タイトル





 実家が老朽化してきたこともあり、家を新築することになりました。これにあたり、 いろいろ発生したエピソードを記していきたいと思います。


1. すももや店主の部屋は納戸!?


 設計が進んできました。かみさんにはピアノを夜でも弾くことができるようにピアノの部屋を。そしてシステムキッチンや客間等、いろいろ計画が練られていきました。すももや店主は、密かに家を建てるときには、工作室とパソコン部屋を持つという内に秘めた野望をもっておりましたので、もちろん設計士さんに、その旨を極秘裏につげました。図面を見回しますと、奇妙な間取りの部屋が、隣接して設計されており、そこには納戸と書き込まれておりました。すももや店主はニヤリとしました。この部屋はどうやらすももや店主が熱望していた工作室とパソコン部屋のようなのです。  これから、この部屋が物置とされないための激しい攻防が展開されていくのです。

2. 自分の稼ぎって!?


そろばん  家を建てるに当たり、融資を受けることにしました。これまで、自分の稼ぎはまあ人並みであるか、まあそんなに悪くはないと考えていました。銀行に行き、自分の年収、返済期間等から、融資を受けることができる金額がはじき出されました。その時、はじめて自分の生涯賃金というものを考えさせられました。その時、なんとなく、「君は一生働いてもこれくらいのお金しかもらえないんですよ。」という書類の代筆を頼みに銀行にいったような気がしまして、なんとなく寂しい思いをしました。

3. お引越しはたいへんなのだ


 新しい家が出来るまで、どこかに待避しなければなりません。そのためにはお引越しが必要なのです。
 待避先は、建築工事をお願いする建築屋さんの御配慮で、近所のアパートに越すことに。一部屋は私たち夫婦が、もう一部屋は母の、そしてもう一部屋は荷物の待避場所という形でアパートを使用させていただくことになりました。  たまりにたまった築約40年の荷物。休日のたびに、Kトラをかり、引越し作業を行いましたが、荷物が減りません。そして、私たち一家に引越し作業に対する疲れが見え始め、さらに、果たして引っ越し作業が終わるのだろうか、仮に終わったとしても新しい家が出来た時には同じ苦労を味わうこととなるのでは?という強烈な不安が押し寄せてきたのです。
 そこで、とうとう、黒いニャンコが目印のプロの引越し業者さんに頼む決断を下しました。彼らはとてもてきぱきと動き、約1.5日であの莫大な(約9トン(業者調べ))荷物を、あの狭いアパートに運び込んでしまったのです。
 しかし、めでたしめでたしではないのです。すでに運び込んだ荷物をあわせると約12トンの荷物を新築工事終了後、再度運び出さなければならないのです。引越し終了後、私たち家族は、口をそろえて引っ越し業者さんに語りかけていました。「新しい家への引越しもお願いします....。」と。

4. 取り壊しの日


取り壊しの日の風景  家の周りにフェンスをはりめぐらし、とうとう家を取り壊す時がやってきました。
大きな機械で、取り壊しが開始され、この時ばかりはなんとも悲しいというか、複雑な気分となりました。

5. 地鎮祭


地鎮祭  取り壊しが終わり、新地になり、地鎮祭なる儀式を行うこととなりました。
 どんな儀式で、何の意味があるものなのかもよく分からないまま、とりあえず参列することに。
 神主さんがなにかわけのわからんうやうやしいことをいい、刈り入れの儀式なるものを私がすることに。刃がおとされたカマをもち、地面にさした笹を3回刈ったふりをして、3度目に引き抜くというものです。本当は「エイ!、エイ!、エイ!」と元気よく声を出して行うものらしいのですが、なにやら恥ずかしく、声をあげることが出来ませんでした。
 私の次に、建築工事の責任者の方が鍬入れの儀式というものを行いました。鍬を振り上げ、3回地面に振り下ろすというものです。彼は、さすがに歴戦の勇者だけあり、このような儀式にもなれているようで、テレもなく、周りを圧倒する声で、「エイ!エイ!エイ!」と気合をいれながら鍬を振り下ろしました。 彼のスーツの上に羽織ったハッピ姿がなんと力強く、りりしく見えたことか。

6. 上棟式


上棟式  地盤の工事が終わり、約3日程度で、柱や屋根が作られていき、大安の日を選んで上棟式が行われました。上棟式は建築工事をお願いしていた棟梁さんにしきっていただき、餅まきやら、蒔銭やら、またまたよくわからない行事を行いました。その後、酒盛りに突入です。さんさしぐれやら、民謡やらが飛び出しました。大工さんたちはみんな唄がじょうずです。私は何事もはじめての体験で、戸惑うことばかりでした。

7. 詳細な打ち合わせ


 8月の晴れた日、私たち一家は設計事務所に赴きまして、設計事務所の高橋社長、三瓶設計主任(女性である)、建築会社の湯目係長と、詳細な打ち合わせを行いました。なにが詳細な打ち合わせかというと、とにかく詳細な打ち合わせなのです。壁の色、システムキッチンの色、トイレ、ライトの種類、その他もろもろと、まる1日かけて打ち合わせを行いました。
 しかしながら、何日も前から、三瓶設計主任(くどいようですが女性である)が細かいところまでコーディネートしていて下さったので、スムーズに事を運ぶことができました。
 ちょうど、朝の連続テレビで、女性の建築家の話を取り上げており、私も自分の家を建てている最中ということもあり、興味深く見ているのですが、この仕事はドラマ以上に大変な仕事だなと考えてしまったのでした。

