Netscape6 と Mozilla

先日ようやく正規版に到達した Netscape6 と、そのベースとなっているオープンソースプロジェクト Mozilla のハナシなどなど。

そもそも Netscape6 って

言わずと知れた Netscape Navigator の次期バージョンっす。

Netscape Navigator (以下旧ネスケ)はかつて Web の代名詞であり Web の覇者でアリマシタ。独自に拡張した HTML でもって ページの表現力を飛躍的に上げ、WebPage つまり「いんたーねっと」をここまで一般的なものにする原動力となったわけです。けど、後進の Internet Explorer との「ブラウザ戦争」であえなく敗北。ありとあらゆる手段でもって「 Netscape 潰し」を目指した 大帝国 Microsoft にペチャンコにされてペンペン草も生えない状況に(笑)

以後長いことメジャーアップデートが無かったわけですが、ようやく次期バージョンにたどり着いたわけです。それが Netscape 6 っす。

Netscape6 は、非営利オープンソースプロジェクトのMozilla ブラウザをベースに、商業的な付加機能をくっつけたもの、でありんす。

そもそも Mozilla って

オープンソースプロジェクトとして開発されてる、軽量・高速な次世代ブラウザ。

IE とのブラウザ戦争が敗色濃厚だった 1998 年に、 Netscape 社が Netscape Navigator のソースコードを「だれでも自由に改良して使ってよし」(オープンソース) にしたのがはじまり。以後、公開されたねすけコードをベースに新ブラウザ開発がはじまって、それを Mozilla と呼ぶことにしたんです。だけどしばらくしたら開発がいきずまって(笑)、結局古いものを全部捨てて一からつくりなおしたりの紆余曲折があったり。

(その一から作り直されたのが Gecko とよばれる、げんざいの Mozilla のコア。Geckoは汎用性が高いので、パソコン用ブラウザの核としてだけでなく携帯用ネット機器なんかにも搭載するのがラクとゆー特徴があり。)

ねすけは Web を席巻してく過程で、ページ表現を視覚的にハデにする「独自拡張」を HTML に施していったわけですよねん。そのおかげもあって現在のよーに「だれでも手軽にホ〜ムペ〜ヂを作って公開」できる世の中になったわけですが〜。でも、いわゆる「Web 標準規格」てのをないがしろにしてきたのも事実。

そゆ反省に立って、 Mozilla は「Web 標準規格」へ積極的に準拠するような方針で作成されとりまっす。でもって Mozilla は Netscape6 のベースでもあるわけだから、こゆ特徴はそのまま Netscape6 に反映されるわけですな〜。

(ちなみに Mozilla は、夜間ビルドというのがそれこそ毎日のように作られてます。そーしてキリのいいところで Milestone Build とゆーのを作ります。2001年9月現在、バージョン 0.9.4 まで来てます。

Netscape6 (Mozilla) をとりまく現状…

ブラウザ戦争に負けたといっても、まだまだ旧ねすけユーザーは多いわけであります。旧ねすけのフィーリングが好きだとか、慣れてるからいまさら移行できんとか、 IE はキケンだからイヤだとか、 Mircosoft がキライだとか。

しかし、旧ねすけの最後のメジャーリリースは 4.0 で、それいらい 3 年以上止まってたわけです。こまかいアプデトはされてても HTML レンダリング部分の進歩はほとんど無い。インタネトの世界で 3 年がどれだけ長いことやら…。その間に IE は 6.0 まで来てて、( Netscape6 (Mozilla) にくらべたら鼻毛がカユイけど) CSS もそれなりに使えるレベルまで来てるし、その結果 CSS でデザイン指定されてるページも3年前にくらべれば格段に増えたっす。ウチもそう。

Web 標準規格といえば PNG なんかもそうだけど、3 年前状態の旧ネスケは CSS も PNG もかなり芳しくない状況のまま。しかし上記のように、旧ネスケのユーザーはいまだ無視できない数いるわけで、 CSS や PNG なんかを積極的に使ってるサイト作成者は、旧ネスケユーザの多くが Netscape6 または他のブラウザに移行して、シェアが無視できる程度まで下がるのを心待ちにしてるわけっす。

Netscape6 (Mozilla) の問題点

Netscape6 は正式リリースされてしばし経つし、 Mozilla のほうももうまもなくバージョン 1.0 に到達するトコロまで来たわけなのですが、これらを試してみた人の不満はだいたい下記のようなものだと思うです。

お、遅い…
いや、PR1 や 2 のときよりは格段に速くなってるんですが…(爆) それでもお世辞にも速いとはいえないやも。操作感が特に。 HTML のレンダリング(パーシング)そのものはかなり高速なんですけどね。
なんか不安定な気が…
Nescape6 PR3 とか、Mozilla 0.8 の頃は不安定で仕方なかったけど、今はもうほとんど大丈夫な感じかも。
なんかメモリをバカ食いする気が…
う〜ん…。
ユーザーインタフェイスが…

Mozilla (Netscape6) は「完全なるクロスプラットホ〜ムブラウザ」として作られてて、ユーザーインタフェイスもほぼ共通のものになってる。…けど、それはつまり、どのプラットホム (OS) においても他のアプリと操作感が違う、なんだか違和感を覚えるインタフェイスであるとゆーこと。

(とくに Mac ユザはユ〜ザ〜インタフェイスにヤカマシイのでここらへんで拒否反応が出るし、そゆ意見を多数みたっす。)

