心筋症 (cardiomyopathy)
心筋症は猫の心疾患として、きわめて注意が必要

特に原因不明で急激に悪化傾向を示す為、早期発見・早期治療が重要
☆ 食欲が無くなる(食欲不振)
☆ 元気が無く動かずにじっとしている(運動不耐性)
☆ 体温の低下
☆ 脈の不整(不整脈)
☆ 心拍数が急激に増える(頻脈)…肩または腹部が激しく上下
☆ 脈が欠損(期外収縮 ブロック)
☆ 後肢内側の付け根部分に触れない
☆ 後肢がふらつく

などの症状が認められる。

これらは、心臓の働きが低下する為に十分な血液が心臓から出ない為に現れる。

心筋症に限らず心臓系の病気には、これらの病状は必ず現れるので、見逃さずに早期発見し、早く獣医師の診断を仰ぐ必要がある。

タイプ1 肥大型心筋症 心臓イラスト

↑カーソルを乗せてネ
特徴:心臓の筋肉がどんどん厚くなっていく
タイプ2 拡張型心筋症
特徴:心臓の筋肉がどんどん薄くなっていく
タイプ3 拘束型心筋症
特徴:心臓がうまく広がる事が出来ず機能低下していく

特徴 上記タイプの中で「拘束型心筋症」が、全体の60〜70%と最も多く発生している。

肥大型・拘束型心筋症は、左心室が狭くなる為に、左心室の上にある左心房に血液が溜まって大きくなり、レントゲン写真では「バレンタインハート」とよばれる特徴的な心臓の形になる。

バレンタインハート気味 心臓部のアップ
Marinaの心臓

バレンタインハートの状態では心臓の働きが急激に低下し、同時に肺水腫がおこっている可能性が高いので、レントゲン写真の結果とこの肺水腫を知ることによって、肥大型あるいは拘束型であるかを予測する事が出来る。

突然の痛みと同時におこる、後肢麻痺も特徴の1つ (腸骨動脈塞栓症)

症状の進行が早く、ある日突然発病し、1〜3日以内に急激に悪化する事がある
(ショック状態)ので、出来る限り早期治療をする必要がある。

拡張型心筋症は全体の20%をしめ、左心室だけではなく、右心室も大きくなることから、レントゲン写真では「大きくまるくなった心臓」の様に見える。

症状 肥大型心筋症は、主に左心室の筋肉が急激に厚くなる為に、左心室が狭くなって血液をためる事が出来なくなります。このために、体が必要とする血液量が心臓から出なくなり、全身の働きが低下して色々な症状が現れてきます。

最も重要な症状は【呼吸困難】です。これは肺に水が溜まる事(肺水腫)によって現れ、同時に【咳】の症状もみられます。

運動機能低下の症状は、必要とされる血液が心臓から出てこない為に、臓器(心臓・肝臓・腸・筋肉など)が働かなくなるので出てきます。

運動機能低下の中で比較的多い症状として【後肢麻痺】があげられます。

これは血液の濃度が高くなり、普段はサラサラしている血液が、ドロドロとした粘着性の高いものになって、血管内で詰まりやすくなるためです。

後肢麻痺は、腹部の動脈(腹大動脈)の中で血液が詰まって【血栓】(血液の塊)が出来てしまい、後肢に血液が行き渡らないために出る症状です。

これを【腸骨動脈塞栓症】と言います。この状態が長く続いてしまうと、後肢の先端(爪の部分)が壊死してしまいます。
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