8. 詳細な打ち合わせ2


 家の引き渡しまで、残り数週間となりました。またまた私たち一家は設計事務所に赴きまして打ち合わせを行いました。今回の打ち合わせは、カーテン関係です。
 私たちの家は、私たちのわがままをふんだんに取り入れた設計、造りとなっているため窓まわりが標準の一般家庭のものではなく、オフィスやビルに使用されるものが多く使われております。そのため、カーテンやカーテンレールも、オーダーという形となってしまいました。
 俳優の反町君似の装飾会社担当の方が手際よく音頭をとりながら進めてくださったので、今回も案外トラブらずに打ち合わせを終えることができました。
 ただ、この時点で、あまり金額を気にせずに希望を伝えましたので、お見積もり後の金額が恐怖です。

9. 新居への移住のはじまり


ピアノ  10月中旬の台風が仙台に接近しているある週末、引越し作業が開始されました。まず、カミさんが実家で使用していたグランドピアノを新居へと運びました。カミさんの実家ではピアノを搬出するために、大騒動となったようです。
 しかしこの大騒動は、これからの引越し作業のほんの序章でしかないのです。そう、あの、旧家屋から移住の際に運び出した大荷物を新居へと運び込むという長くつらい闘いの歴史のページがまさに今ここに開かれたのです。

10. 仮住まいのアパートとさよなら


仮住まいのアパート  大雨の日に雨漏りがしたり、お隣の中国人の方の話し声が目覚ましとなったアパートともお別れです。
 お風呂は、母の部屋のものは使わず、お風呂が沸くと内線電話で母を呼び、入ってもらうという共同風呂のような生活でした。食事も、冷蔵庫やガスレンジが私達の部屋にあったので私たちの部屋で行い、洗濯機は母の部屋にあったので、洗濯は母の部屋という形で、部屋間の行き来が多く大変、変わった、せわしない生活でした。
 寝床があまり気にならない私としましては、せまいながらもなかなか楽しい生活をさせてもらったと思ってます。
 お向かいは酒屋さんで、ビールやジュースも飲みたいときにすぐに購入できました。これからは、買いだめの必要がありそうです。おとなりは以前から利用していた床屋さんで、仮住まいについてや、お引越し、新居の使い方など色々アドバイスをいただきました。そろそろ散髪にいかなければなりませんので、少し落ち着いたら伺って近況をお知らせすることにしましょう。
PS.お隣の中国人のおばあちゃんが作ってくれた肉まんはとてもおいしかったです。

11. お引越し


くろねこさんのトラック  10月末、新居へのお引越しを行いました。またまた黒いニャンコのマークのお引越しやさんにお願いしました。お引越しのリーダーを務めて下さった方や、多くの方が、以前の家からの搬出を行って下さってくれた方々でしたので、大変スムーズにことが運びました。
 しかーし!!これはあくまでも搬入がうまくスムーズにいったということだけなのです。部屋の中の片づけ、荷物の整理等々、まだまだやらなければならないことが山積みなのです。まずは、山と積まれたダンボールを片づけることが当面の課題なのです。

12. お披露目の宴


 ささやかですが、お披露目の宴を開きました。いろいろお世話になった設計士さんや、大工さん、そしていろいろとご迷惑をおかけしたご近所の方をお招きしました。
 お酒が入り、昔話になりました。昔の家のこと、その家が建つ前のこと、仙台に空襲があったこと、さらにずっと昔までさかのぼりました。この新しい家が建っているこの地には様々な歴史があり、そしてこの新しい家も時の流れの中では歴史となってしまうのだなと、新しく家が建ったばかりなのに遠い未来のことを考えてしまいました。

13. お役人がやってきたのだ


 だいぶ家の中が片付いたころ、市からお役人がやってきたのです。目的は、固定資産税を決定するためとのことです。家の中をくまなく見られ、クローゼットの中までチェックされました。
 安いみすぼらしい材料の柱や、壁にしておけば税金が少し安くなったりするのだろうか?などと考えてしまいました。
 このお役人さんたちが泥棒さんになったらちょっと困るななどと、失礼ながら考えてしまいました。

14. 税金を忘れておりました


 新しい家での生活にもすっかり慣れました。
 年中行事である自動車税を払い込み、「やれやれ、この税金は一体何に使われるんだろう?」などと、明確な答えが出ない問題を考えていたある日ある時、ふと気付くと、固定資産税払い込みの通知が....。
 この税金すっかり忘れておりました。住宅ローン以外でもまだまだ闘いは続くのであります。我々はいったいどれくらい税金を払えばよいのでしょうか。

15. 家のメンテナンス


 新しい家に住み始め、半年以上経過しました。
 家の点検を行っていただき、メンテナンスを行っていただいています。
 ドアの閉まり具合、網戸の合わさり具合、天窓の結露対策等です。
 点検を受けながら、以前に設計士さんがいわれた、「家は、住んでいる人と共に成長します。」という言葉を思いだしました。
 家は長く付き合わなければなりません。メンテナンスもこまめに行う必要がありそうです。


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