気持ちはきちんと伝えましょう。

 

「ふん、勝手にしろ」

 

マイホームにて。

後ろからかかったその呟きに、ドアノブに手を掛け今にも扉を開きそうになっていたフィーネは、ぴたりと

その動きを止めた。

そして、振り返る。

ものすごく、不満そうな顔つきで。

「瑠璃・・・それ、わざと言ってる?ねえ?」

明らかに喧嘩腰だ。

「あしたまた姫ちゃん探そうって言ってるでしょっ!なんでいつもそう言うのー!?」

「うるさい!こんな日の高いうちから『もう帰る』なんて言い出すくらいなら、最初から着いてくるな!」

瑠璃も言い返す。そんな2人の頭の上では、さんさんと太陽が輝いている。

「ただでさえ、ロアには真珠も居なかった上に、妙な馬の口車に乗ってアナグマ相手にランプ売りつけて

時間潰したんだぞ!?」

「ランプは成り行き!わたしだって姫ちゃん心配だもん!でもこれだけはぜーったい譲れないの!」

本気になってフィーネは叫ぶ。

家の前で呑気そうにうろうろしていた草人も、思わず少し飛び上がって驚いた。

「瑠璃も見てみれば絶対解るもん!すごいレアなんだから!」

「見るかそんなくだらないもん!真珠を探すなら気合入れて探せ!」

「わたしだって姫ちゃん大事だってばー!でもでも、ぜーったいこれだけは譲らないからね!少しくらい

いいじゃない、瑠璃の短気っ!!」

「ダレが短気だっ」

「瑠璃ちゃんが短気なの!」

「そのアホみたいな呼び方を止めろ!」

お互い、ぜーぜー肩で息をしながら一度言葉を切る。

じいいいっ、と恨めしそうな目でフィーネは瑠璃を睨んだ。

「可愛いもん・・・・滅多に見られないし・・・」

「知るか」

「ほんとだってば!」

ぐっ、とフィーネは拳を握る。

 

「サボテン君が謎の一言漏らした後日記を書きにちょこちょこ歩くの可愛いんだからね!!!」

 

「・・・・もういい」

がっくりと肩を落として瑠璃が呟く。

「嘘じゃないよ!見てみればわかるって!タイミング難しくて、なかなか歩くの見れないんだよ!?」

「俺はもう行く!纏わりつくなーっ!!」

「瑠璃の馬鹿ぁぁぁっ!!!ちょっとだけだもん!そしたらまた姫ちゃん探すもん!」

「知らんっ!」

 

結局、その押し問答は。

太陽が愛想を尽かして月が嫌々出てくる頃まで続いたという。

 

サボテン君日記番外編。

きょう、そとからふぃーねとるりくんのこえがきこえた。

どうやらぼくをめぐっていたらしい。

ぼくってつみつくり?

 

<End>

 

後書き

久々の聖剣、短い上に阿呆な話で申し訳有りません(汗)。

何より申し訳ないのは、女主がアホなのが申し訳ないです。

サボテン君好きなんですよ・・・。

2002.11.5[女主人公同盟へ投稿]

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