とんちんかん道具館


取材編「槌」
打ちやすい工夫 所々に

 槌とは、物を打ちつける道具の総称である。形状によって、げんのう、ハンマーがあり、更に材質によって、金槌、木槌、プラスチック槌などがある。

 家庭で使う代表的な槌は、「両口げんのう」だ。

 たたく面が2つあり、片側は平面、片側は凸面になっている。柄は木製が多い。

 平面はくぎを打つために使い、凸面はくぎの頭を最後に板に埋め込むために使う。

 平面で打つとくぎが曲がりにくく、凸面で打つとくぎの頭だけを打つ事が出来る。板の表面に傷がつかない。もっとも、凸面を使ってもくぎをまっすぐに打ち込む人もいる。

 最近は、外国モデルのハンマーがたくさん出回っている。

 ハンマーは、ネイルハンマーとも呼ばれ、片側がくぎを打つための平面、片側がくぎ抜きになっている。げんのうのような凸面はない。

 柄は、木製、金属、グラスファイバーがある。木製は握ったときの感触が良好だが、折れやすい。その点、金属やグラスファイバーのものは丈夫である。

 柄は滑りやすい。握り部分に細い溝が刻まれていたり、籐やゴムがまかれていたりする。

 こうした中から1本を選ぶとすれば、両口げんのうがいいだろう。げんのうは、頭の重さで仕分けられている。重さ200グラムから250グラムのものが家庭向き、と東京・世田谷にある東宝日曜大工センター成城店の横山啓吉店長はアドバイスしている。

 げんのうといえば以前は、丸胴と決まっていたが、最近では八角形のものが増えている。この形だと胴の横面もだ面としてつかえる。たとえば箱の隅にくぎを打とうとしても、すき間がないとげんのうの頭がつかえて、振れなくなる。こうしたとき、胴で打てる八角げんのうは便利だ。

げんのうにはくぎ抜きがついていない。くぎ抜きを買うなら、日本に古くからある「カジヤ」か、外国モデルの「バール」がいい。L字状をした金属棒で、箱を解体するときなどさまざまなところで役に立つ。長さは20センチもあれば十分だ。値段は5−600円程度。
(小林 好孝)
 
尚、この記事は「朝日新聞」1999年5月9日付に掲載されたものです。

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