その先の日本へ

 学生時代から、毎年のように山形・蔵王へスキーに行っていたのですが、大阪で就職したので今年は諦めかけていました。これまでは東京から夜行バスで行っていたので、そのバスで行くであろう友人・先輩達に合流するのは困難だと思っていたら、なんと今年は社会人ばかりで、しかも新幹線で行くという話。

 これは、前から乗ってみたかった山形新幹線に乗るチャンス! その話を聞いた翌日には、旅行会社にて切符を手配していました。行きは夜行バスにて東京駅に。そこから先輩達と合流して新幹線に乗り、帰りは飛行機という予定になりました。

 さて、当日。大阪駅から夜行バス「ドリーム大阪2号」に乗り、東京に向かいます。この日は受験生などで混雑していたためか、2階建てバスの4両運行でした。
 時刻表では6時過ぎの予定だったんですが、若干早めに東京駅に着きました。八重洲北口ではバスの乗客以外に見かけませんでしたが、八重洲南口付近に来ると割と多くの人がいました。ここでsuzumuさんと合流しました。他の人はもうちょっと後に来る予定とのこと。


 事情があって自由席をとるために並ぶハメに(私たちは指定席取っていたんですが)。そのため、列車入線(7時14分)まで40分ほどホームで待っていました。その間に何本もの列車が出入りしているのを見てました。写真は、秋田新幹線「こまち」のE3系です。写真に映っている車両は試作車で、唯一ヘッドライトが運転席窓上に付いているタイプです。量産車では窓の下にライトがまとめて付いています。


 7時14分、つばさ113号が入線してきました。山形新幹線は大半がシルバーグレイの車体の400系なのですが、この日やって来たのは昨年デビューしたばかりのE3系(秋田新幹線と同タイプの色違い)でした。山形〜新庄間の延伸時に投入されたのですが、わずか2本だけなので今回それに当たったのはラッキーだったと思います。
 ずっと自由席に並んでいたので、東京駅ではこのE3系の車体を撮影することは出来ず、そのまま車内になだれ込みました。この列車は新庄行きで、私たちは山形で下車するため「車両の写真が撮れないかも」という不安が頭をよぎります。結局、車内に入った後で自由席は不要となったという話を聞いて、本来指定席をとっていた車両に移動。こんなことならホームで撮影しておけば良かったと思いました。この写真は指定席から撮ったものです。


 もう一度外に出ようと思ったときにはすでに発車直前。諦めて車内からホームを撮るにとどめました。
 そして、静かに発車。車内はグループ客が多くてなにやら騒々しい雰囲気でした。この列車は停車駅が少ないタイプで東京を出ると福島まで止まりません。秋葉原付近で地下に潜ると上野。昔は始発駅だったのに通過です。東京駅とはうって変わってホームには少ししか人がいませんでした。上野を過ぎるとふたたび地上に出て、しばらく埼京線と併走します。大宮あたりまでは速度もゆっくりとしたものでしたが、大宮通過後は高速運転に。他の先輩達がいる車両に行って話したり、朝食を摂ったりしているうちに福島に到着。福島まで1時間ちょっとでしたが、あっという間だと思いました。


 福島で新庄行きの「つばさ」と仙台行きの「やまびこ」が切り離されます。かつて、列車の切り離しや連結は長時間を要したものですが、今は気づかないうちに作業が終了してすぐに発車していました。新幹線の高架から地面の高さにある在来線まで降りていきます。線路際に家が建ち並んでいたりして、新幹線との違いが明らかです。速度も最高で130km/hということで、在来線としては高速な部類と思いますが、福島付近では大したスピードではありません。それもそのはずで、ここは峠道の入口であるためだったのです。写真でもかなり雪が深いことが分かります。


 この山形新幹線(正式名称は奥羽本線)は板屋峠を通ります。ここではかつて急勾配のために列車はスイッチバックしながら登っていた、と車内の案内表示器に出ていました。スイッチバックのある駅では、ポイントが雪に埋もれないようにするためのスノーシェルターがあり、スイッチバック廃止後(山形新幹線開業後)もそのまま残っています。写真は峠駅付近のスノーシェルターです。


 この一帯は非常に雪が多く積もっており、線路もレール表面以外雪に埋もれている状況でした。私は雪景色の中を列車で走るというのが初めての経験だったので、車窓風景がとても興味深く感じられました。線路際でニホンザルが走っていたりするのも、新幹線や高速道路などからではまず見ることが出来ないですね。


 峠を過ぎると米沢付近の平野部にさしかかります。このあたりからだんだんスピードも上がって、ほぼ最高速度が出ている様子でした。と言っても新幹線のそれとは比べようがありませんが。新幹線と一番違うと思うのは、列車が走るときに「ガタン、ガタン」という車輪とレールが刻む音が聞こえることです。新幹線ではレールの継ぎ目を無くしているのでこういう音はしません。


 蔵王の山々が見えてきたと思ったら、もう山形に到着です。この列車は山形終着ではないので、早めに荷物をまとめて出口に急ぎました。ホームで待つ人も多く、「つばさ」から降りた人も合わせると通勤時間帯みたいな盛況ぶりでした。
 この混雑のためか、思っていたより山形での停車時間は長く、ゆっくりと車両の撮影ができました。


 山形駅は近代的なビルになっていました。この駅だけ見ていると首都圏と何ら変わる所が無いようにも感じられます。ここから蔵王温泉にはバスで行くのですが、私たちと同じ様なスキー客で長蛇の列。臨時便が多数出ていたので、長時間待つことなく蔵王に行くことができました。


 今まで夜行のバスでしか蔵王は行ったことがなかったため、こうして昼間に旅するのが非常に新鮮に思えました。そもそも在来線の特急列車に乗ったのは8年ぶり。新幹線は何度も乗っていたんですが、やはり雰囲気が全然違いますね。この後スキーに行くということも忘れて、道中を楽しむことができました。