坂口作品調査メモ

1999年6月のはじめ、坂口漫画の主に初期の単行本未収録の作品を調査するために、国会図書館、現代マンガ図書館などに行きました。

国会図書館は、国内の刊行物すべてを所蔵する建て前ですが、実際には漫画雑誌で未所蔵となっているものはかなりあります。(坂口関係で)主なところでは、劇画アリスは無し、希望の友、高2コースは昔の刊行分がすっぽり抜けています。週刊少年キング80年1号(「…6,7エイッと」)…この号に限って欠号しています。これらの雑誌を閲覧しようと国会図書館に出かけないようにしましょう。無駄足になります。
国会図書館は閉架式で、本を閲覧するには申込書に請求コードを記入して受付に出します。目的の本のコードを検索するのに何かと時間がかかり、申し込んでから本が出てくるまで20分ぐらいかかるので、短時間にはあまり本が見られないです。閲覧は無料です。コピーは1枚35円です。
国会議員になりたい!(

現代マンガ図書館は、私設の漫画図書館です。
住所:東京都新宿区早稲田鶴巻町565
電話:03(3203)6523
交通:地下鉄有楽町線江戸川橋駅徒歩5分 東西線早稲田駅徒歩8分
開館時間:PM12:00〜19:00
定休日:火・金
入館料:一般300円 中学生以下200円
閲覧料:1回1冊につき100円
コピー料金:1枚100円
マンガ図書館友の会 一般会員=年会費6,000円 賛助会員=年会費一口10,000円
国会図書館よりは蔵書が充実していると思います。
民間でこのような施設を運営しておられる努力に頭が下がります。


「地獄草」
この作品は単行本未収録で、掲載誌も今まではっきりしていませんでしたが、昔の雑誌の系譜を辿っていくうちに、ようやくおぼろげながらも所在が推測できるようになりました。
1970年前後、講談社から「少年マガジンコミックス」とか「ぼくらマガジンコミックス」という、雑誌の増刊号形式のコミックスが発行されていました。「仮面ライダー」「タイガーマスク」等の当時の人気漫画をまとめたものです。
最近になって、「青びょうたん」が、「ぼくらマガジンコミックス タイガーマスク5」に収録されていることがさとぴー氏の調査により明らかになりました。これによって、「地獄草」についてもかなり手掛かりがつかめてきたことになります。69年10月に発行のある少年マガジンコミックスは「巨人の星13」(10/1発行)だけのようです。ここに掲載されている可能性がいちばん高いと思われますが、まだ現物は見たことがありません。

「左腕」
漫画ゴラクは週刊ですが、1969年当時、月刊で増刊号が発行されていたのかも知れません。国会図書館にもマンガ図書館にも所蔵がなく、全く不明です。

「ラーメン大将」
別冊少年キングは1965年創刊。しかし、国会図書館には所蔵なし。マンガ図書館にも古いところはあまり所蔵ありません。そのため、これも未見。

「メリーゴーランドに飛び乗って」
まんが王1970年1月号には見あたりませんでした。ビッグマガジンという名の雑誌は正体不明。可能性としては、この号にふろくが付いていたのかも知れませんが、今のところ全く手掛かりなしです。

「スモッガー」「生き人形」
今回初めて目にすることができました。率直に言って、坂口作品の特色である詩情性とは無縁の作風です。
「スモッガー」は「異色SFミステリー」、「生き人形」は「まんがショックシリーズ」とキャッチフレーズされています。少年まんが雑誌好みのミステリー的なテーマで、当時の子供の読者にはそれなりに受け入れられたのかも知れませんが…。もっとも、大家といわれる人でもこの当時、こんな類の作品を描いていたことは予想できます。
この2つの作品に特徴的なのは、タネが何も明かされず、話が救いようのない終わり方をしているところでしょう。これは、少年まんがのセオリーに明らかに反しているように思えます。私は、奇妙な印象が読後に残るのをこらえきれなかったのです。
坂口尚は、ちゃちなSFのような理屈付けをする滑稽さを知っていたからなのでしょうか。これらの作品の意図は私には不明ですが、「種明かしをしない」「救いようのない終わり方」という性質は、後の多くの作品にも見られることに気が付きます。

「クレオパトラ」
COM増刊号として発行され、所在ははっきりしていますが、まだ読んだことはありません。
国会図書館には未所蔵のようです。マンガ図書館にはありますが、古い本は会員でないと閲覧できません。
古本屋を当たれば入手できるかな。

「イルペンド・ロウ」
古い時代のプレイコミックは、国会図書館にも現代マンガ図書館にも欠号がかなり多く、未確認です。おまけに、1970年中の何号に掲載されているか手持ちの資料からは判らないので、探すのはとても難しそうです。
一応、3/14,8/8号には見あたらなかったことを、覚えとして書いておこう。

「トム=ソーヤーの冒険」
10年ぐらい前に一度国会図書館でちょっと見たきりだったのですが、今回再び閲覧することができました。検索するのにずいぶん苦労してしまったので、請求記号をここに書き留めておくことにします。
Y16−403 トム・ソーヤーの冒険 です。
私は今までずっと、絵本のような体裁で、文章と挿し絵に分かれているものだとばかり思っていたのですが、記憶違いでした。コマを割り振って、せりふも入れて、完全に普通の漫画の形式です。

「武瑞左門」
幕末の時代劇です。

「イラストファンタジー」
「魚の少年」「ともしび」に一部収録されていますが、とても傑作だと思います。しかし、この作品には不明なところが多いのです。「奇想天外」1980年2月号にも掲載されていますが、これは再録なのか新作なのかよくわかりません。正式な題名も確認できず、全部で何作あるのかもわかっていません。
この時代の「高2コース」は国会図書館に収蔵されておらず、マンガ図書館にもなく、お手上げといったところです。
どこかに昔の高2コースが見られる施設はないものでしょうか。

「呪われた美人姉妹」
「ベンチャーコミック」という雑誌を検索してみても見つかりません。何かの増刊号なのでしょうか。
全く手掛かりなしです。

「わたぐも」
「漫画大快楽」「別冊漫画大快楽」を当たってみましたが、掲載が見あたりません。この作品も今のところ、謎です。