とんちんかん道具館


取材編「ドリル」
打撃機能付きタイプも

 イス、テーブル、本棚などの組み立て家具が人気だ。完成した商品より安いのもさることながら、「組み立てる」という完成までの過程が、作ったものへの愛着心を育てるのかもしれない。

 木製、金属製などの組み立て式家具を成り立たせているのが、ネジやボルト類だ。数多くのネジを力を入れて手回しのネジ回しで締めていると、利き手の手のひらに水ぶくれをつくる。電動のネジ回し(ドリル、ドライバー)は、その心配がないのがいい。

 電動ドリルには、ネジを回す「正転」、ゆるめる「逆転」以外に「穴開け」などの機能が付いている。中には、作業性を高める「インパクト機能」付きもある。

 回転に加えて、ハンマーで打ちこむような打撃(インパクト)で、ネジを早く強く締めつけることが出来る。刃を換えれば、木材ばかりでなく金属、コンクリート、石にも穴が開けられる。最近の住宅建築では、クギに代えて20cm以上もあるネジをねじ込む作業もあり、本職の大工もインパクトドリルを多用する。

 屋外や高い場所でも使われるので、コードがあると作業中わずらわしい。丸ノコやサンダと違って、こちらは充電式が主流だ。

 組み立て家具にあきたらず、自分で木材を切断するところから始めたいという日曜大工用にも、プロ用の充電式インパクトドリルが低価格で売り出されている。最近は10分以内で充電可能なものも売られているが、買う時には予備のバッテリーも必要だ。電池があがると、充電が終わるまで作業を中断せざるを得なくなる。

 日曜大工の道具は、1度使うと次までかなり長い間使わないことが多い。そうなると、充電式の電池を使うドリルは放電してしまう。「最低3ヶ月に1回は,使わなくても充電する必要があります」とメーカーはいう。この辺が不便と言えば不便、というところか。

 リョービ販売本社に聞くと、プロ用の電動工具は外装がアルミなどで頑丈。「アマチュア」用は合成樹脂製でパワーは控えめ。ただし軽くて、安い。「耐用性は十分。心配ない」という。

 

 

(小林 好孝)
 
尚、この記事は「朝日新聞」1999年6月27日付に掲載されたものです。

DIY CLUBのホームページに戻る。