「第七話」

フィギアスケート界の若手の選手に織田信成という選手がいる。聞けばこの選手は織田信長の末裔だそうだ。言われてみると、どことなく顔も個性的で、独特の雰囲気を持っているような気がする。むろん織田信長と言えば、群雄割拠して覇を競い合った戦乱の世に、覇者として君臨することが出来た人物である。彼の凄みは野心と想像力のように私は思える。織田軍3000,今川軍28000 圧倒的不利な条件の中、雨に蹄の音を隠し、軽騎兵をもって真一文字に今川義元の本陣を突いた桶狭間の戦いが何よりの証拠。

私自身もサザンのライヴに関しては、人一倍の野心と想像力を持って足を運んでいる。私にとっては、桑田軍との戦の場である。ただし、戦は普通勝たないと意味がないのであるが、この戦は少々違う。私が桑田軍の動きが分かる時はおもしろくない。奇襲攻撃にあった時ほど面白い。90年代前半のサザンのライヴは比較的メジャーな曲をセレクトしたライヴが多かった。正直私自身もいつものパターン化したライヴに飽き飽きしていた記憶がある。やはり初めてライヴに足を運ぶお客さんの気持ちを気遣っての桑田氏の配慮だと思えば仕方がない事だとも思えたが、やはりいつもと違う曲を聴いて見たいという気持ちが、いつまでも私の心の中にあり続けていた。

ついにその刻がやってきた。1996年〜1997年の『牛』である。私にとって5曲目の「♪メリケン」は待ちわびていた奇襲であった。聴いてみたい曲であったし、ライヴアレンジも完璧。この一曲でもう充分だと思ったが、奇襲はまだまだ続く。「♪TARAKO」「♪奥歯を食いしばれ」「♪タバコロード」「♪Happy Birthday」桑田軍に一本槍で心臓を一突きにされたと思えるほどであった。

しかし、桑田軍はまだまだこの戦では、私を成仏させてはくれないのである。17曲目には何と「♪瞳の中にレインボウ」そして音楽祭以来の「♪古戦場」これも一度聴いて見たかった「♪欲しくて欲しくて」本編ラスト3曲前の「♪悲しみはメリーゴーランド」ギターを持ったままの「♪怪物君の空」古戦場からの4曲はすべてアルバム『kamakura』からであり、しかも物語のラストはkamakuraの4曲を随えての「♪愛の言霊」私にとってはこれ以上ない流れであった。またいつの日か桑田軍の奇襲攻撃をうけてみたいものである。

そういえば、何かの本で読んだことがあるが、信長は若い頃から戦だけの能力の高さだけでなく、自ら発案をし、ド派手なパレードをしたり、自らも女装の仮装をしたりして祭りを盛り上げたという。何かこの芸風、誰かとかぶるのは私だけであろうか?もしかしたら日本のミュージック界に永く君臨し、私達にスピリチアルなメッセージを送り続けてくれるカリスマは現代の織田信長なのかも知れない。

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