森の日

「フロドっ!!」
木の根を飛び越え、小道を走り。
話に聞くエルフのようにすばしっこく、辺りを駆け回る少女の後を、和むような微笑みを浮かべてフロドは追った。
、待ってよ!」
「フロドが遅いの!折角春が来て、森が目を覚ましたのに!ボンヤリしてたら、すぐお日様が隠れちゃうわ」
ははしゃぎながら、小川へと飛び込んだ。
ソレは足首が漸く浸るほどのほんの浅いものだったけれど、雪解けのつめたい流れがの足を濡らす。
「ほら、この小さな流れだって、夏になれば深くなっておちおち涼みも出来ないかもよ?泳ぎは苦手だし」
「うん、そうだね」
倒れた大木の上に腰を下ろし、流れに足を浸して楽しむのとなりにフロドも腰掛け、微笑んで肯いた。
「よーっし、今日は目いっぱい遊ぶわよー!」
元気良く言い放って、は小川の水をけり上げた。
「うわ!冷たー・・」
「あ、ごめんっ」
びしゃ、とまともにそれを浴びて唸るフロドに、は慌てて立ち上がる。
「大丈夫だよ。ちょっと驚いただけだし・・・」
フロドは笑ってひらひらと手を振った。
「んー、ごめんね」
はもう一度、朽ちた樹の上に座り直す。
「そうだ、少ないけどお弁当あるよ?食べようか」
「ホント?!やった、フロド大好き♪」
小さいからだの割にはよく食べる・・・ホビットの例に漏れず、食べることが趣味の一つというか義務にすら似た意味を
もっているは、隣のフロドにきゅーと抱き着いて喜んだ。
その時のことである。

...がささがさがさっ!!!

「な、何!?」
突如、手前の傾斜の上からなにかが派手な音を立て転がり落ちてきて、フロドとは思わずそちらを凝視した。
「い・・・痛た・・」
「ちょっと誤算だったかな・・落ちるとは」
「メリー!?」
「ピピン!?」
そしてのっそりと頭を持ち上げた、落下物・・もとい落下ホビットの見知った顔に、とフロドがそれぞれ声を上げた。
「あ、!フロド!」
「どうして君たち、こんな所に居るんだい?」
「それはこっちの台詞だよ」
「たしかこの上って、はた、け・・・」
メリーとピピンの抱えていたものに目が行って、は台詞を途中で切った。
「「あ、あははは」」
乾いた笑いをあげるメリーとピピンに、とフロドは顔をひきつらせた。
そして、上のほうからは聞きなれた怒声。
!フロド!半分持って!」
「え、ええ?」
「ああああもう!まぁぁぁたアンタ達はー!!」
野菜を押し付けられて、フロドは焦る。は叫ぶ。
「しー!、声がおっきい!」
「さぁ逃げるぞ!」
「メリピピのばかぁぁぁぁっっ!」
「うあ!短縮一まとめ!?」
「それって一種の人権蹂躙!」
「うるっさい!」

走りながらのその会話は、森中に響き渡っていた。





「どうしたですか、旦那にさん」
「つ・・疲れた・・・・」
「・・・・いろいろあったのよ・・・」
ぐったりした2人が帰ってきたのは、日もとっぷり暮れた後だった。

end.

後書き
短いというか、内容薄いです。
ホビッツ言いながら、サム一言しか出てきてないですし(爆)。
でも、書いててたのしかったです♪
鏡 麻友様に捧げました♪