夢物語と銘打たれた本当の話

柔らかな日差しが、確かに感じられる。
今、日は何処まで昇ったのだろう。
芽吹いた木々の香りが心地良くて、つい木陰で横になってから、何時間が経ったのか・・。
そろそろ、探しに来る頃かもしれない。

「レーゴーラースーっ!何処ー!?」

ほら、来た。
小さな妖精の声がする。
でも、自分から起き上がって手を振ってあげるのは止しておこう。
「レゴラスー!!アンタの父君が呼んでるんだけどー!狸寝入りしてないでとっとと出てきてよー!!」
わかってるじゃないか、
でも、まだ眠いし。起きないよ。
「コラ無視しないでよレゴラスーっ!!」
僕の名を呼ぶ君の声が、耳に心地良いから。
瞼を降ろしたまま、もう少し此処にいよう。
の声が、だんだん近くなる。

「・・・あー、やっぱり寝たふりしてるし・・・・・」

残念、見付かった。
「レゴラスー・・・いーかげんに起きてよー・・・幾つになっても子供なんだから」
、髪の毛引っ張られると痛いんだけど。
「レゴラス!さっさと目開けて、ほら!」
しょうがないな。
がおはようのキスしてくれたら起きるよ」
「王子様は随分我が侭ですこと、まぁ」
・・・そんなふうに切り替えされると思ったけどね。
のことだし。
「まーったく、キスで目が覚めるのは姫の役なのに」
両頬に、少し冷たい手が触れた。
の?
いや、のだとしたら小鳥の嘴みたいに小さな筈。
けど、この両の手は?
「さ、起きてくださいませ王子」
唇に触れたのは、やっぱりのそれだったのだろうか。





「・・ラス・・・・・レゴラスっ!!」
「ん・・・・?」
柔らかな日差しが降り注ぎ、新芽の木々達が影を作る長閑な午後に、レゴラスは目覚めました。
「・・・?」
自分の目の前、中空に浮かんでいるのはいつもと何の変わりもないです。
「まったくもう・・・レゴラス、何回呼んでも起きないんだもん!」
はぷん、とそっぽを向いて文句を言います。
「あ、ああ・・すまない。、どうかしたのかい?」
「レゴラスの父君が呼んでるよ。ほら、早く行きなって。きっと大事な御用事だからさ」
「わかった。それはそれとして、・・・・・、話があるんだけれど・・・」
「なぁに?」
きょとんとした顔つきで自分を覗き込むに、レゴラスは暫くしてから苦笑を漏らしました。
あれはきっと、只の夢だったのだろうと。
「いいや、なんでもないよ」
「・・・なんなのー、変なレゴラスっ。・・・・・ま、いいや、待ってるから早めに終わらせてきてね」
「うん、行って来るよ」
にこやかに微笑むに見送られ、レゴラスは急ぎ足で館へと戻っていきました。

「・・・王子様にバレなくて良かったね、

その後ろ姿を眺めながら、自分にそう話し掛けるには気付かないまま。
は自分の唇にそっと手を触れて、幸せそうに微笑みました。


昼下がりの小さな夢、その真実を知るのは、大きな楡の樹だけなのでした。

end.

後書き
短いです(汗)。けれど愛だけはある王子ドリィム。
妖精ヒロインloveいですv今までの問題だった(?)、リ○ちゃんサイズも見事克服(?)しましたし。
克服方法はまだ秘密です。・・・それにしても、わかりにくい話ですな(自嘲)。
前半、レゴラスの一人称なのは彼が夢半分だからです。
まぁなににしろ、指輪ドリィムloveで(笑)!