Created: 2003-01-31@638
Updated: 2003-01-31@638

EDIROL Hyper Canvasレポート(2002年Mac系大忘年会宿題)

はじめに

毎年恒例、Mac系大忘年会の大ビンゴ大会の景品は宿題レポート付き、ということで、EDIROL HyperCanvasについてレポートいたします。

HyperCanvasの概要

EDIROL HyperCanvasはソフトウェアシンセです(EDIROLはコンピューター・ミュージックとビデオ編集に向け製品のRolandのブランド )。ソフトウェアシンセは現在では音楽制作の重要な一角を占めるほどになりました。HyperCanvasはEDIROLの中でHQソフトウェア・シンセサイザー(現在は今回レポートするHyperCanvasとSuperQuartetが発売されています)として位置づけられており、現在のパソコンが持つパワーを最大限に利用した高品質なサウンドを目指しているようです。GM2対応音源ということで、以前発売されていたVirtual SoundCanvasのハイグレード版と考えれば良いようです。

事実、必要となるマシンのスペックも高めになっており、Mac版ではG4プロセッサが必須となっています(正確な必要スペックは製品ページをごらんください)。

ソフトウェアシンセということでパソコンとソフトだけで音が奏でられるということになりますが、正確にはMac版の場合は本製品と別にVSTインストゥルメントに対応したホストアプリケーション(例えばCubase VSTやLogic等)が必要です。

ソフトウェアシンセの肝である、「どんな音が出るの?」についてですが、GM2に対応した音源ということで、さまざまなジャンルの音をオールマイティに取りそろえた256音色+9ドラム・セット となっています。これがあれば、GM/GM2用に作成されたMIDIデータを、高い互換性で再生できます。このような音源を提供する他、HyperCanvas内でもリバーブ、コーラス/ディレイを実現しています。マルチディンバーのパート数は16、最大同時発音数は128(ただし実用的な最大発音数はプロセッサパワーに依存する)となっており、軽い音楽制作に関してはこれ1つで完結できるスペックになっています。音色エディット機能はあることはありますが、いじることが出来るパラメーター数は決して多くなく、代表的なものになっています。微調整程度と考えたほうが良いようです。GM2音源であることを第一義に考えるのであれば、この程度で十分なのではないでしょうか。

今回は短い時間ですがPowerMac G4 MDD + Mac OS 9.2.2 + Cubase VST 5.1 + HyperCanvansという環境で少しいじってみたので、残りはHyperCanvas良いところ、悪いところを書いてみたいと思います。

HyperCanvasの良いところ

HyperCanvasの特徴としている高音質についてですが、確かに従来のVirtual SoundCanvasに比べて音のこまかさ、鮮明さはアップしているように私の耳でも感じられます。最近は手軽な価格でハードウェアGM音源が手に入りますが、パソコンと組み合わせるサウンドカードにも依存するでしょうが、安価なUSBオーディオインタフェースあたりを用意するだけでそれらのハードウェア音源と遜色ないレベルの音が出ていると思って良いのではないでしょうか?それがソフトウェアシンセと言うことで複雑な接続や、設置場所を取ることなく実現できる利点は大きいと思います。

また、オールマイティに高品質な音色がそろっていますので、とりあえずこの音源があればいろいろな音楽に対応できそうです。VSTホストアプリとHyperCanvasでとりあえずMIDIシーケンス作成の基本を学ぶというのも悪くないと思います。

HyperCanvasの悪いところ

残念ながら、MacではMac OS 8.6〜9シリーズしか対応しておらず、いよいよ本格的に音楽ソフトの対応が始まったMac OS Xには対応していません。といっても、プラグインに関してはホストアプリケーションを手がけるメーカー製のプラグインがようやくMac OS X対応が始まったばかりですから、プラグイン形式の選択を含めてサードパーティによるプラグイン開発としてはこれからなのかもしれません。ぜひ、Mac OS X対応を実現して欲しいところです。

もう一つ残念なことは、Mac用のVSTホストアプリケーションがバンドルされていないことです(Windows用にはCakewalk music creatorが付属しています)。GM2音源ということで、ファイルの再生目的や、お手軽な音楽作成にはホストアプリケーションがバンドルされていると敷居が低くなります。ただし、Mac OS X向けのそのようなお手軽・安価なホストアプリケーションが存在していないので、一概に責めることは出来ないのですが…。

まとめ

以上簡単ですが、HyperCanvasのレポートとしたいと思います。

個人的には音楽環境もほぼMac OS Xに移行してしまいましたので、HyperCanvasにもぜひともMac OS X対応に期待しています。

ソフトシンセの世界は話題が高いこともあって次々と新しい商品が出ています。過去のハードウェアシンセの名機のシミュレーションや、ソフトシンセならではの音源が話題を呼ぶ中、GM2音源を忠実に狙ったHyperCanvasは一見地味な存在にもみえますが、いろいろな場面で活躍できそうな便利さを持ちえていると思います。音楽環境を既に整えている方も、これから始めてみようと思っている方も、導入の検討の余地がある製品だと思います。

© ぴぐもん, 2003