Q17 マーノポの謎

 始めてフィリピンに行くとき,そのことを行きつけのフィリピンパブで話すと,居合わせたPna達が挙って異口同音に言ったのが,「マーノポを覚えなさい」でした。 そして自分の右手を自分の額に当てるジェスチャーをするのです。
わたしはてっきり,マーノポとは「自分の右手を自分の額に当てる行為」と勘違いしたのですが,フィリピン行きの寸前のアメリカ出張で入手した本で,それが誤解であることが解りました。
マーノ(mano)とは,年長者の右手を取って,その手の甲を自分の額に当てる行為」だったのです。

この行為自体は ”bless”(=英語)または”mano”と呼ばれ,マーノポ(mano po)は「ブレスをさせて下さい」と云う意味だったのです。
元々は相手の手の甲にキスをしたのですが,衛生上の理由からと云われていますが,何時の頃からか,額に付けるようになったようです。 但し,辞書等では未だに「キスをする」と説明されています。
年長者はこれに対し "Kaawaan kayo ng Diyos."(神のご加護がありますように)等を言って相手を祝福します。
これは親しい間柄でも同様で,学校から帰ってきた子供たちが,祖父母に対して,毎日これをやっているのを見かけます。 長く留守にしていた場合には父母に対しても行います。

もっともこの行為は,一般家庭の中での話しであって,会社の中では行われません。
このためマニラに何年も住んでいながら,このマーノを知らない日本人は以外と多いようです。

"mano"は元々はスペイン語の「mano=手」から来ているようです。

補足:読者の方からの情報では,現在でも手の甲にキスをする習慣の地域もあるとのことです。


修正:11/30/1998