Can I know your heart ?
「今朝も早いねぇ、お姉さんv」
地球、ハワードの整備工場。
デュオは朝早くからガンダムデスサイズの修理を進めている女性に声をかけた。
彼女の名前は =。今年で19歳になる、女性整備士である。
「デュオ」
はデュオの声に振り返った。
銀色の短い髪にアクアマリンのような二重の瞳の、綺麗な女性だ。
「お勤めご苦労さんv俺の機体だし、手伝うよ」
「そうしてもらえると有り難い」
は不敵に笑った。どうもハワードの下で働く整備士は男ばっかりで、元々気の強い彼女の性格と
相成って言動やら行動やらがかなり男っぽい。
「しっかし、また派手にやったな」
「腕のいい整備士が居てくれるからな。思いっきり戦えるんだよ」
「そう」
言いながらはモニターをチェックする。モニターはせわしなく画面を切り替えて、なんだか万華鏡
を見ているようだ。
デュオも隣でがちゃがちゃ機具を弄っている。
「な、。デスサイズの整備終わったら、どこか出かけねぇ?」
「はいはい、後で遊んでやるからちょっとそこ退いて」
デュオの頭をぽんぽんと撫でて、は別のモニターに手を伸ばす。
(ちぇっ、相変わらず子供扱いだな)
実際充分子供といえる年齢なのだが、ガンダムパイロットして戦場に赴いている事もあり本人は、もう
大人のつもりである。
(それならこっちにだって考えが・・・)
『遊んでやるから』発言を逆手にとって、本気で遊びに誘う気になっているデュオだった。
「畜生・・・考えてみればこの辺にデートで行けそうな所無えじゃねえか・・・」
当たり前といえば当たり前なのだが。
はくすくす笑いながらデュオのとなりに腰掛けた。
ココは整備工場の屋根の上である。
爽やかな風が吹き抜けていくが、デュオには真冬の木枯らしのように感じられた。
「ふて腐れるなよ、デュオ」
「だってさ、折角任務無ぇのに〜・・・」
「すぐ来るさ、指令なんて」
「うっそれも嫌だ」
「ははは、本当にデュオは面白いな」
は、ガンダムパイロットでこんなに感情の起伏が激しいのってデュオだけなんじゃ、と冗談にも
ならない事を言いはじめた。
「・・・どーせ俺は子供だよっ」
「うん、そうだな」
にべも無くは言った。
「はおるかね」
「ハワード」
どっこいしょ、とハッチを開いてハワードが顔を出した。
「下でシュイゲルが呼んどるぞ」
「主任が?わかった、すぐ行く」
はハワードと入れ違いに降りていった。
「ちぇーっ」
「ひょひょひょ、どうしたデュオ。やっぱりは難攻不落か」
「ん〜・・・」
「鈍いからな、あいつは」
「そーなんだよなぁ」
デュオはため息を吐いた。
そういえばはいつも、デュオが出撃する時に「いってらっしゃい」と言う。
本人によれば、それは「おかえりなさい」も言わせてくれるという暗黙の了解があるらしい。
そんな事を思い出しながらも、一人で居ても空しいだけのような気がしてデュオは整備工場へ
戻ろうとした。
ふと、下に目を向けてみると、と例の主任が何やら話をしている。
デュオには今まで一度も向けたことがない真剣なまなざしだった。
デュオは何だか腹がたった。
下に降りると恐らくの視界に入る。
降りようかどうしようか躊躇している間に、話は済んだらしい。
なんとなくほっとして、デュオは下に降りた。
「デュオか。悪かったな、急にいなくなって」
はデュオを見つけてそう言った。
その目はまるで、弟かなにかを見ているようで。
デュオはさらに腹が立ってきた。
「・・・デュオ?腹でも痛いのか?」
こういう場面にこういう事を言うあたり、ハワードの言ったとおり変な所では鈍いらしい。
「もうすぐ昼飯だ、皆行っちゃったぞ」
ほら、とはデュオを促した。
それもまた、保護者のような感じがして。
「俺は・・・」
「何?」
「俺はあんたにとって、そんなにガキかよっ!?」
デュオはそう叫ぶと、の手首を強く握って壁際に押し付けた。
−−−切なそうな、痛い声だった。
ばんっ!
「痛っ・・・!」
のからだが冷たい鋼鉄の壁に打ちつけられる。
「デュオ・・・」
「・・・俺は、そんなに・・・子供か?」
「・・・」
「なぁ・・・答えてくれよっ!」
デュオはぎっとを睨んだ。
−−−その眼もまた、痛々しかった。
そんなデュオを前にして、は。
「っ・・・・・・あはははははっ!」
「は!?」
「はっ・・・げほっ・・ふっふふふふふ・・・・・あはは・・・」
「ちょ・・・・・」
「そんな事気にしてたのかデュオ」
はひとしきり可笑しそうに笑った後、優しい眼差しでデュオを見た。
「そんな事、って・・・」
「・・・私はな、優しいくせに戦場へ赴くデュオが、どんな大人よりも大人で、強いと思ってるんだ。
そんなお前が、時折・・・というかいつもの気もするが、見せる年相応の様が可愛いんだよ」
はデュオの手を振り解いて、頬を撫でてやる。
「それじゃ、足りないか?」
の瞳は何処までも澄んでいて、綺麗だった。
「・・・・・・ほんとに?そう思ってるのか?」
「ああ」
「・・・じゃぁ、証拠」
デュオは優しくの唇を奪った。
深い、気持ちを確かめるようなキス。
「・・・満足?」
唇を解放された時、はまだ余裕の笑顔を見せた。
「ん〜・・・なんか腹立つなァ」
デュオはイマイチ納得できていないような顔をする。
は楽しそうに笑った。
「ま、いっか。ところで」
「何?」
「これからは、いってらっしゃいのキス、くれるんだろ?」
「調子に乗るな」
浮かれあがったデュオの首をきゅっと抱え込んでは言った。
「痛たたたたたたっ!!」
デュオの悲鳴だけが響き渡る。
「デュオ」
「ん?なんだい」
OZのモビルスーツ輸送機陸方面襲撃の朝。
は、デュオに「お守りだ」と翡翠の小玉を渡すついでにこっそり告げた。
「キスは、『お帰りなさい』のときにしてやる」
「・・・いやまいったねしかし。絶対死ねないぜ、こりゃ」
デスサイズのコックピットで、一人浮かれるデュオが居た。
end.
後書き
・・・タイトル、当たってるかどうかなんて知ったこっちゃ有りません(死)。
いや、それにしても(話を逸らす)。このネタ考えたこと自体は大分前なんですけど・・・。
実は、ヒロインのモデルは某バン○レストゲーム女主人公(パーソ○ルトレバー操縦者)だったり。
私このゲームから入ったんですよね、ガンダムWは・・・。
てゆーかわかる人、居ますか?アー○ガン(笑)。←なんたって元はその話だったわけなもんで。
主任は某光の巨人(ウル○ラ警備隊所属)で。ハワードは某宇宙刑事(第一期)だったんですよ、この話の
キャスティング(爆笑)。
ヴィレッタ様好きだったなぁ、ほんとに(なにしみじみしてるんだか)。
しかし考えてみればすげぇゲームだった気が。
某人造人間(ギター+ヘルメット付き)が某人気カニ(エビ?)系宇宙人投げ飛ばすし・・・。
・・・はっ!いつのまにか話が・・・。
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