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中小企業向け 展示会出展のポイント

copyright 2002/6 jun suzuki,SocialPlan ,All rights reserved.

私自身は、これまでも、どうやって中小企業が売上げを伸ばし、元気になるかということをテーマに仕事をしてきました。これまで繊維・ファッションの中小零細企業に、ユニバーサルファッションという視点からマーケティングを提案してきました。

ほんとうに企業にお金が無い中で、どのように業績をあげるか?というノウハウはどこを探してもなかなか見つかりません。マーケティングの本を読んでも、多くは大企業の大金をかけた手法ばかりです。私もいろいろと試行錯誤を続けている途中ですが、これを読んでいる皆様も、同じようなことに苦労されていると思い、拙い経験などから少しだけお話させていただこうと思いました。

皆様の多くは、業種ごとの特別な展示会に出展されるのでしょうが、今回は展示会において、中小零細企業が出展する一般的なポイントをまとめました。

内容はきちんとまとめる余裕がないので、わかりづらいかもしれません。またホームページのレイアウトも考慮していません。ご容赦ください。


注意:本内容はソーシャルプラン・鈴木淳の著作物です。無断転載・引用・配布を禁じます。この内容を元に指導される場合は事前に許可を得てください。

なお、ご自身の出展の参考にする場合は許可は必要ありません。


展示会では、次のビジネスにつながる「見込み客集め」が重要

・展示会で効果を生み出す最大のポイントは、いかに多数の来場者を集客し、そこから効率的に見込み客を見つけ(冷やかし客を排除する)、商談に結びつけるかということなのです。

・とくに中小零細企業では、「展示を見せる」ことだけではなく「見込み客を見つける」ことに力を注ぐべきだと思います。

・展示を見せるのは見込み客の関心をできるだけ集め、「買いたい」という欲求をおこさせるためのきっかけ作りなのです。説得して無理やり売るのではく、買いたい客を多くの来場者から見つけ出すこと。これこそが効果をあげるポイントです。これは展示会だからこそできる売り方です。

  ・説得しても取引に結びつかない「買う気が無い客」に関わる時間を減らします。
  ・「買いたい客を見つけ出す」ことは、自信につながり、業績があがります。

※もちろん買いたい気持ちを起こさせる展示により相乗効果を生み出します。

そのためには

 1)できるだけ大勢の客に商品内容を知らせる

 2)取引を希望する見込み客を絞り込む。

 3)見込み客のレベルを判断する

 4)展示会後のフォローを行なう。

の4段階のアクションを取ることが必要です。


ポイント1) 既存客に出展ブースをアピールする TOPへ

1)主要な取引先や、どうしても取引したい新規客にはあなたのブースを訪れるといい時間を添えた展示スケジュールを送るようにします。

2)事前に来訪客がブースを簡単に見つけられるように、出入り口、トイレ、あなたのブースの位置を記した会場案内図を送るのも効果的です。さらに、その地図に展示会の見所やメッセージを手書きでメモすることで、来場してほしいという誠意が伝わります。


ポイント2) 商談の体制を整えましょう TOPへ

1)注文票の用意や、会社案内、取引条件などをまとめて用意しておくことは最低限必要です。

2)展示会の時点で、どのように販売するのか決まっていない場合は、徹底的に見込み客を集めるのに注力します。見込み客リストを作るためには、関心がある商材は何かについては必ず聞き出すように心がけます。

3)ブースには十分な数のスタッフを配置します。ビジネスが目的ならば、少なくとも説明ができるスタッフは必ず一人はいるようにしましょう。

4)ブースで説明するスタッフは外交的で親しみがある人を選びます。来場者の特性に合わせること(例えば男性がターゲットであれば、若い女性のナレータコンパニオンを雇う)も効果的です。

5)ブースのスタッフは体力を消耗するので、疲れていてもきびきびと愛想よくできる人を選びましょう。普段接客していない人だと脱力した間抜けな顔か、疲れて怒ったような顔になっていることが多いようです。無理してでも笑顔とはっきりした挨拶をするように気をつけましょう。

6)商談をする予定がないならブースの中に椅子やテーブルは必要ありません。係員が座って待ち構えているブースには近寄りたくないものです。(もし、ブース来場者に高 齢者が多いときは、休憩するスペースとして提供してもよいでしょう)


ポイント3) 人が集まりやすいブースを作る TOPへ

(できるだけ集客することで、見込み客に出会える確立が高まります)
展示会での客引きは、するほうもされるほうも嫌なものです。しかし、他のブースを見ると、ごった返しているのに、自分のブースが閑散としているとさびしい気持ちになるのも、嫌なものです。私たちが目指すものは自動的にお客様が集まり、賑わいを見せるブースを作ることです。

