それはまだ私が高校3年生だった頃、2月のとある日に化学準備室を訪ねたことが始まりだった。
高校3年生の2月といえば、大学受験で必死になっている頃。が、しかし私は広島の某私立大学に合格しており、受験生活はほとんど終わっていた。その時、分子模型と出会ったのである。化学の実験助手の先生が以前から分子模型を作っておられるのを見て、いつか作ってみたいと思っていたので、暇をもてあましていた私にとっては丁度良かった。
分子模型は、市販の発泡スチロール球(1センチ、2センチ、2.5センチ、3センチと何種類かある。)をカッターナイフで切断し、原子に着色(水素は白、酸素は赤、炭素は黒と行った具合)して木工ボンドで組み合わせていく。
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黄リン |
ドデカヘドラン |
まず私が最初に作った模型は、黄リン(分子式:P4)であった。正三角錐形のかたちをしていて、立体的な構造なのでいろいろと角度を計算しながら作成したのを覚えている。その後は何をどういう順番で覚えていないほど沢山作った。毎日化学準備室で作っていたのではないかと思うほどに。
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セルロース |
ヘキサメチレンジアミン |
高校生時代に作りかけて、大学生になって完成した分子模型がC60である。炭素原子がサッカーボール状に集まった分子で、ラグビーボール状に集まったC72等とあわせてフラーレンと呼ばれるらしい。
C60はもともと作る予定がなかった。私と同じように分子模型を作りに来ていた友人が途中で作るのを挫折していたので、「代わりに」ということで私が後を引き継いだものであった。最近気づいたのであるが、私が作ったC60の分子模型は実際の分子の形と違うみたいである。六角形−五角形間の角度などが詳しく分かってきたので、いつの日か作り直して米原高校に納めたいものである。今でも米原高校化学実験室の戸棚には私たちが作った分子模型が展示されており、時々授業でも使われているらしい。
もし、分子模型に興味がおありのようなら、「分子模型をつくろう」(著者:平尾二三夫・板倉聖宣/発行:仮説社)を参考に作ってみることをお勧めする。
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C60? |
分子模型を作った仲間と共に |