−−【「単(はぐれ)」だからさ】
もう十分すぎるほど老いたさ、と思う。影踏丸は死に場所を求めている。
 出カ(アウトプット)が落ち続け、受信限界を割った。影踏丸はケーブルを外した。白い猫はしばらくの間身動き一つしなかったが、不意に微かに目を震わせ、視線をさまよわせる。マイク口波でつぶやく。
−−『・・・・影踏丸殿、おられるか・・・・?』
−−『ここにいる』
微かに残っていた生気が、白い猫から流れ落ちていく。
−−『・・・・私の死に場所は・・・・死ねばどうなる?・・・・本当に・・・・私は地球儀に避けるのか・・・・?』
也不知是。知者皆喪。(しるものはいない。しるものはみないなくなる)
−−『・・・・私は地球儀に逝けるのか・・・・?』
影踏丸は右の耳を蒼く染める(ああ、とこたえる)。