...With us ?
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「・・・わたし・・・・何してるんだろう・・・・・・・・・・」
ふぅ・・・・・と長いため息をついて、はいっそ腹が立つくらいに晴れ渡った空をぼぉっと見上げていた。
「いかがなさいましたか?お姫様」
「いや・・・・べつに・・・・」
ここは学校の外、ハグリットの小屋より少し離れた大樹の下。
もちろん三人の他には、誰も見かけられはしない。
は強制的に(二人に両側から腕を掴まれて)ココに連れてこられていた。
「てゆーか、『お姫様』ってやめて・・・」
「「理由は?」」
「何か嫌」
直球一直線、何の含みもありはしない。
「それでは少し」
「理解に苦しみますね、我々は」
おどけた調子を崩さずに、畳み掛けるように言うフレッドとジョージ。
のこめかみがぴくっと動いた。
−−−何よ嫌だっていってるじゃないっ大体わたしは記憶無いうちにアンタ達の部屋で
寝てたって言ってるでしょほっといてよそれ以前にアンタ達がわたしがどこかで無防備
に寝ているかふらふらうろついているのを部屋に連れ込んだんじゃないでしょうねそれ
だったら本気で攻撃呪文ブチかますわよそのあと子孫末代までうちの秘伝呪術で呪い
倒してやるっ!
・・・意外と怒り易い体質のだった。
「・・・嬢」
「何よ」
「・・・我々、何かお気に障ることでも致しましたでしょうか?」
怒りのオーラが立ち上っているに、流石の二人も腰が退けている。
「フレッド・・・。例のもの、イってみるか?」
「了解!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今度は何」
「「いやはははははははははは」」
「ははははは」
乾いた・・・というより冷えた笑い声を上げる三人。
端から見てるとひたすらコワい。
「・・・白状しなさい」
の目は座っていた。
「こちらです、嬢」
−−−嬢、ってのもあんまり・・・・・。
は心の中でため息を吐いた。
連れてこられたのは・・・。
大樹の、裏側。
「・・・・何?」
「「しばしお待ちを」」
フレッドとジョージはにやりっ、と笑って樹の根本をごそりと動かした。
顔を覗かせたのはぽっかりと開いた、地下道。
暴れ柳とは違うところにある、別物の隠し通路だ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
の長い、長い沈黙。
「・・・嬢?」
「・・・すっっっっっっごぉぉぉぉいっ!!!!」
「「は?」」
「やだわたしこーいうのすごい好きっ!きゃーーーvvv」
二人の予想以上の反応を見せた。
「そ、それは」
「喜んで頂けて恐縮です」
「ね、ね、ね、これ何処に繋がってるの???」
二人の台詞を新幹線で轢き殺すかのように無視して、わくわくしながら地下道を覗き込む。
「「行ってみればわかりますよ」」
の変わりように驚きつつ、瓜双つの笑顔を彼女に向け、二人は地下道へ足を踏み入れた。
−−−ちょっとカッコイイかも。
の、ほんの小さな思いには微塵も気付かずに。
「わぁ・・・・・・・・!すごいっv」
長い通路を抜け、いくつもの階段を上ったその先は。
高い高い塔の最上階だった。
吹き抜ける風、無限に思えるほど広がる風景。
「「お気に召されましたか?」」
「うん、ありがとvこんなスゴイところに連れてきてもらって」
は笑う。
二人の前で初めて見せた、屈託の無い笑顔。
「それと、『嬢』もやめて。でいいから、ね?」
「「承知しました」」
「・・・何時までもその口調で居るとまた怒るけど・・・?フレッド、にジョージ」
「「ははは・・・・・・・・・・?」」
笑ってごまかそうとして二人は、妙なことに気がついた。
は、正確に。
二人を見分けて、それぞれに視線を投げかけて話し掛けたのだ。
「・・・?」
「何?フレッド」
ほら、やはり。
は正確に言い当てた。
フレッドとジョージは顔を見合わせる。
「「少し目を瞑って」」
「・・・いいけど?」
の瞼が閉じているのを確認し、素早く位置を取り替える二人。
さらに服装の細かいのを確認されるとあれなので、ささっと整え細かい所まで見られない
ようの顔を覗き込んだ。
「「O.K.」」
「・・・何だったの?ジョージ、フレッド」
「「・・・」」
位置を取り替えようが違いを消そうが。
は完璧に二人を見分けていた。
「ははははは・・・」
「これは参った、君は凄いぞ」
「何が?」
「僕らを産み落とした母親も、僕らの見分けがつかなかったりするんだぜ」
「だからはすごい」
「・・・・・そういうもの?」
は首を傾げた。
「「ああ」」
「そっか」
はまた笑う。
二人を魅了するに足る、綺麗な笑顔で。
「そっれでさフレッド、ジョージ。他にもこういう場所、知ってたりする???」
「そりゃぁこのフレッドとジョージにかかれば、校舎なんて町の公園みたいなものだからさ」
「抜け道隠し道、何でもござれだ」
「やっぱり?なら、他の所にも連れてってよ」
「けれど、いいのかい?」
「先生に見付かったら一発アウト確定だね」
「ふっ。そんな事でこのわたしの好奇心が折れるとでも?だぁいじょうぶよ、普段は良い子
で印象いいし、ある程度点数稼いでるし」
「いやいや、レイヴンクローの秀才も蓋を開けてみれば普通の女の子だね」
「普通以前にアレだけれど」
「なんか言った?」
「「いや、何も」」
その日から、フレッドとジョージ、それにリーの悪戯に荷担するの姿が密かに目撃されはじめた。
end.
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後書き
いや、書いててどうにもノらなくて辛かったけど、良い経験でした。
一対一じゃないのは初めてかも。
リーの出番を入れられなかったのが、個人的に悔やまれます。彼のクィデッチ
実況が大好きですv
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