癒えぬ傷口



「…もう…いや…だ…」


嗚咽する唇から漏れるのは、そんな訴え。


深く深く傷ついた場所から流れ出る血液。

それは現には見えず、しかし確かな痛み−−−苦痛を味あわせるもの。



血は黒く染みを作り、そこからじわじわと巣くっていく。


「キラ…」


苦痛にキツく閉ざされた瞳は開くことなく、静かに意識も閉ざしている。

ただ握った手だけが強く握り返されるだけ。

近くにいるのに…こんなにも近くにいるのに、守り切れ無かった自分。
無惨にも首をはねられた、天使の機体。
それでも人を助けようと動くそれは、片羽の折られた蝶のように弱々しく、痛いげで。


やっと守りについたときにはもうボロボロだった。



「馬鹿だ…本当にお前は…」


ベッドに眠る少年は、まだ古傷を残したまま、この宇宙を飛んでいた。

瘡蓋も張らないうちにまた新しい傷がその上から次々に…。




まだ未熟なキラにその治癒能力は備わっていない。
だから俺が、自分がいたはずなのに…。


「…あぁ。馬鹿は…俺か…」




泣き、赤く腫れた目元に指を這わす。

涙を拭ってやることも俺には叶わなかった。



「すまなかった」




静かに懺悔を囁く。
君の耳には届いているのだろうか。


「キラ…」


あぁ…



すべてを


キラを



守り抜く強さ、




剣を、





神よ、





「キ…ラ…?」


閉ざされた目尻から流れ落ちた一筋の涙。



「夢…を…見ているのか…」


きっと辛い夢、悲しい夢。
透き通った雫が白い頬を伝い、枕を濡らした。






「くっ…」



何もできない、自分には。
思いを伝えることも。


今はただ眠り、苦しむ手をきつく握り返すことしか………







end.

後書き
すんまそん、駄文です。最悪ですねf^_^;

46話の続編、ラクス&カガリ退散後みたいなかんじで。アス、よわっちぃ…ラクスのゆずりなさいビーム受けて退散するなんてっ!