オパール
フィーネとラルクが一緒に旅をするようになって、随分の時が経っていた。
『知恵のドラゴン』ティアマットの甦りの力を得たラルクと、『マナの女神』の力を受け継いだフィーネは
不老不死に近い『時間』を手に入れ、マナの干渉を受ける事の無くなった世界を見守っているのだ。
時たま、フィーネの弟子姉弟が留守番をする樹に抱かれた家や、シエラとヴァディスが住む白の森へ
赴いたりもするが、2人は今まで過ごした『時間』の大部分を当ての無い旅へ費やしていた。
「あーあ、今日も何も無かったね」
夜の帳が山々に下りる頃、おこした火に手を翳しながらフィーネは詰まらなさそうに、傍らのラルクに
話し掛けた。
「平和だってことに、こした事はないだろう。まぁ、確かに俺も最近は腕試しの機会が少なくなって、
物足りないとは思うがな」
ラルクは苦笑して言いながら、火にかけて暖めた茶をフィーネに手渡した。
「ありがと。・・・ほんと、平和になったよね」
暖かいお茶を満たしたカップに息を吹きかけながら、フィーネは宵の明星に誘われて星々が輝きはじ
めた夜空を見上げて呟く。
「・・・自由なのかな?世界は」
幾つもの大きな戦乱を経て
幾つもの歴史に残らぬ戦いを経て
世界は平穏を取り戻したように思える
マナを渇望する『心』から解放されたことによって
けれどそれは
イコール『自由』ということではないだろうとも思えるから
そう
少なくとも
わたしにはそう思える
「それを決めるのは、そこに生きる者達だ」
「・・・・そうだね」
ラルクの言葉に、フィーネは眼を細めて微笑った。
こんな瞬間、フィーネがその儚い微笑みを浮かべる瞬間。
ラルクの目に、彼女が酷く霞むように脆い存在に映る。
「フィーネ」
「なぁに?ラルク」
儚い笑みを乗せたまま、自分の顔を見上げるフィーネの額に張り付いた金糸の髪の一筋を不器用に
払いながら、ラルクはとても優しい瞳の色で語り掛けた。
「そんな顔をするな。お前は『英雄』なんだから」
フィーネは驚いて、言葉も無くただラルクの瞳をしげしげと眺めていた。
「ただし、俺の前だけは別だぞ。俺にだけ、『フィーネ』を見せてくれればいい」
ぽんぽん、と大きな手に頭を撫でられ、やっとフィーネは感情を溢れさせた。
「ラルクは・・・強いなぁ・・・・・・」
わたしじゃ、敵わないよ
言って、フィーネは涙を溢れさせた。
「何言ってる」
フィーネの頭を抱えて抱きしめ、ラルクは口の端に笑みを添えて呟いた。
「俺は、おまえには弱い」
さも平気そうな顔をして
風のように世界を巡り
自分を含めた多くの人に出会い
ティアマットを含めた多くの敵を屠り
まるで己のことなど露ほども考えていないようなことをして
そして『ひとつの終末』へと向っていった
ほんとうはとても脆いこの『フィーネ』という英雄に
自分は酷く心惹かれていて
酷く弱くなってしまう
「うん・・・・・・・・」
ぎゅぅ、とラルクの体温を感じながら、フィーネは静かに涙を流す。
そう、一人ではないことを感じながら。
「ありがとう、ラルク・・・・・大好き」
何時の間にか空は、幾億もの星々が瞬いていた。
静かに2人を照らしながら。
end.
後書き
やっと念願・・・果たせました。
すみません、好きなんです。聖剣伝説レジェンドオブマナ。
私が、PSで初めてプレイしたゲームだったので、非情に強烈な印象として残ってたので・・・。
ずーっと女主で、ラルクとレディパール様とエレばっかり連れまわしてました(笑)。
カップリングでやっぱり一番好きなのは、ラルク×女主なのです♪
ラルクはきっと大事にしてくれるでしょう・・・ドラグーンだしネ(何の関係が)☆
でもでも、本当は女主ちゃんもっと強いのですよ!普段はむしろ女主×ラルクで(爆)。
あ、どうもぱっと見て珠魅関連かと思われるような題名の由来は・・・オパールって、確かすごく不安定な宝石
だったような記憶があるんですよー。ちょっと熱を加えたりなんだりするとダメになるような。
・・・違いましたっけ(汗)?
しかし、このサイトもいよいよ方向性を失ってきました・・・。
うーん、やっぱり創作かこっちを別館にすべきだったのでしょうか?
最後に一言。JAVE入れなくて済むってとっても楽ですね(爽)☆