講義ノート  憲法
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経済的自由権

1 消極目的による規制 
  職業の自由の行使による弊害を防止するための規制
  国民の生命,健康,公安,風俗,公衆衛生,安全などの既存の法益を保護するため
 の規制であり,これを侵すことは職業の自由の内在的限界を超える行為として違憲と
 なる。
   合憲性の判断基準
    法律で規定された立法目的を達成するために必要か?
    薬事法違反上告審判決 S50.4.20
     @当該規制がなければ目的を達成できないか著しく困難であると言う程度の客
      観的必要性
     Aその手段が立法目的を達成するために合理性を有するかどうか
     B規制措置が弊害または危険性を防止する必要最小限度か否か
                        →より制限的でない選びうる手段」の原則

2 積極目的による規制 
   資本主義が一定の発達段階,すなわち独占または寡占段階 に達したときに生じ
  た諸矛盾,特に競争が失われたことによって,私的自治の原則や契約自由の原則
  に基づいて形成された市民法秩序がもはや社会的正義を実現しないことが明らか
  になった  段階において,憲法が定める個人の尊重,生存権,勤労権や,財産権
  の制約原理である公共の福祉の理念に基づき,構造的に社会的弱者の立場におか
  れている市場における取引当事者の一方,例えば使用者対労働者における労働者
  ,大企業対消費者における消費者等を保護するために取引の一方当事者を保護す
  る規制
合憲性の判断基準
   小売商業調整特別措置法違反合憲判決 S47.11.22
  「裁判所は・・・立法府がその裁量を逸脱し,当該法的規制措置が著しく不合理であ
   るこ との明白な場合に限って,これを違憲として,その効力を否定する」
  (合理性の基準,明白性の基準)

3 薬局の距離制限 国民の生命及び健康に対する危険防止という消極的・警察的          目的のための規制 →  違憲
  公衆浴場の適正配置規制 
   @最判S30.1.26  国民の保健及び環境衛生  → 合憲
   A最2小判元.1.20 このような積極的,社会経済政策的な規制目的にでた
    立法 → 合憲
   C最3小判元.3.7
     (1)国民保険及び環境衛生の確保が規制目的
     (2)指摘されてきた公衆浴場の特殊性を挙げて, そのような既存公衆浴場者
       の経営の安定を図ることにより
     (3)自家風呂を持たない国民に取って必要不可欠な厚生施設である公衆浴場
       自体を確保しようとしている  → 合憲