とんちんかん道具館


取材編「電動ノコ」
初心者はジグソーから

 ふだんめったに手にすることがないノコギリで板や角材をきれいに切るのは、なかなか難しい。電動ノコで切った木口や、直線の「まっすぐさ」は、日曜大工には得難い仕上がりだ。

 チェーンソーを除いて、電動ノコには3種類ある。外周部に歯の刻まれた円盤が、回転して直線を専門に切る丸ノコ。細かい歯が刻まれた幅の狭い板が、上下して直線、曲線を切るジグソー。ジグソーに似ているが、曲線がより自由に切れる糸ノコだ。

 電動ノコ選びについて、首都圏に大規模なホームセンターを展開している「ドイト」(埼玉県与野市)商品本部の瀬谷正一さんは「初心者は、ジグソーから入るのが一番いい。丸ノコは直線切りだけですが、ジグソーは万能。直線も曲線も切れるうえ、発泡スチロールもきれいにカットできます。歯を交換すれば、鉄板も石も切れる」という。

 丸ノコは回転速度が速い。板などを切るとき、キーンと高い音が出るので、マンション暮らしの日曜大工では近隣に迷惑だ。ジグソーだと、音はそう高くない。室内で使っても、音の心配はない程度...。長年、指導に当たってきた瀬谷さんが自信を持って薦めるゆえんだ。

 ジグソーは歯が約5o上下動し、歯が上に動く際に切断する。しっかりした台の上で作業することが基本だ。直線切りの場合には、切る板の上に平行ガイドを当てて、しっかり押さえてガイドに沿ってゆっくり前方に移動させる。これで30oから40o角の木材を縦に切ることもできる。

 万一、動いている歯に手が触れても、大事にいたらないのが長所だそうだ。手入れも簡単で、使用後は、木くずを落として、歯をはずしておくだけでいい。

 本体価格は、日曜大工用なら1万円ほど。切れ味は、そうは落ちない。もし切れにくくなった場合は歯を取り換える。替え歯も木工用(2本組)400円程度。

 丸ノコは、ある程度技術レベルが上がってから、使う方がよい。木材を多く切る場合など、作業が早く出来る。糸ノコは、アクセサリーなどの小物や細工物づくり用、と限った方がよいそうだ。

 
(小林 好孝)
 
尚、この記事は「朝日新聞」1999年6月13日付に掲載されたものです。

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