1)ブースは入りやすいオープンなものがよいでしょう。ブース内の様子がわかることで入りやすくなります。

2)「人はブースではなく、人に集まる」という原則を覚えておきましょう。人を立ち止まらせる方法を考えるようにします。
 a)来場者自身が手で動かすことができるも
 b)さわって使い方を試せるもの
 c)映像や音がでるもの
 d)無料でもらえるプレゼント

などがあると集客に貢献します。ブース内に人が滞留することによって、さらに人が集まります。

3)さらに高度な集客として、行列を作らせることもできます。とくにプレゼントなどをもらうために、人が列を作ると、自然に後につながるものです。

4)小さいブースの場合、通路側に立ち止まらせる仕掛け、ブース奥に興味を引く仕掛けを作ることを検討しましょう。(店舗の場合、入り口に安売り商品、奥に目玉商品を置きます)

5)係員がブースの入り口で外側を向いて立ちふさがっているのは、人を遠ざけます。ちらしも配らず、呼び込みの声もかけないなら、入り口付近に立つべきではありません。来場者は、係員ばかりが多いブースには近寄りたくないのです。

6)「わかりやすい」(特長を明確に打ち出す)ブースであることで、安心して中に入ることができるようになります。

7)ブースの主催社名は、大きくわかりやすくしておくことが必要です。主催者が用意するパラペットだけではなく、企業のロゴなども使用することで、信頼性が高まります。来場者は、ブースの展示のクオリティ=企業力だという判断をします。展示装飾にお金がかけられない場合、その他の部分でクオリティを高める工夫が必要です。


ポイント4)展示はみやすく・わかりやすく・内容を絞り込む TOPへ

とくに重要なことは、小さい企業では「なんでもできる」という総合力を見せたくなりますが、総合展示会の場合、焦点がぼやけて特長がわかならくなります。何でも扱っている企業からは、商品に対するこだわりの低さを感じさせてしまいます。

他社にはない貴社商品の「最大の特長」を一つだけ打ち出すことが重要です。

1)展示はできるだけ分かりやすく伝えるようにします。
 ・遠くから目を引くもの、近くで手に取り説明するものをはっきりさせます。
 ・商品特長を大きな文字で打ち出すのも効果的
 ・文章よりイラスト、イラストより写真、写真よりサンプル、できるだけ実物に。
 ・商品を使用しているシーンがイメージできるように展示します。
   ※ファッションとコーディネート、生活シーンをディスプレイなど。

2)小さい写真を多用するより、大きい写真を使いましょう。

3)パネルなどでの見出しの文字は、できる限り大きく見易くします。少なくとも5メートル先から注意を引き、2メートル離れて読める文字が好ましいようです。あまりに小さい文字で多量の文章があるパネルなどは、作るのがたいへんな割りに、来場者にはほとんど無視されてしまいます。

4)商品名を大きく見せるなら、それに加えて商品メリットもキャッチフレーズのように添えましょう。わかりやすいキャッチフレーズを使うことで、記憶に残りやすくなります。

5)もしどうしても読ませたい、伝えたい内容があるなら、(文字が少ないと不安になるなら)パンフレットや資料を別途用意して配布するようにしましょう。

6)異業種の展示会への出店の場合、用途や実物サンプルによって、イメージを具体化させることが重要です。仕入担当者が商品をイメージできないと購買に結びつきません。


ポイント5) ちらし、ブースでの商品説明は 使用者のメリットを伝える。 TOPへ

売り方のポイントとしては「売り込む」のではなく「欲しくさせる」ことです。作り手が熱心に商品の良さを訴えても、売り込みだと思われると逆に敬遠されてしまいます。欲しくさせるためには、「ブランド力」「生の声」「データ」の3つの客観的な裏づけがポイントになります。

1)あなたのブースの商品について、商品の選び方のポイントを教えてあげること。例えば、「バッグに適した素材選びの5つのポイント」、というようなことです。そのためには、作り手発想ではなくユーザー発想で商品を見直すことが必要になります。この選ぶ方のポイントを考えるにあたって、例えば、
・サイズ ・使用者の体型 ・価格 ・グレード、
・基本的な機能 ・オプションで付けられる機能、
・使い勝手 ・メンテナンス ・素材 ・カラー、などの視点も参考になるでしょう。

2)またお勧めとしては、この商品がどうしてお客様に人気かということを分かりやすく表現することです。人気のポイントを3つ挙げて見ましょう。実際にユーザーからの生の評価があると信用力が増します。

