2005年3月からの。。。
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2005年5月1日
 尼崎の事故から1週間。昨日は羽田空港の管制ミス。乗り物の安全が心配な今日この頃、そのまんま世間はゴールデンウィークに突入。仕事が増えるので、皆さまの安全を祈念してやみません。
 そんなわけで、かく言う私も電車に乗って新国立劇場に行き、『眠れる森の美女』(全幕)を鑑賞。
 今日のオーロラは、ニーナ・アナニアシヴィリから変更になったスヴェトラーナ・ザハロワ。アナニアシヴィリは来年までABTの公演もすべて休みだということで、「おめでたでは?」という憶測が飛び交っているようですが、正式発表がないので真相は分からず。
 アナニアシヴィリを見られないのは残念だけれど、ピンチヒッターが、泣く子も黙る(笑)ザハロワだから、文句はありませんとも!(ただ来月の『ドン・キ』にも出るし、こないだの『ライモンダ』にも出たし、昨年も『眠り』だったし、ザハロワはゲストとは思えないほど新国立に出まくり!という気がしないでもない)
 王子はウヴァーロフ。この2人のパ・ドゥ・ドゥの美しいこと。そこだけ別世界のようでした〜。

 初日の各種“ポカ”についてネットで少し知っていたので、少し心配しながら、幕開きを待ちました。山手線が遅れたとかいうアナウンスが入り、そのせいで、2時を少し回ってから、開演…。プロローグ、そして第1幕ザハロワ登場。…今日は、美しかったですわ〜。
 このような美しい人をこの世に出現させてくれてありがとう神様! 神も信じないこの私にも思えてきそうな美しさ。そして、天賦の才能だけでなく、日々の積み重ねによって得たであろう、その体、特にあの素晴らしいラインの脚!を堪能。というか、もっともっと見ていたい!という気持ち。
 ウヴァーロフは、立派な体格と、ほわ〜んとした雰囲気で(いわゆるノーブルってやつですか)幸せオーラを振りまいてくれました(笑)。衣装は「むーん」という感じ(色が良くないのかしら?)だったけど、そんなの忘れちゃいました。
 リラの精役の前田新奈も良かったし。

 でも、キッズが出るというのは、私はあまり好きではないな〜。コケてる子もいたし。

 ああ、まあ、とにかく美しかったので、もう批評もなんもできないのです。幸せ。


 とはいえ、『眠れる森の美女』のストーリーは、はっきり言って怖い。この物語で怖いのは、実はあのカラボスではない。「王子」その人である。
 では、ここでバレエ『眠れる森の美女(TheSleeping Beauty)』のあらすじをおさらい。――昔ある国の国王と王妃に姫(オーロラ)が生まれ、王宮で祝いの宴が開かれ、貴族たちやリラの精をはじめとした様々な妖精たちが招待され、姫に祝福を与えた。しかし、招待されなかった悪の精カラボスが怒って宴の場に踏み込み、「オーロラ姫は16歳の誕生日に糸紡ぎの針に刺されて死ぬであろう」という呪いをかけて立ち去る。人々は嘆くが、リラの精が、姫は死ぬのではなく「100年間眠り続けるのだ」と予言する。王は国内の糸紡ぎを禁止した。…成長した姫は16歳の誕生日を迎え、貴公子4人から求婚される。。そこへ1人の老婆が現れ、姫にバラの花束をプレゼントする。その老婆こそカラボスで、姫は針(=とげ?)に刺されて眠りにつく。同時に城も王や王妃も宮殿の人々も眠り、森に包まれてしまう。100年後、どこかの国の王子が森にやってくる。リラの精が王子にオーロラ姫の幻を見せる。王子は、森の中から姫を見つけ出し、キスをすると、姫は目覚め、同時に城の人々も目覚め、2人は結婚式を挙げる――。

 ねぇ、怖いでしょう、王子。
 眠っているのをいいことに、見知らぬ女性にキスしちゃうんですよ〜。変態ですよ。ほとんど犯罪。許せん行為だ。オーロラも目を覚ました瞬間、いや〜な気持ちになったりしなかったのかと心配です。この責任を取ってもらって「結婚」したのでしょうか。いや、こんな変態とは結婚したくないなぁ、私なら。

 と思っていたら、今日買ったプログラムには、ペロー版の姫は「王子が近づくと、ちょうどその時、百年が過ぎたので、自然に目を覚ましたということになっている」と書いてあった(池田香代子「おとぎ話としての『眠れる森の美女』」)。なーんだ、そうかちょっと安心。…んじゃ、いつから王子がキスしたかというと、同じ池田さんの文章によればペローの約100年後の「グリム版」でそういうストーリーになっているそう。
 グリム兄弟は、語り継がれたおとぎ話を収集したが、実は「書き換え」もおこなっているようなのだけど、これも書き換え? それとも100年間に変化したの?

 時代が下ったから変態行為が書き加えられたのかと思ったら、同じ池田さんの文章によれば、ペローの約100年前のバジーレの話では、「ヒロインが眠っているあいだに」子どもが生まれるそうで、それは完全に犯罪!

 今回の新国立のポスターのキャッチコピーは「100年に一度の恋がくる。」
 私はこんな王子とは恋に落ちたくありません。



2005年3月16日
 久々登場の日記。とはいえ、言い訳はなし。

 そんなわけで、今とても熱いフィギュアスケート。開催中の世界選手権…今日の女子シングル予選を、あの人もこの人もきっちり通過。あさってのショートプログラムが楽しみ。
 予選だから、そんなに報道がなくて、つまらないのだけど、予選前日の心惹かれたエピソードがひとつ。

 日本女子3人とスルツカヤの練習が終わるまで、リンクを離れなかったミッシェル・クワン。一方、エッジケースで「うさぎさん」をして遊ぶサーシャ・コーエン。彼女は自分の練習が終わると、すぐ帰った…。

 その時の選手の気持ちを想像するだに楽しい。明日は予選当日、トレーニングは積んできた。もう明日までにできることは限られているという状況で、もう他の選手の練習なんて見たってどうしようもないでしょっ、という選択をするのも、それはそれでありだし、最後の最後まで何かを掴もうと、気になる選手の練習も見るという選択もそれはそれで強い意志を感じる。だって、自信がなければ他人の練習を見たりしたら自分が揺らぐかもしれないし。

 そして帰っちゃったのがあのサーシャ・コーエンで、しっかりチェックしていたのがミッシェル・クワンというのがとてもイイ! ああ、なんて燃える、そして萌えるシチュエーション。人は選択をしながら生きているんだな〜としみじみできる。

 本選楽しみ。