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[Column] クラッチスタートシステムの話

普段は思わぬ危険から身を守ってくれている、でもいざというときには邪魔になるかもしれない安全装置、
クラッチスタートシステム(以下CSSと表記)のお話です。

●クラッチスタートシステムって何?

マニュアル車におけるエンジン始動時の後発進を防ぐために設けられた安全機構のことです。
クラッチペダルを踏まないとエンジンがかからない仕組みになっています。

<関連記事>
JAMA (社団法人日本自動車工業会)
  マニュアル・トランスミッション車の始動時の誤操作防止(クラッチ・スタートシステムの取扱い)について


マイナーチェンジ前のヴィッツの場合、クラッチペダルの根元にクラッチスタートSWが付いています。
SWは2極のカプラーに繋がっていて、配線色は2本とも白地に黒です。

このSWがペダルによって押されて通電(アース)することにより、スタータ(ST)リレーの電磁石側がON。
STリレーが作動し、スタータが回る仕組みになっています。(IG=ST時))
#ちなみにアース位置は、アースポイントAB"左サスペンションタワーアース"です。


●CSSの功罪

CSSが有ることで、エンジンを掛けようとしたらクルマが動いてぶつかったしまった等という
命に関わるものを含む事故が減るはずです。
#オートマチック車のPとNレンジ以外でエンジンがかからなくしているのと同じ理由です。

一方、CSSが有ることによって困るのは、主に緊急時が考えられます。
教習所で習いませんでしたか?踏切で止まってしまった場合の脱出方法。
そう、ギヤを入れてクラッチを繋いだままスタータを回すことで脱出する、あの方法が使えないのです。
別に踏切でなくとも、路上でガス欠したときでも使えるテクニックだったんですが...


●CSSの解除方法

解除方法として一番簡単なのは、SWの前後で配線などを用いてショートさせることです。
常時SW ONの状態となり、クラッチペダルを踏まなくともエンジンを始動させることが出来ます。
しかし、安全装置の解除が諸刃の剣なのはご存じだと思います。

そこで、非常時用の切り替えSWを付けようというのが今回のお話です。
#実装したら技術情報に格上げする予定です(笑)

準備するものは、
・2極SW (ON-OFF)
・配線
・割り込み用配線コネクタ
・できればインジケータ(作動表示灯)

SW容量及び配線の太さですが、配線図を見る限り、抵抗はリレーの電磁石コイルのみです。
修理書によると、端子間の基準値が62.5〜90.9Ω(20゜C)とありますので、
14Vとして計算すると約2W程度の消費電力となります。
インジケータはLEDを使用した場合、消費電力は無視して構わないと思います。(約0.3W)

0.5sqの配線で60Wまでいけますので、それ以下で十分と言うことです。
これはクラッチスタートSWの配線を見ていただければ、その細さが分かると思います。
同じくらいの太さであれば問題ないでしょう。

また、元からある配線はそのまま残します。
配線ミスなどによりエンジンがかからなくなることを防ぐためです。



スタータシステム周辺の配線図です。不要部分は削除してあります。
赤で描いた部分が、今回の改造予定ポイント。

インジケータ配線についてはちょっと悩みましたが、イグニッションから持ってきます。
あ、別にアクセサリでもいいのか(^^;)
スタータ電源から持ってくると、スタータを回したときしか点かないのです(笑)
ちなみにこの配線だと、クラッチを踏んでも点きます。

LEDには自己点滅タイプの赤を採用する予定。
また、スイッチには出来たらカバー付きのものを予定。
ミサイルの発射スイッチじゃないけど、カバーを開けて押すタイプです。
いずれも非常時用っぽくいきたいです(・∀・)

ブザーを付けるのもありでしょうけど、うるさいからパス(^^;)

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