3)もちろん、選び方のポイントを指導するということは、自社の商品がそのポイントに合致しているということは最低条件です。また、自社の商品特徴をそのまま選び方のポイントに書き換えると、「単なる売り込み」だと思われて商品に対する信用を失う場合があります。ユーザーはすべての点において100%優れた商品はないということを、よく知っているからです。選び方のポイントの中で自社商品の良い点、悪い点を開示することで、逆にユーザーは開発者の姿勢に信頼を寄せるのです。

4)配布するちらしには以下の項目をいれましょう。
 ○○○展にご来場の○○○な皆様へ
  ↑高品質の○○商品を企画している、など主要なターゲットを。
 1)商品名
 2)一言で伝えられる商品特長(10秒で説明できる内容)
 3)なぜその商品をつかわなければならないか?
  ※他の素材や商品との大きな違い
 4)できれば商品写真(製法上の特長ならイラストも)
 5)紙面に余裕があれば、使用者の声
 6)連絡先と連絡方法(あればホームページ)電話番号は大きくはっきり。


ポイント6) 見込み客の絞込みとレベル判定 TOPへ

アンケートまたは来場者への質問によって、以下の内容を確認します。

1)営業なのか?社内資料なのか?なんのために行なうのかを明確にしましょう。1年に一度の商談の場であることを考えれば、ビジネスに結びつく見込み客を見つけ出すためのアンケートであるべきです。

 必ず、「商品を取り扱いたいか」や「詳細な資料が欲しいか?」などの見込み客を判定するための質問をします。

2)アンケートは書かせるだけではなく、担当者が聞いて書き込むほうが良い場合があります。早い時点で、商品に関心があるか?仕入れたいか?などを聞くことで、冷やかし客に時間をかけないような対応をすることもできます。

3)また、商品開発のための思いがけないアイデアは、アンケートよりも雑談から生まれることが多いので、それをメモしたほうが、アンケートより効果的な場合もあります。

4)直接聞き出すことで思いがけず役立つ情報が得られたり、商品についての理解を促進できることもあります。

5)アンケートはその場で回収しないと、ファクスや郵送などの後から回収はほとんど無理。出展者が多すぎるので、後で来場者がアンケートを持ち帰って返信することは皆無です。

6)アンケートしてもお礼がないと、記入者は損した気持ちになります。安いものでもよいので、用意しておきましょう。商品に関連した景品を渡すことは、商品を印象付けるために役立ちます。例えば、カタログや素材サンプルなどです。

7)今後資料の送付を希望しますか?とか、展示会の案内を希望しますか?などを加えることで、短い時間ではできなかったフォローが可能になります。
さらに、これらについてNOとする場合は、取引の見込みが薄いと考えられます。


ポイント7) 展示会後のフォローについて TOPへ 

展示会において最も効果的なのは、できる限りビジネスに結びつく「見込み客」を数多く見つけ、その場で商談を済ませてしまうことです。もしくは、次回の商談のきっかけを得ることです。そのために、展示会はゴールではなくあくまできっかけで、受注がゴールだという意識を持つことが大切です。

1)自社の商品を扱ってくれる代理店や協力メーカーを出展者の中から探し出し、協力の約束を取り付けることも役に立つでしょう。少なくとも同じ展示会に出展している企業は、ほとんどが何らかの協力関係を結べるはずです。

2)展示会において商談をせずに、見込み客の獲得に注力した場合2週間以内にサンキューレター、1ヶ月以内に最初の商談の段取りをつけないようでは、来場者の記憶が薄れ、出展が無駄になります。記憶に残らせること、印象付けることで、競合他社の商品を購入しづらい仕掛けを作るのです。

3)できるだけ早い時期に、最初のアプローチをします。遅くて2週間までではないでしょうか。できれば、展示会の記憶が薄れない3日以内にファクスまたは郵便でブース来訪のお礼と、いつでも商談できる準備があることを伝えます。

4)この際のあいさつ文に、見込み客にどのようなアクションを起こしてほしいか、明記しておくことも重要です。あいさつ文をもらった見込み客に対して「商談のお願い」の意図が伝わらないようなあいさつ文なら、だすだけ無駄になります。

5)電話でのフォローは、商品の説明をすることが目的ではなく、「HOT客」(すぐにでも商品を買いたいという客)を見つけることが目的ですから、簡潔な内容にしましょう。「○○の商品を購入したいと思いますか?」「ご関心がありますか?」「詳しい説明が必要ですか?」ということを聞き、関心が無い人は相手にしないことです。できるだけ早く電話を切って(ただし礼儀は必要です)、次の見込み客を探すほうが、熱心に説得して売り込むよりも、よっぽど効果的なのです。

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