とわいえ Mozilla にはいわゆる「スキン」を好きに変えられる機構があるんで、各プラットホム向けにふさわしいスキンをかぶせればそこそこ解消できる問題だとおもってるけど、カンペキにはいかないですね。

ぼくの見解

Web は天下の往来

Web がこれだけの広がりを見せてるこのさき、勝利の鍵は「特定の何かに依存しないコンテンツ」なのはいわずもがな。いろんな背景をもった不特定多数と情報のヤリトリをするときに、特定環境に依存する形式は障害でしかないから。とゆか、そもそも HTML はそのために作られたものなんですが(笑)

もちろん限定的なエリアの内部で、おなじ背景をもったヒトビトとヤリトリするぶんにはローカルな仕様であっても困りはしませんが〜。(たとえば Mac ユザー同志で PICT 画像をやりとりするとか) それに、ユザ囲い込み目的の戦略をとるのは、営利企業として当然のやりかたではありますす。

んでも Web やインタネトは天下の往来なんです(笑)。私有地ならともかく、公共の橋を渡るのにイチイチ桔梗屋に渡り賃を払って桔梗印のハッピを着ないと渡れないとか、そんなのはヘンであります(笑)

そんななか、Windows IE の圧倒的シェアに対抗する術として、その他ブラウザは Web 標準準拠に命をかけるようになってきた。Netscape6 (Mozilla) や Mac の iCab、Opera など。Mac の IE5 も、おなじ IE ちう名前であっても Windows ではないゆえ、標準準拠をその拠り所にして世に出されたのでありました。そのなかで、あらゆる Web 標準にもっとも正しく広範に準拠してるのが Netscape6 (Mozilla) 。

Windows の IE も、この「 Web 標準化」への潮流が無視できないものになってきたので(というか対 Netscape6 (Mozilla) 向けの戦略かも)、WinIE6 の CSS 実装などを標準準拠する方向へ強化してきたり。でもやっぱり中途半端だったり。

そして、ねすけ 4.x 時代までもそうだったけど、Mozilla (NN6) ほど広範囲のプラットホ〜ムに用意されてるブラウザは他にないんですよねん。真のクロスプラットホムブラウザ。この点でも重要なのでありんす…。

プラットホーム個別に文化がある

しかし、ブラウザのページ表示領域の外は、プラットホーム個別にそれぞれの文化が支配する場所。Windows には Windows の作法、 Mac には Mac の文化がある。ユーザーはそれぞれのプラットホームの文化作法に慣れ親しんでる。アプリケーションソフトのほうも、動作プラットホームの文化作法に合わせたユーザインタフェイス設計を心がける。そうでないアプリは常々「使いにくい」とされる。

それに反して Netscape6 (Mozilla) は、「各プラットホーム共通のユザインタフェイスを提供する」という考え方を取ってる。そのための "XUL" という機構を搭載してる。開発者の言い分は、「汎プラットホームの共通 UI を採用すれば、Windows の Netscape6 (Mozilla) ユーザが Mac の Netscape6 (Mozilla) を使うときにも迷わない」「テーマやスキンで外観や操作性を手軽に切り替えられる」「共通化したほうが、多種多様なプラットホーム向けの開発に効率的だから」というもの。

ぼくはこの主張に否定的。たとえば、 MacIE と WinIE はかなり別物度が高いです。Web 標準準拠度もぜんぜんちがうし( MacIE のほうが上)。ユーザーインタフェイスだってそう。WinIE は OS の一部だけあって、まさに Windows のルールを体現するものだし、MacIE も MacOS への適応度が Mac アプリ群のなかでもずば抜けてる。つまり、双方まったく操作感が違う。でも、それぞれ使いやすい。

こゆこと言うと怒られがちなのだけど、「共通ユザインタフェイス」を採る理由の大きなひとつが、上記の「開発者にとってラクだから」なのでせう。「汎プラットホム共通の操作性」とか「テーマ」とかは後付けの理由なんじゃないのか、と。動作が緩慢なのも、 OS に対して提供されるような拡張ユーティリティの数々が使えない事が多いのも、OS が提供する各種標準機能をまるっきり無視してるせいでわ、と。

つまり上に挙げた不満は、 Netscape6 (Mozilla) はその守備範囲を超えた代償として支払われたものだと。いまさら XUL を反古にすることなど出来ない相談かもしんないだろうけど…。 XUL を使わないでブラウザエンジンに Gecko を使ってるだけのブラウザがあったら、かなりイイ線いくとおもうのだけどなぁ…。

ぼくの選択

ぼくがいまメインブラウザとして選んでるのは MacIE5 です。上記のように、Mac のアプリの中でもトップレベルのスバラシいユーザインタフェイスを備えてる。伝統的にアンチ MS の風潮が強い Mac 界で、OS バンドルブラウザの地位を差し引いてもあっという間にシェアを奪っちゃったのもその証拠。それに加えて Netscape6 (Mozilla) にほんのすこし劣るだけというイカす Web 標準準拠度。

気高い理想と、使ってもらいたいというキョーレツな意気込み。総合的に現在最高のブラウザだとおもっとります。ちーとページの表示速度が遅いんだけど。 Netscape6 (Mozilla) にもこのバランス感覚が求められるっす。開発者たちはホントにたくさんのユーザーに使ってもらいたいという希求があるんかいな。一部のエリートのオモチャで終わっちゃってもイイとでも思ってるのかな。


Copyright © 1998-2006 ALIMIKA SATOMI/NYAN-NYAN-HANTEN.Created: 2000/09/08, Last-modified: 2001/09/21