支えていくのだ?」
スーパー「三浦友和」
スーパー「丹波哲郎」
4.産業情報省
パソコンの画面に映る、高速道路の渋滞の様子。その画面にフィルタがかかり、大部分の自動車が外国製であることが示される。
キーボードを操作していた波多初芽(天海祐希)が振り返って。
初芽:「日本の自動車産業は、今や累卵の危うきにあると言わなければなりません」
5.木下家
タワー型パソコンを前に木下成子(広末涼子)。
成子:「バーチャル・ガバメントは、あたしたち高校生の間でもナウいんだから」
スーパー「天海祐希」
スーパー「広末涼子」
6.市役所の窓口
厚生課の係員(成瀬正孝)に食ってかかる浅野茂(藤岡琢也)。
係員:「お宅の場合、介護対象者の条件には合わないんですよ」
浅野:「何を言う!? わしは20年間も介護保険料を払ってきたんだぞ!!」
7.木下家
成子がインターネットを操作する。それを肩越しにのぞき込んで平美(名取裕子)。
平美:「遠い隣人の会?」
8.市子のマンション
和夫を前に、ケリーバッグ型ノートパソコンを開く市子(田中好子)。
市子:「インターネットを使って、ホテルと利用者の仲介をするの。新しいビジネスなのよ」
スーパー「ネットワーク・ソサエティ」(極太文字で左から右に流れる)
9.バットマンの姿で振り返る織田大臣の画像をインサート
10.清朝末期の北京
街路で横暴な白人と戦う伝説のヒーロー黄飛鴻。カメラが引くと、実はその様子はテレビ画面の中で、隣ではチャーリー・チャン(ジェット・リー)が青い衝立の前で演技している。
和夫:「パソエン?」
初芽:「パーソナル・エンターティメント。日本から世界に向けて発信する、最高のエレクトロ・エンターティメントよ」
ジェット・リーの写真を中心に、外国人出演者の顔写真。左から。
スーパー「『リプレイスメント・キラー』 チョウ・ユンファ」
スーパー「『リーサル・ウェポン4』 ジェット・リー」
スーパー「『ビッグ・ヒット』 ルー・ダイヤモンド・フィリップス」
スーパー「『エアポート』シリーズ ジョージ・ケネディ」
スーパー「ハリウッド・スター総出演」
11.DVD「日本をこうする」のCM
足川義明(三田村邦彦)がDVDの板をかざして。
足川:「五つの開放、三つの1割減を実行します」
スーパー「変化への胎動」(明朝体で下から上に流れる)
12.産業情報省
木下:「わたしがドリームチームを?」
13.魔女の姿で振り返る初芽の画像をインサート
14.大臣執務室
音楽は暗転。
神妙な顔つきの明智三郎(本田博太郎)。
明智:「島根県・・・知事・・・・・・ですか・・・・・・・・・・・・」
15.産業情報省
パソコンに「織田政策の虚を暴く」という刺激的な見出し。騒然となる室内。森蘭子(中山忍)と石田光男(風間トオル)。
蘭子:「大変です。何者かが省内のコンピュータに不正侵入してきました」
石田:「ハッカー?」
スーパー「そして叛乱」(ぐるぐる回ってピタッと停止)
16.スペースシャトル打ち上げ(北京原人からの流用)
音楽は「美女と液体人間」のマーチを流用(東宝に無断)
ナレータ:「東映特撮陣の英知を結集!」
17.黒バック
スーパー「巨匠・佐藤純彌が」
スーパー「大臣・堺屋太一の原作を得て」
スーパー「世紀末に問う衝撃の問題作」
18.フレアスカートをなびかせて坂道を駆け下りる初芽の後ろ姿
スーパー「製作・岡田祐介」
スーパー「脚本・早坂 暁」
スーパー(縦書きでその他の出演者の名前を列記)
19.暗雲の中を迷走する旅客機
男の声「オワリコン1号、応答せよ!」
ナレータ:「平成三十年、平成三十年、平成三十年にご期待ください!」
音楽、じゃじゃーん
スーパー「近日上映 当館にて」
スーパー「前売券発売中(特製DVD付き)」