[Column] タイヤ外れの話
普通の人であればまず体験することはないであろうトラブル。
仕事柄イヤと言うほど見てしまいます(^^:)
そこでこんな時はこーする!というお話です。
あくまでも自己責任において作業してください。管理人は一切の責任を負いません。
内容が理解できないときや、作業に自信が持てないときは無理せずにレッカー車を手配しましょう。
●タイヤはずれ
いきなりヘビーですね(^^:)
ここでいうタイヤはずれとは、ナットが全て外れたためにタイヤが転がっていったというものです。
足回りの損傷は含まれません。というか、それは現場では治りません。
時期的には春秋のタイヤ交換シーズン直後が多いと思われます。
#積雪地帯の話。他の地域は滅多にタイヤ交換しない様な気がしますが...
原因としては、ほとんどがナットの締め付けトルク不足です。
しかも左側がゆるみやすいようです。
これはタイヤの回転方向とナットのゆるむ方向が同じためです。(反時計回り)
このため、一部車種(マツダ・ボンゴ)やトラックの左側は逆ネジ(ゆるむのは時計回り)になっています。
ちなみにヴィッツのホイールナット締め付けトルクは
103Nm です。
前兆としては、ガコガコ音やブレーキ時のゴー音があるようです。
また、外れると自車を追い抜いていくそうです。
結果、外れたタイヤが歩行者を直撃した場合、死亡に至る可能性もあり
笑っている場合ではないのです。
●タイヤはずれ時の処置
1. 路肩など安全な場所に移動するか、三角表示板や発煙筒で安全を確保します。
交通量が多い場合は復帰作業を断念した方が身のためかも。
2. タイヤを回収します。無ければテンパータイヤを準備します。
ナットも回収できればベターですが、難しいでしょう。
3. サイドブレーキ(リヤ外れ除く)とギヤが1速or後退(M/T車、エンジン停止時)、もしくはPレンジに入っていることを確認し、
ジャッキアップします。輪留めをかけるとなお良いです。
4. 足回りや下回りに損傷がないか点検します。
バックプレート以外の変形・損傷が認められた場合、あきらめた方が吉。
・フロントの場合、バックプレートが変形します。
マイナスドライバーなどでこじってディスクローターとの接触を解消させます。
走行前に数回ブレーキペダルを踏み込みます。エンジンはかけていても止めていてもどちらでも可。
ディスクローターとブレーキシューの隙間が広がってしまい、一度目の踏み込みが効かないことがあるからです。
踏み込むことでクリアランスが正常に戻ります。
・リヤの場合、ドラムインディスクはフロントと同様です。
ドラムの場合はドラムがきちんと付いているか、浮いていないか確認します。
ドラムが外れている場合、ブレーキシューが広がってしまいドラムが付かないことがあります。
ノッチを操作し、ブレーキシューを縮めてから取り付けます。
フロント同様、走行前に数回ブレーキペダルを踏み込みます。
5. ナットを4本全て紛失している場合、他のタイヤから1本ずつ外してきます。
各タイヤ3本ずつとなりますが、徐行して走る分には何とかなるレベルです。
もし2本しか付けることができない場合は、対角に取り付けます。
2本だけども隣り合わせ、もしくは1本のみという場合は走行はできません。
駐車場内を移動するのがやっとでしょう。
6. 輪留めなど安全処置を解除し、試運転します。
異音、振動があるときは走行をやめましょう。
問題ない場合でも徐行してください。通常走行は自殺行為です。
そして速やかに工場に入庫し、点検・修理を受けて下さい。
こんな説明で分かりますか?(^^:)
実際はクルマによっても違いますので、概要だけを説明しました。
分からないときはやめてくださいね。
●タイヤはずれを起こさないために
規定トルクでしっかりと締め付ける。これの一言に付きます。
交換時に締め付けを確認することはもちろんですが、100kmほど走った時点で増し締めすることも必要です。
ガソリンスタンドや工場で交換した場合でも、自分で増し締めしましょう。
人為的ミスはどこでも発生します。自分の命は自分で守るべきです。
また異音が発生したら、気のせいと思わずにすぐに停車し、点検するようにしましょうね。